第62部 オレグの策略?!
1243年5月25日 イワバ
*)振って湧いた野盗の集団
イワバのピアスタは、多大の金貨・銀貨に、
「あらあら、まぁまぁ、うふふふf……。お母様ありがとうございます。」
振って湧いた野盗の集団は自警団からボコボコにされた。
「バルトシュ。すぐに兵を率いてこやつらをドイツ騎士団へ送り届けなさい。出来れば金貨二十枚で売ってきなさい。」
過激な事を言うお姫様にバルトシュが返事をした。
「はい、販売してまいります。」
1243年5月27日 トチェフ村
ポーランドのドイツ騎士団の本部は、プロイセン王国の首都のベルリンにあった。やや遠すぎるので、近くを探したら、グダニスクに支部があった。ここに届ける事にした。行きがけにトチェフに寄り、領主のエリアスとグラマリナに謁見していった。
「エリアスさま、グラマリナさま。イワバでは大変な事に巻き込みまして申し訳ありませんでした。」
「あれは仕方のないことだ。バルトシュが気に病む事ではない。」
「これは、ピアスタさまからの贈り物でございます。」
バルトシュはそう言ってグラマリナに包みを渡した。
「まぁ、これは! もう早いですわ。エリアスこれを見てください。」
グラマリナがエリアスに見せた物とは、
「おう、可愛い服じゃのう。バルトシュ、礼を言うぞ!」
グラマリナは終始ニコニコとしていた。女の子供服だった。これはソフィアの意見で決められていた。男の子が産まれてもいい性格のグラマリナだったが?
バルトシュはオレグと面会して、
「この前の野盗を全員、ドイツ騎士団のグダニスク支部に売り飛ばしにいきます。出来れば金貨・三十枚ほどの代金を頂きたいですね。」
「バルトシュさん、館の修復代金はそれでは不足でしょうか。ここは金貨二百五十枚は提示すべきです。」
「えぇ! そんなにですか。」
「当然でしょう多大な迷惑をこうむったのですから。最初が肝心です金貨で五百枚に致しましょう。」
「いくらなんでも、五百枚はないでしょう。払わずに私どもが脅されてしまいますよ。」
「でしょうな。ですので、ドイツ騎士団の支部長には、金貨百枚残りはそうイワバとマルボルクとトチェフへの侵攻をしないという、確約書を三通もらって頂ければ、最高の報酬になります。」
「えっ! 確約書を三通ですか?」
「はい、各都市と村に一通ずつを頂いて保管するのです。モンゴルの侵攻はここポーランドの北部へは在りません。目下の敵となるのはドイツ騎士団だけですので、ぜひともお願いします。」
オレグはバルトシュを従えて、グラマリナの元へ行った。
「グラマリナさま。バルトシュさんたちの身の保全のためにリリーとソフィアを同行させたいと思います。」
「オレグ、二人は私の従者ではありません。オレグの考えで構いませんですわ。」
「はい、りがとうございます。」
バルトシュがお礼を言った。
同時にオレグは、
グラマリナに同行させる意味を説明した。そう三通の確約書の件だ。
「それは、そうですわ。とても素晴らしい意見です。バルトシュ、頑張ってきなさい。いい返事を待っています。」
また、
「ルシンダに頼んで、サローとヤンをお願いしましたら、よろしいですわ。」
「はい、頼んでまいります。」
オレグがそう言った。
1243年5月27日 グダニスク
グダニスクへはボブの船で行った。安心・安全だからだ。グダニスクに着いたら今はろくに使用されていないオレグの倉庫に泊められた。
ぶつぶつ言う蟹の集団に、
「お前らの言う事は聞けないよ。黙っていろ。」
夕飯が配られる。だが監視の光る眼が怖いから騒ぐ男は誰も居なかった。
「お兄さまは黙ってお姉さまに座っていなさい、と言っていましたわ。」
「あっ、そ。」
ソフィアはつれない返事をしたのだ。ソフィアとしたらこいつらの顔も見たくはなかったのだ。もう、嫌で嫌で仕方なかったのだ。ソフィアの眼がより赤く光り出す。
「もう、お姉さまったら~」
暗くなったら寝る盗賊。暗くなっても寝ないソフィア。翌朝にはかしらの服だけが残っていた。
「もう、お姉さまったら~。」
バルトシュもソフィアを恐ろしく感じたのだった。(おう、クワバラ、くわばら!)
朝になりバルトシュはドイツ騎士団支部へ、リリーとサローとヤンの四人で乗り込む。また、野盗の二番目を連れていく。
「支部長にお会いしたい。用件はこの男と仲間の二十八人を買い取って頂きたい。」
「しばらくお待ちください。支部長に用件を伝えてきます。」
待つこと約一時間。支部長のイワンが出てきた。
「これは、これは、遠い所からご苦労さまです。」
このドイツ騎士団支部へは、野盗討伐の情報が流れている様子だった。バルトシュはどこから来たとも言ってはいない。これならば、直前のイワバの襲撃も知っているだろう。
バルトシュは、
「いえいえ、さほど遠くはありません。眼の前に居りましたので、捕獲いたしました。当家の主がこやつらを売り払え! 出来なければ首を払え! と、歌劇のように檀上で歌いますので、いいえ過激に申しますのでこちらへ届けにまいりました。」
支部長のイワンは、終始苦い顔をしていた。
「これは申し訳ない事をこやつらがしてしまいました。こちらで罰しておきますゆえお許し下さい。」
「はい、お願いします、と言って私は帰る事は出来ません。ドイツ騎士団支部へは、損害金として金貨・五百枚のご請求を致します。」
「いやいや、これはワシ一人では決められぬゆ、……そうですな。ひと月は返事をお待ちください。」
「これは異なことを申されますイワンどの。この支部にも本部にも、この野盗の報告は上がっていたはず。野盗の行いには本部も損害の代償を払うという、通知が届いているはずですが?……ん?」
イワンはギクッとした。確かに昨日に本部から手紙が届いていたのだった。それも金貨六百枚を野盗と交換に支払うようにと。




