岡村さ~ん、演じてはりますや~ん(byやべっち)
皆さんは年末と言えばどんなテレビ番組を思い浮かべるだろう。
紅白歌合戦、格闘技、ガキの使い、などがやはり定番であろうか。
しかしもっと時間を遡り、私の少年時代の話でいうと、忠臣蔵という長編ドラマがよく放映されていた。
その物語の新バージョンの作品、決算!忠臣蔵という映画を今日は鑑賞してきた。12月に討ち入りされたことで、冬の風物詩ともいわれた忠臣蔵をどう料理されているのか、期待をして臨んだ。
と、当然のように話を進めても、今の時代は忠臣蔵がどういった内容のお話であるのかを知らない人も多いかもしれない。
簡単にその内容を紹介したい。
現在の兵庫県である赤穂藩の藩主、つまりお殿様の浅野内匠頭は、江戸にて幕府の命により仕事をしていた。天皇のいる朝廷からの使者を接待する役目である。
それを上司として指南する役目にあったのが、吉良上野介。吉良は将軍の直属の家臣、旗本という身分だ。
その吉良に浅野は賄賂を要求されるが、にべなく断り、そのせいで吉良から嫌がらせ、いたぶりを受ける。我慢を超えた浅野は、ある日短刀を抜き、吉良の額を切りつけてしまう。戸城の廊下でのことだ。無論将軍の綱吉は激怒し、浅野に切腹を命じ、赤穂藩も幕府へ明け渡されることになった。
赤穂藩からすれば不公平な仕打ちである。元凶の吉良はお咎めがなく、自分たちだけが一方的に処理される。
赤穂藩には大石内蔵助という家臣がいたのだが、彼が怒ったのも例外ではなく、この大石が忠誠心のある部下の武士46人を結集させ、吉良邸に復讐の討ち入りを果たす。
というのがこの忠臣蔵の大筋である。
なお、浅野の殿様が吉良に切りつけた原因は物語として仕入れた知識であるので、史実とは多少異なるかもしれないことを言い添えておく。
さて、そのことを踏まえての今回の映画決算忠臣蔵。今回の作品は、コメディタッチで物語が進むということ、討ち入りまでの、藩の懐事情にスポットを当てているんだということは宣伝で把握していた。
そうして鑑賞に臨んだのだが、言ってみれば、その前知識以上の感動が少なかった。
江戸までの出張にいくらかかり、家臣達を食わせるのにいくらかかる。藩以外の拠点にいくらかかり、また遊行費にいくらかかる。その同じパターンが何度も続くので、間延びしてしまっている。そしてそれが笑いどころなのだろうが、やはり趣向が同じ「くすぐり」なので、私にはハマらなかった。
しかし良い点もあった。
ここからはネタバレなので気になる人はこれ以下の叙述は回避して頂きたいのだが、大石の幼馴染の長介という藩の経理担当がキーマンとして登場する。ナインティナインの岡村さんが演じている役だ。その長介が、中盤で大石と間違われて斬り殺されてしまう。
それまでは討ち入りするのかどうか判然としなかった大石が覚悟を決めて、「吉良を討つ」と宣言する。
やはりその場面は、武士の意地を感じ、胸が熱くなった。
と、総合的にみるとやはり少し物足りなさを感じたのが正直なところ。しかし、周りの高齢の方はそれなりに声を出して笑っていたようだ。
これまでの王道の物語を違う視点から見て楽しめたという人もいるのだろう。
まあそれぞれ評価に個人差が現れるのは当然だ。もし琴線に触れそうだと予感した方がいれば、劇場まで足をお運びするのもよろしいかと思う。
映画は感動しても残念でも、何かが心に残るのは確かだから。