タイ旅行記~その1~
バンコクの南約900km、アンダマン海に浮かぶタイ国最大のリゾートアイランド、プーケット。
今年の正月は、そこへ家族5人で旅行に行ってきた。私と姉夫婦、二番目の姉と母親というメンバー。
その様子を何項かに分けて綴っていきたいと思う。
出発の時。
元旦の夜8時に家を出て、特急電車を利用して関西空港へ。
約10年前に韓国旅行に行ったきりなので、この広大な国の玄関口にお目見えするは久しぶりだ。
はやり気を抑え、搭乗までベンチに腰を掛け待っていると、キャビンアテンダントの一群が颯爽とフロア内を横切る。器量の良い彼女達のまとう空気はやはりどこか一般人とは違って、指先一つの動きにしても洗練された印象を受ける。
ぼーっと見とれていると、その後ろでは小さな子供が、嬉しさを隠しきれず元気いっぱいにはしゃいでいる。それらの光景にこちらもわくわく感が増してくる。
そうする内に時間が来て、いざ魅惑の地へ出発となった。
飛行時間は6時間半ほど。
関空からバンコクでの乗り換えを経てプーケットまでという道のりだ。プーケットは真夏なので、現地につくと冬服を脱ぎ薄着へ早着替えした。
まずはホテルまでのタクシーを捕まえることに。
長女である姉は英語が堪能なので、彼女が交渉し、ミニバンに乗り込み向かうことになった。
ずいぶん年季の入った車で、運転手のおじさんも眼光が炯々としている。思った通り運転が豪快だ。町の広い車道を、車線の存在意義を無視するかのように、ウィンカーなしで右へ左へ無尽にかける。
ハラハラしつつ横を見ると、ヘルメット無の原付乗りが普通にいるのにも驚くのに、全員ノーヘルの3人乗りという若者達も。スラムダンクの桜木軍団もびっくりの荒業だ。
追い抜かしていく車を見ると、後ろの荷台部分に労働者らしき男達が詰めて座り、風に髪をなびかせて涼しげな表情をしている。
出鼻からカルチャーショックである。
なんというか皆奔放で、人間の生命力を感じる。
感嘆と共にホテルに到着した。
急な勾配の坂道を上った所に屹立する「Aspasia」というホテルで、そこの2223番とプレート書きされた部屋に通された。
テレビ付のリビングルームをベッドルームが挟む形になった共同型の3連のその部屋は、どの部屋も15畳は越す広さで、皆一様に目を輝かせる。
リビングにはキッチンスピースも設備され、冷蔵庫の横にはタイの調味料が用意されている。必要ならおのがじし作って食べてね、ということなのだろう。長期滞在者には嬉しいサービスだろうなと、小さく唸る。
それぞれ小休憩を取って、それから外にランチへと出かけた。
下調べせずにふらっと入ったので、値段の割には味はまあまあと言ったところだ。お腹を満たし、少し町を探索する。
何件か目にしたのがコンビニのセブンイレブンだ。日本での隆盛そのままに、遠く離れた異国でもこうして販路を広げているようだ。
歩いていると、半屋台の飲食店、マッサージ店が目立つが、店先の呼び込みの姿からして、店員はマイペースの人が多いようだ。来店が無く手持ち無沙汰なのか、スマホを熱心にいじったり、リクライニングに身を預けて半分寝ている人も。先ほどの飲食店でも、給仕が料理を運ぶ間に自撮りをしている姿に、家族でつい笑ってしまった。
そうこうして一通り歩いたので、ホテルに戻った。
今日の観光の目玉は、レディーボーイと呼ばれる人たちの、いわゆるオカマのショーだ。
それまでの間部屋で寛いで疲れを癒した。
バルコニーのあるガラス扉の向こうには、海が一望できる。
今夜の催しに期待を膨らませて、日の沈みを待つ水平線にしばらく見とれた。
その2に続く。