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人狼夫婦と妖精 ツインズの旅  作者: 冬忍 金銀花
第一章 駆け出しのハンザ商人 オレグ

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第45部 オレグが見た七つの夢⑤ 荷馬車が通る道


 1242年7月20日 ポーランド・トチェフ


*)転がる荷馬車?


 出番の無かったダミアンとタデウシュには特命が与えられた。そう、石切り場からトチェフの港へ通じる道のルートの選定だ。オレグは理想を言う。


「ダミアン、タデウシュ。人が運べる位の楽な道を作れ!」

「はい!?!」「ほえぇぇ~!」

「出来なくても、造れ!」

「オレグさん、意味が分かりません。俺らにも分かるように説明されて下さい。」


「あぁ、説明したる。ここの石切り場から、港の近くまで道路を通す。いいか、これは分かるよな。」

「はい、当然です。」

「でさ、重たい石を楽な方法で運ぶには、どうしたらいい。」

「ええ、馬で荷馬車を曳かせればいいでしょう。」

「そうだわな。だが俺は人が運べる道を造れと、言っているんだ。」


「いや旦那さん、それは先に聞きました。答えは出来ません。」

「それは、答えられないのか。」

「いいえ、出来ません。」

「それは、答えか?」

「はい、答えは、出来ません、です。」


「そうか、では改めて訊くが、ここから村はどのように見える、ダミアン答えろ。」

「はい、綺麗に見えます。」

「だな、ここから村はどのように見える、タデウシュ、答えろ。」

「はい、やや下の方に見えます。」

「タデウシュ。お前のほうがやや正しい。第一にお前らは専門家だろう? 俺の言う事が理解出来ないとは情けない。」


「すみません。最後まで教えて下さい。」

「そうか、この高台を利用して長い坂道を造れ。途中で上る道は造るな。すべて一本の下り坂にしろ。出来るな。」

「はい、出来ます。」

「よし、道ができたら、名誉にこの道を石を積んで運べ。」

「ええ、旦那。下り坂ですので楽勝です。。。?。。。」


 この二人から聞こえた言葉が、いくつ省略されたことだろうか。


「そうだ、チョベリグだ。分かったな!」

「はい、超、ベリーグーッド。ですね。」


 こうして下り坂が二,五kが続いた。タイル舗装するからやや危険だが、荷馬車にブレーキを付ければ安全に下れるだろう。



*)とても無理な水路の建設


 この土木工学のダミアン、タデウシュには、難題が出された。大小四つの池から十kにも及ぶ水路を造れ! というのだった。


 この意味はすぐに理解できた。


「この水路を使って灌漑と小舟を通す。出来なくても造れ!」

「はい簡単でさぁ。造るのは難しいですぜ、旦那。」


「お前らは、土木工学の地検だけだから簡単だろう。」

「ええ、時間はかかりますが、水路の地検、やって見せます。」


 地面を掘るだけでいいのだが、五年ででも出来る訳はない。この工事は先に役に立つのだった。ただし、この用水路に架けられた橋を壊せば? という条件が付く。さて、なんだろうか。


    ☆

        ☆

            ☆

                ☆


*)荷馬車の通る道


石工のシモンとマシュが働く。朝から夕まで槌音が響く石切り場。


「おう、うまいもんだな~」

「旦那、何を食べているんです?」

「いや、食い物じゃないよ。お前らの槌さばきがうまいと、言っているんだ。」


「そりゃ、専門ですけんの!」


「オレグの旦那、本当に村中の道に石で舗装するのですかい?」

「ああ、俺はやるぞ! 絶対に造りあげるよ。ま~見てな。」

「ええ、あっしらも、見ているだけでいいですか?」

「なにも働くのはお前らだけではないぞ。切出した石を道に埋め込む作業もだな、とても重要で大変なんだぞ。」

「旦那は見る人、俺らは作る人、農民は埋める人。」


「ま~正解だ。しっかり励めよ!」


「で? 今日の用件はなんでしょうか。」

「あ、それだ。忘れてしまうところだったぞ。掘り出した石をな、半分に切って四隅を切り落とせ。大きい石は約十cmの厚みで輪切りにしろ。土の中は凸凹でも丸くでもいいのだぞ。」


「なにを今さら言われますか、それは当然でしょうが・・・・。」

「あ、そうか、そういう通達を出していたか。」

「ついでにだがな、綺麗な表面の石はな、馬車の車輪の所だけでいいぞ。道路の端は多少とも凸凹でもいいだろうよ。」

「ええ、そのようにしています、」


「旦那、道路の表面は後ででも滑らかに出来ますぜ。どうされます?」

「それでもいいか。とにかく石の切断を頼んだよ。」


「それよりも、旦那、水車小屋を造って下さいよ。槌だけで石を割るのはとても疲れるんですよ。」

「よし! 少し手伝うよ。どうするんだい?」

「簡単でさ~。何処かへ行ってくださいまし。」

「ほぇ?」


 しかし、この二人にかかると、大きい石もすぐに半分にされてしまう。二本の金槌で器用に正確に割っている。


「オレグさん、今度奥様も連れてきて下さい。旦那との仲を綺麗に割ってあげますぜ!」

「おう、ソフィアが無事に戻ったらならな、そん時は頼むよ!」


 この事業は遅々として進まなかったが、オレグが教祖になってからというもの、


「オレグさま、お手伝いいたします。」


 と、村人が集まりだした。石の掘り出しと、切石を道路に設置する作業は農民が行った。


「旦那。これほど石を割るのが大変とは思いませんでした。」


 シモンはとマシュは、五分に一枚のタイルを作り上げるのだった。


 農民は設置する道路へ運んで並べるが、石の大きさがバラバラだから、揃えるために石の端を割っている。端材は持ち帰らずに道の馬車の車輪が走る所にばら撒いて路面の強化に使った。


 馬車に載せて次々に運ばれて、石切り場と港までの道がタイル舗装になり完成した。これで石工の長屋の建設が、あやふやになった。掘り出した岩は現地で割られる。小さくなった石は港まで運んで加工してもいいがここで加工も出来る。


 オレグは考えた。この地にはワインの工場とワクスとビールも作る工場を建てるから、石工の作業場と長屋は港に建設することに決めた。水車小屋は麦粉の製造に使われた。


「ワイン工場が出来るまでは、麦粉を製造する。」


 ということで村の子供が作業員として募集された。オレグは製造した麦粉とライ麦との交換を始めた。比率は九:一の良心価格に決めた。


 出来た麦粉は、随時ボブの船にて輸出された。


 石材とともに麦粉が輸出されてオレグの投下資本が回収され始めたのだ。


 やった、オレグ。おめでとう。 


 だが、これもオレグが見た夢だった。



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