表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
培養人肉  作者: 烏籠
8/16


………女は皿の上で、自分達を見下ろす男を見ていた。


自分達とは、バラバラにされた女の身体の欠片だ。

こんなに細かく刻まれたという事は、恐らく女の身体はもうとっくに心臓の動きを止め、死んでしまったのだろう。


そう、女は死んだのだ。

それも目の前で自分達を見下ろしている、この男の手によって。


この男は、女の夫だった。

もう死んでしまった女にとって、それは既にどうでもいい事実だ。


「……よし」


男が意を決したようにぼそりと呟いた。

そして女の身体の欠片を一つ、つまんで口に放り込んだ。

それを特に咀嚼する事なく飲み込む様子を女はじっと見つめた。


異様な光景だった。

男は尚も欠片を口に放り込み続ける。

女はやはりそれをじっと見つめる。


ここからでは男がどんな表情をしているのかわからない。

けれどもそれは容易に想像できた。


きっといつもように、暗い色をした目を伏せて、それから、何か物言いたげに開きかけた口を、ぎゅっと噛み締めるように閉じているのだろう――――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
参加させていただいております。 よろしければポチッとお願いします! ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ