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人狼夫婦と妖精 ツインズの旅  作者: 冬忍 金銀花
第一章 駆け出しのハンザ商人 オレグ

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第65部 オレグのお持て成しの裏は腹黒


 1243年7月22日 トチェフ村



 地下部分が完成したから次は一階だ。ここはライ麦等の貯蔵になる。だから床や壁には工夫は要らない。壁には松の木が横に積まれていった。外壁には後日石材を積んでいく予定だ。


「旦那。後日と言わずにすぐに積みましょうや。見習いが石材を作って待っていますぜ?」

「そうか、ならば頼もう。」

「おう、任された!!」


 倉庫の周囲にネズミけに石材が五十cmの高さまで積まれた。



 二階の床を支える為に松の木は一階の中央の床に縦に立てられた。これに梁を載せて梁の上にはやや細い松を横に並べて床を作る予定だ。


「旦那。ここも土で床を均すんですか?」

「それで十分だろう。」


「旦那。ここは板で作ったがいいですぜ。麦に土が被ったらまずいでしょう。」

「そうかな~。」

「土だと、ネズミの次郎吉が喜びます……。」

「五右衛門の他に、次郎吉も居るのか!」

「?……?」




*)完成したプロジェクト



 特大の倉庫の建設に着手して、はや二か月が過ぎようとしていた。途中にはライ麦の買い付けと輸出の業務があったから、完成がやや遅いかもしれない。


 船でライ麦を出してしまったから、オレグはボブを呼んで板材を作らせる。シビルが風を起こして船を遡上させたから、輸出も早く終わった。なぜか、マクシムがグダニクスに事務所を構えていたからだ。



「兄ちゃん。俺に仕事をくれるのかい。ありがとうよ。」

「ボブ、金貨五枚だ。頑張れ!」

「随分と、いきなりな挨拶だな。あんたの頭の回転はまだ鈍いままのようだ。もう一遍、井戸に落ちたらどうだい? もしかしたら治るかもよ?!」

「金貨五枚だぜ? なにを渋っているのかな~。」


「なぁ兄ちゃん。もう少し頭を冷やせよ。俺になんの仕事をさせるつもりかな~。」

「あれ? 言ってなかったか~。変だな~。」

「変なのは、あんただ。オレグ!」


「あぁ~、ボブの仕事はあれだよ。あれ!」


 オレグは指差したのは、水車小屋の横に積んである木材を指していた。


「なんだ、板を作るのかい。女房が作ってしまうさ。」


「そうだよな。ボブよりも働くようだぜ。」

「そりゃ~何かの間違いだろう。……オレグ、女房をパブで働かせろよ!」

「おう、それはいい。ナイスなアイディアだぜ。」

「な、な! いいだろう?」


「あぁいいぜ。だがメイドを募集するまではここで働いてくれ。」


と、


「ボブ、倉庫の二階部分の床材だ。頑張って板にしてくれ!」

「おう、任された!!」



 ボブはやや大きい松を縦半分に切断して持ってきて、切断面を上にすれば板は要らないというのだ。少し下が見えるがそれで十分だった。


 床の厚みが増したのでより重い物が二階へ運ぶ事が可能となった。


 最後は?


 屋根を藁ぶきして完成した。


 -プロジェクトの完成である。




 数日後、オレグは落成式を行った。村中の農民を呼んだのだ。


「ほれ! 祝儀を寄こせ?」

「いや、俺らに餞別をくれろ!」


 そう、マルボルクの職人の派遣期間が切れたのである。マルボルクの領主代行のエルブロの家族も招待した。長男のユゼフと妻のベマ。執事のギュンターも。



 この招待にはグラマリナも賛同した。


「お父様、お母様、大変ご無沙汰をいたしております。」

「グラマリナ、大層な事業を始めたな。父は嬉しいぞ!」

「いいえ! お父様。大したことはありませんわ。」

「え~ぇ、グラマリナも元気そうで安心しましたよ。」

「はい、お母様。」


 この時グラマリナはお腹の赤子の誕生を知らせた。


「ま~それはおめでとう。」


 また、イワバからは、ピアスタとバルトシュが祝辞を述べにやってきた。もちろんリリーのゲートを利用してである。


「これはピアスタさま。よくお出で下さいました。」

「オレグこんな素晴らしい倉庫を造ってしまって、……」

「はい、これもピアスタさま在っての事でございます。」

「あら~そうですか~、ではイワバにも造って頂きたいですわ!」

「ええ、構いませんが、きっと高くて無理かと思います。」

「まぁ、失礼しちゃうわ!」


 ルシンダはピアスタと会えて嬉しそうだった。ピアスタとバルトシュは、リリーのゲートで来ているから他の従者は居なかった。


 エルブロの妻のベマは、ソフィアとリリー、ピアスタとルシンダと、オレグの自宅で歓談を始めていた。



 エルブロと長男のユゼフ。エリアスとグラマリナは、派遣職人の十二人を交えて協議を行った。オレグは意見を差し控えている。


石工の派遣、 シモン、マシュ   建築の派遣、 イェジィ、ジグムント

鍛冶屋の派遣、カミル、 レフ   家具職人の派遣、オスカル、ヘンリク

酪農の派遣、レオン、マルチン   土木工学の派遣、ダミアン、タデウシュ


 この十二人の中から、マシュ、ジグムント、レフ、レオンがトチェフに残りたいと願いでた。もじもじして決めかねていたヘンリクも、勢いで移住すると決めてしまった。ヘンリクについては、オレグはとても喜んだ。


 エリアスはグラマリナの言いなりになっていて、会合もただの同席にしかなっていない。交渉はグラマリナが行う。


「お父様、職人の派遣は大変役に立ちました。心からお礼を申し上げます。」

「それは何よりじゃ。グラマリナ、良かったな。」

「はい、近いうちに代金のお支払いに参ります。その時にはまたご相談を!」

「グラマリナ、もう難しい注文は勘弁しておくれ!」

「いいえぇ! お父様。私が生きている内は何度でもお伺いいたします。」

「そんな~!!」

「いいじゃありませんか、可愛い娘の為ですよ。」

「うう~、……。」


 この後グラマリナは、オレグの家に行く。ここには落成式を祝わない女たちが居るのだ。


「グラマリナ。会合は終わりましたのね。」

「はい、ピアスタさま。先にリリーにお話がありますの。よろしいでしょうか?」

「はい、私はバルトシュと一緒に倉庫を見に行きますわ。ごゆっくりどうぞ。」


 ピアスタはそう言いながらべマも連れて行った。残るのはソフィアとリリーとルシンダになる。


 グラマリナは、


「リリーあのね。お願いがある……。」

「はい、ソフィアお姉さまと一緒に……。」

「ありがとう、リリー。ソフィアにもお願いしましたよ!」

「どう~しよ~かな~!」

「まぁ! 意地悪なお姉さんね!?」




 オレグは昨日、地下三階の入り口を塞いで土を被せていた。


「ボブ、地下三階は公開しないんだ。だから入口は塞いだが、他は見学させて問題がないか、見学会の前に確認を頼みたい。」

「そんな事は簡単さ。問題があれば直しておくさ!」

「おう、頼んだぞ。」


 ボブは喜んで地下に降りて行った。


「はて!……。」


 ピアスタはオレグに倉庫の案内をさせる。他に見学に行くのは、バルトシュとマルボルクのエルブロとユゼフ、べマ。デーヴィッドもついてきた。オレグはボブを名指しで連れていく。


 オレグは、倉庫の地下二階から説明を始めた。


「ここは牛や豚を屠殺とさつして肉を熟成させる為に作りました。今日のお昼にはこの肉を焼いてお出ししますので味わって下さい。」


 オレグはニタッと笑っている。オレグの腹の色が見えそうだ。


「それは楽しみですわ。」とピアスタ。

「ほほう!」とバルトシュ。


「はい、屠殺後の十四日が過ぎた肉になります。とても美味しいですよ。」

「なんですと!!!……十四日も過ぎた肉は食べれないでしょう。」


 ユゼフが驚いた口調で強く言うのだ。


「いいえユゼフさま。これくらい長く寝かせた肉が一番美味しいのですよ。」


「この肉の白い物は……カビでしょうが。そんな~カビを食わせる気ですか!」


 ユゼフは憮然とした顔で倉庫の中を見て回る。ワインやビールの樽もたくさん並んでいた。


「おい、ボブ。少し多くないか?」

「オレグの為に空の樽も置いているのさ!」


 小賢しい事を耳打ちするボブだった。オレグはニタッと笑う。


「ボブが飲み干した樽だろう!?」

「おう、半分はな……!」


 地下一階は野菜の収納と今日の宴会の食材が置かれていた。


「これは今日と明日の食材です。」


 すぐに調理出来るようにと野菜や肉が切り揃えてあった。というか、半分の農民の為の食材はすでに無くなっている。チーズ等の保管を考えていると説明するオレグだった。


 生乳を加工してチーズ等の乳製品が作られる。生乳が全部チーズにはならない。いわゆる粕の液体が残る。これを農民は飲んでいるのだ。腹痛は普通らしい。ここで生乳を加工すれば夏場は良いチーズが出来るだろう。まだ生産の計画はないが、オレグはもう先の事を考えている。


 一階はライ麦の保管だ。オオムギの保管も出来ていた。


「オレグさん。これはオオムギと書かれていますが、どうされるのですか?」

「はい麦芽発酵させてビールを作ります。まだ工場がありませんので研究段階ですね。」

「おお! それは素晴らしい。」


 エルブロが感激した。二階に上ったらべマが驚いていた。


「あのう~、皿一号、皿二号とか書かれてありますからこれは食器ですか? それにこの大きい器は何ですか?」

「そうです、これは全部木の器でございます。この大きい物はテーブルの中心に置いてパンやソーセージを盛る器に使う予定です。」

「まぁ~!」


 この大きい器を初めて見るピアスタは興味を示した。


「さ、みなさん。昼食の用意を致しますので外に出ましょうか。」


 オレグはエルザを中心にして来賓の食材を運ばせる。


 倉庫の外では、旧農民の集団と移民の集団の二つに分かれていた。この祝いの料理は移民の女たちが担った。


 デーヴィッドとエルザそれにギュンターもだ。それにソフィアとリリーでオレグは、料理を作り出す。温かいスープは先に作らせていたからいい。肉類は左右に分けて置いてある。

 

 オレグは、


「これは牛を屠殺とさつして直ぐの肉です。先に焼きますので味を覚えていて下さい。」


 この肉はエルザとデーヴィッド、ギュンターが担当した。


「この肉は、屠殺とさつして熟成させた肉を焼いたものです。」


 この肉はオレグが担当した。これは各自に配膳してその場で意見を聞くためだ。


「エルブロさま、一口食べて下さい。」

「おう、これはすごく旨いぞ!……」

「エルブロさま、お肉を宅配いたします。」

「エルブロさま、奥様は毎日食べたいと申されてあります。」


 ピアスタはオレグに、


「オレグ。エルブロは美味いとは言いませんでした。諦めなさい。」

「へっ! そんな~」


 オレグの旨い話には乗らない、という意味での旨いであった。


 ピアスタは肉を熟成させる方法を知りたがっていた。オレグは今でも氷室の事は隠している。


「ピアスタさま、お肉をお買い上げ下さい。」

「ほう、この私の領地から盗んだ牛の肉を買えと……。」


 未だに根に持つピアスタだった。


「では作る方法でご容赦下さい。バルトシュさまにお教えいたします。」


「それでいいわ。授業料は牛の代金とします……。」

「はい、分かりました。寛大なご処置をありがとうございます。」


 オレグはリリーに頼んで熟成した牛を一頭分をイワバに送らせた。オレグのお持て成し作戦は失敗に終わる。誰も購入するとは言わないのだ。


 氷室からは冷たいビールが出された。ワインは地下二階の樽から出される。スープは野菜と牛の堅い肉の煮込みと柔らかい肉のスープが注がれた。鍋は特別に作らせた、たき火? に掛けられている。


「ピアスタさま、デザートでございます。」


 オレグが出したのはアイスではなく、焼きリンゴにはちみつを掛けた冷たいデザートだった。雪のデザートを出すつもりでいたのをリリーが、


「オレグ。これ以上手の内を明かしたらダメでしょう?」


 そう言われて焼きリンゴに変更した。


 木でできた器が良かった。とても欲しそうにべマは器をでている。オレグは食器を人数分用意させて帰りに持たせた。


 村の女たちには黒パンを焼かせて、温かくて柔らかいパンを常に用意させた。冷えて堅くなったパンは、すべて農民たちに配膳されていく。肉は豚肉が調理されて配膳されていた。牛の肉はスープへとふんだんに盛られる。


 また、冬に作ったソーセージも焼かれて、丸太の半分切りにされたという食卓の上に大きい器に盛って出されていた。ビールも樽ごと出されている。


 農民たちは腹の皮の内と外に、パンを詰め込んだ。農民には天国のように見えたに違いない。



*)オレグのお持て成しの裏は腹黒



 また、職人たちは村の弟子とともに、マルボルクに帰る者と送迎会の様子を呈していた。


「ふふ~ん、あいつらも出来上がったかな、……」


 頃合いだと思ったオレグは、農民や移民に向かってお礼という演説をぶった。

 

「みんなの協力を得てこの倉庫が完成した。この倉庫はこのトチェフの村が街になるために必要なものだ。今後も同じように工場も作る。また、総員で協力をお願いしたい。」


「旦那、なんでもいたしますので、仕事を下さい。」


 これは移民の男の意見だ。移民にはまだ農地が無いから、生きて行く為には金を稼がなくてはいけない。


「俺はこのトチェフに、農地が無くても生活できる仕事を用意した。だから希望したい者がいれば俺に教えてくれ。」



「旦那、農民も頼めば雇って頂けるんですかい?」


 これは旧農民の意見だ。移民にはオレグから仕事の代金が支払われている。移民は文字通りの金持ちだ。旧農民は税としての賦役しかやらなかった。その他の事はすべて移民にやらせていた。その分農民はライ麦や畑の仕事が出来ているので、納税としてのライ麦は完納が出来ていたが金は持っていない。


「お前たちは金持ちだ!」


 農民たちは移民を見てそう思っている。パブでビールを飲んでパンと肉を食べている姿を見て羨ましいと思っている。


 オレグの農民らの誘導が始まった。あることないことを矢継早に言い出した。




 オレグは、石工のマシュ。建築のジグムント。鍛冶屋のレフ。酪農のレオン。家具職人のヘンリク。


 この十二人の中から残った五人を集めて、就職面談を始めた。半年以上前に行っていた事を、再度行うのだ。今回の目的は、移民に金を渡してパブで使わせるところを見せてきた。きっと金を欲しがる農民も移民も居るに違いないと考えていたからだ。


「オレグ、隣の芝生は青く見えるという勘定ですね?」


 グラマリナはオレグの腹の中を見て、そう言ったのだ。


「はい、さようでございます。グラマリナさまこそ住民の感情を、勘定と表現されたではありませんか。」

「オレグ、これは読者にしか解らぬこと。オレグが分るとは、とても不思議ですわね。」

「先に進みます。……」

「……?」


「お前らの中で職人になりたい奴は、前の5人の元に集まってくれ。給金の事について説明する。」

「……。」


 農民・移民の間でざわめきが起きる。


「まだまだ他にもあるぞ。ビール工場で働く者も欲しい。また、ワイン工場で働く女も含めて、約八人は募集したいから俺の元に来てくれ。」


 オレグは故意に早口にして話すのだ。これは群衆のこころを掴む為の王道の手段だ。みなさんも気を付けよう!!


「あぁ、領主さまからも指摘されたが、パブで働く専従の女も欲しい。もう一つこの倉庫で働く男女も欲しい。これらは夫婦での希望になるが、どうだ~。」


「旦那、俺! 応募します。」


 オレグは続けて、


「港で板材を作る男が欲しい。水車小屋で麦粉を作る子供を六人は欲しい。まだあるぞ。船乗りも欲しい。」


「おい、ボブ。お前も前に出て立っていろ!」

「おう、兄ちゃん。女も二人頼むぞ!」

「まだ嫁さんが欲しいんか?」

「バカ野郎! 水夫の賄い人だ。」


「まだあるぞ。荷馬車の馭者ぎょしゃを二人採用したい。」



 横からグラマリナが大きい声で叫んだ。


「機織り娘を百五十人募集いたします。」

「へっ!」


 オレグは、いきなりのグラマリナの言葉に驚いた。


「はい、そうでしょう? オレグ。」

「はい、さようです。」


 またグラマリナは、


「絹の織物で金貨一枚の出来高の支払いです。柄や綺麗に織れた生地には、さらに

 金貨一枚を出します。」

「グラマリナさまはこう仰っています。綺麗な柄の織物は、全部で金貨三枚の給金を出す、とね。」


「私! やります。やらせて下さい」

「グラマリナさま、私もやります。」


女たちは一斉にグラマリナの元に集まった。


「あなたたち、全員採用ですわ!」


 大判振る舞いと思われるグラマリナの言葉も、


「お父様、お母様にもお願いしなくてはなりません。オレグ、マルボルクへ織物工場の支店を出します。」


「へっ!」 「ホっ!」 「はい?」  


 オレグの眼が三っの点になった。それほどの驚きを覚えたのだ。


 グラマリナはマルボルクで麻布を織らせるつもりらしい。こういう点ではまさしく、女の視点が映えてくる。


「グラマリナさま。百五十人の織り子は居りません。どこかの村からでも見つけてくるのでしょうか?」

「いいえ、やや小さい十三歳過ぎの娘も採用いたします。」

「……、そうですね、時期に百五十人にはなりますね。」

「そうでしょう?」


 グラマリナは、この村の女たち全員に織物を作らせる腹積もりらしい。


「生まれてくる娘は、きっと秀才だろうて!?」


 グラマリナは、


「お腹の子が私の胃袋を蹴っていますわ! オレグ? この子の悪口を言いましたわね?」

「いいえ、そんな、褒め言葉ですよ……。」

「そうですか、オレグは言ってんですね!」

「あっ! しまった。バレた!」

「うふふふf!」


 絹織物で金貨を稼ごうとするグラマリナだった。同時にこの事はオレグにも絹糸と麻糸の大量受注に繋がるのだ。オレグも喜んだ。


「オレグ、リリーには暫くお休みを与えます。三人で温泉に行ってらっしゃい。お土産は要りませんわ!」


「グラマリナさまは絹糸が欲しい? もう二人には事情を話しているならば、すぐにマムシの所へ跳んで行かねばならないな~。」


「そうだよ、オレグ!」x2

「わっ!! びっくりした~。」


 オレグの両脇には、ソフィアとリリーが現れていた。宴会の前にグラマリナからソフィアとリリーに説明されていた。



 驚いたのはオレグだけではない。ピアスタは?


「あの女狐め! 元手が金貨三枚で、私に金貨六十枚で買わせるとはいい度胸をしていますね~。」


 ピアスタはグラマリナを睨み付ける。


 グラマリナはお腹の子と一緒に背筋が凍る感覚がしたという。だが、すでに販売の協力は約束している。


 袖を噛んで悔しがるピアスタだった。


「く~~~~!!!!」



 エルザがやって来て、お話は終わった。


「みなさま、お風呂のご用意が出来ました。」



 その夜、貴賓のお客様は館に、従者はパブの横にある宿屋へ案内された。


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