表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人狼夫婦と妖精 ツインズの旅  作者: 冬忍 金銀花
第一章 駆け出しのハンザ商人 オレグ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/257

第40部 オレグが見た七つの夢 ルシンダとオレグ


 1242年7月20日 ポーランド・トチェフ



*)ルシンダとオレグ


 オレグは、シモンの所へ行き、


「なぁ、シモン、急ぎでここにエルザを呼んできてくれないか。用件は、来賓が見えたと言ってくれ。よろしくな。と、人相もな!」

「はい、旦那。急いで伝えてきます。」


 シモンも松の木の上で滑って転んだ。大きな悲鳴が上がった。


「俺は、松脂を塗りすぎたかな?」

「いいえ、松脂では滑りませんよ!」


「それで、オレグ。貴方にはこの村の案内をお願いしたのですよ。」

「このような、ケンチな村の案内をでしょうか?」

「それは私が考える事ですわ、よろしいですね!」


 オレグは試行錯誤中の水道橋を架ける所へ案内した。ここが一番近い所だ。


「ルシンダさま、今はここから第二の水車小屋まで、高さを変えずに水路を建設したいのですよ。どうでしょうか? 何かお知恵はございませんでしょうか。」


「そうですわね。無理でしょうか。」


 一言の返事で済ませるルシンダ。


「はい、回答をありがとうございます。この丘に石灰岩が在ることが分かりましたので、とても喜んでおりました。この石があれば都市の建設が早くできますもの。将来が楽しみなのです。」


「そう・・ですわね。オレグはこの村をどのように発展させたいのでしょうか。」

「ええ、今の人口を三倍まで増やそうかと、思案しております。」

「だから、人口受け入れのために長屋の建設を先に行ったのですね。」

「そうです。農民なんかはすぐにでも集める事は可能です。ですが、受け入れの準備が無ければ、すぐ他都市へ逃がしてしまいますから。恥ずかしいですがゴーストタウンを作ってしまいました。」


「まだ、建設戸数が足りないと言われますか?」

「はい、あの長屋は欠点が多いのも事実ですが、安近短の思想には叶った作りです。職人からはいつもバカ呼ばわりですよ、いや~まいります。」


「ですが、数世紀先には、完全に戸建ての住宅が多数並ぶと思います。」



「それは面白いお考えですわ。」


「はい。ここではきれいな水が湧き出てきます。数年も待つ気はありませんが、ワクスの製造、ビールの製造、ワインの製造まで行います。大都市では水さえ不自由していますから、水そのものも輸出する所存でございます。」

「ほほう、ずいずんと先の事を見ておられますね。」

「ええ、夢を見るのは自由ですし、お金も必要がございません。」


「そうでしょうが、でもただ一つだけは必要でしょう。」

「そうですが、人間には不可能です。来生の自分に命を懸けますよ。」

「あら、ま~。それはそれは!」


 遠くからは夫婦の二人が走ってくるのが、丘の上から見えた。デーヴィッドとエルザである。


「すみません、走ってくる二人を迎えに行きますので、少しお待ちください。」

「ええ、どうぞ。」




*)エルザとデーヴィッドとオレグ



「オレグさ~ん、来賓とは、もしかいて、ピアスタさまですね。」

「ああ、いや違うんだ。お忍びでルシンダさまと、従者の二人だけなんだよ。今はうちの姉妹も居ないから、呼ばせて頂きました。」

「わお、お嬢様なのですね。それは大変です。」

「そうですよね。今はエリアスご夫妻が不在ですので、お二人にはお姫様の歓待をお願いします。場所は長屋になりますので、不自由ですが、よろしくです。」

「はい、承知いたしました。」


「デーヴィッドさんは、至急長屋の一軒の掃除を誰かに行わせてください。」

「オレグさんのお隣? でしょうか。」

「ええ、必然的にそうなります。」


 夫婦は、


「デーヴィッド、もう大変だね。」

「おうよな~。」


「エルザさん、食事は館で作られて構いません。いつもの形式で食事を運んで下さい。たぶん、ルシンダさまはそれを望まれるかと思います。」

「はい、あの木の食器を使ってよろしいですね?」

「ええ、使わねばなりません。よろしくお願いします。」

「ガッテン、承知!」



 デーヴィッドは長屋へ行き、オスカル、イェジィ、ジグムント、マシュの四人に長屋の清掃を頼んだ。同時にデーヴィッドは、家財の確認を行い不足する道具を別棟から運んできた。


「旦那も大変ですね。」

「おう、そうよな~。なにせ貴族さまの相手もしなくてはならないしな。もう、胃袋が痛くなるよ。すでに穴が空いたかもな。」

「お~いイエジィ、お前の出番だ。旦那の胃袋の穴を塞いでくれ!」

「それは無理だ。バカを言うな!」


「旦那、寝具が有りませんぜ。」

「おう、そうだった。手押し車で運ぶか。あれがあれば、本当に便利だよ。」

「ですよね、あっしらも欲しいので、オレグさんには頼んでおりますよ。」

「はは、当然そうなるわな。」


 デーヴィッドは急ぎ足で三人の寝具を取りに館へと戻る。



*)ルシンダと長屋


 オレグはルシンダと従者を長屋に案内した。長屋は大体に掃除をしてるのでオレグが着いた時には終わっていたのだ。


「すみません、すぐにお茶の用意をいたします。ここでお休みをお願いします。」


 そう言ってオレグは部屋から出てきた。オレグは、リリーの花壇で止まり、


「お~いリリー。俺の声が聞こえるか~。ま、聞こえただろう。家に居るからな。暇なら出てきてくれ。」

「なぁにオレグ。もしかして、そうなの?」

「ああ、そうなんだよ。あのルシンダさまの急襲を受けてさ、困っているよ。そちらも大いに困っているだろう? 今は座敷牢かい?」


「そうよね~、こちらは、ルーシーさまの偽物を暴いてさ、今は取り繕う対策会議中なのよ。もう、うそのまま騙されていた方が良かったわ。」

「そうだろうな。俺がそうなっているだろうと、ルシンダさまに言ったら、もう大声で笑ってあったよ。」


「そうなんだ。お姉さまにも報告をするね。序でに、偽のルーシーさまにも。」

「それから、」

「ええ、分かりました。で、お茶の用意ですね。」


「お湯は出来ないから、ワクスを氷室から持ってきてくれ。氷室のカギを取りに行く暇がないんだよ。」

「OK、すぐに持ってくる。器は有るの?」

「ああ木彫でたくさん作ったよ、一個だけだが見本に持って帰ってくれ。」

「違うよ、氷室から取り分けて持って帰る容器の事だよ。」

「あっ、そうか。ならば、この大きい鍋だな!」

「そう、これね~。ふ~ん。」

「なにさ、大きくてもいいだろう?」


「もういい。樽ごと持って来るよ。」・・・・・「ブ~~~!」


「見つかったらやばいから早く帰ってくれ。マイハニーによろしくな。」

「ブッブ~~~!」

「??・・可愛いリリーも、可愛いよ!」

「うん、オレグも頑張ってね!」 


「ゲート。」



 オレグはワクスを注いで三人に持っていく。


「ルシンダさま、これは私の魔法でございます。」


 オレグはキンキンに冷えたワクスを木の器で提供した。



「キャッ! なに、これ、もう、最高だわ!」


 サローとヤンも、大きく目と口を開けて飲んでいた。


「おかわり!」x3


「オレグさん、私を見て笑ったでしょう。」

「実は、こころの中では笑い転げております。」

「今でも?」

「はい、あさってでも、です。」

「わぁ、ひどい!」


 今日はオレグでも冷たくておいしかった。緊張の連続だったからだろう。北欧でも七月の日光は暑いものだ。


「サローとヤンさんには、こちらをお飲みください。よく冷えたワインです。」

「おう、これはいけるぞ!」

「貴方たち二人は不憫だわ、オレグが思い出さないと、存在すらも忘れてしまいますものね?」

「はい、そうですよ。私らの出番がございません。」


「オレグ、もう隠している魔法は有りませんの?」

「はい、こちらにはスノーマンがございます。いかがですか? たった今、冬の野山から雪を集めて作りました。」


「え~、うそでしょう?」

「ルーシーさま、これは本物です。食べれますよ!」

「では、はちみつをここにご用意いたしました。アイスクリームでございます。」


「きゃっ、はっは、ぎゃー、ハッハッハ~!!!!」


 お姫さまは本当に笑い転げてしまった。


「ひっ、もう、ひっ、オレ、ひっ、グには、敵いませんわ! はぁ~!」

「・・・・・・・・。」

「ああ、とてもよく笑いました。ありがとうございます。」


「オレグ、まだ隠している魔法はありますのね?」

「はい、次は夕食のお楽しみでございます。」

「ええ、楽しみにいたします。」

「・・・・お嬢様!!!」

「いいのですよ、サロー。貴方も笑いなさいな!」

「いえ、そのような・・・・・・・」


「さ、ルシンダさま、今日は遠路を歩かれたでしょうか、夕食までお休みください。ご用意が出来ましたら、お運びいたします。」

「ええ、そうさせて頂きますわ!」


「ほら、お前たちも出ていきなさい。」

「お二人には、隣家でお休みください。」

「おう、そうさせて頂くよ。」


 オレグは今すぐに氷室へ行き、頭を冷やしたい思いでいっぱいだった。だからオレグは館に氷室のカギを受け取りに行った。


「スズシイ! 今晩の焼き肉はシカと豚と牛でいいか。」


 ルシンダは、


「うふふ、オレグの将来が楽しみだわ!」

 

 


*)宿屋の建設とパブの建設


 オレグは自宅に帰って思いついたことがあった。宿屋の建設とパブの建設だ。なんと、今すぐからでも営業が出来るのだ。


「お姫様、ありがとうございます。」


 オレグは、ルシンダを長屋に招いたことがヒントになって、この前から建てたいという、宿屋とパブを明日からでも営業を開始しようと考えた。


 長屋の十軒の真ん中にパブを。他の九軒を宿屋に作り変える。これは最高の思いつきだった。贅沢をいうならば、庶民用と貴族用の二棟の宿屋が在ればいい。


 そう考えたオレグは一休みした。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 オレグは姫様が帰ったらすぐに取り掛かる事に決めた。オレグは、石工のシモンを呼んで長屋の一軒のかまどの改良工事を指示した。


「旦那は、もう天国には行けませんぜ。そうとうに人使いが悪うございます。これでは私どもは疲弊して死んでしまうでさ~」


「はは、そう言うなよ。この俺だって新建しんけんにだな、掛けているんだぜ?」

「もう新築しんけんは十分でしょう。少しはわし等にお休みを下さいまし。」

「おうおう、休みはどんどんやるぞ~。」

「はぁ、仕事が終わるまでは、与えて頂けませんね・・・・。」

「おう、仕事が終われば、海外旅行だ! 楽しみにしておれ!」


「ええ、空高くでなければ、十分ですわ。」

「??・・空高く?・・・・、あ、天国か!」


 次は、家具職人のオスカルを呼んで指示を出す。


「オスカルさん、この家をパブに改造するから、飯台と椅子を作ってくれ。隣の部屋は台所に改造だ。どうだ、出来るだろう。」

「う~ん、粗造りでよろしいでしょうか。」

「おう、その方が風情があっていいだろうよ。頼むぞ。」

「次は、他の九軒を宿屋に改造してくれ。出来るだろう?」


「ア、ハ。・・・ハハハ~!!」


 今にも死にそうなヘンリクの可哀そうな笑い声が響いた。


「もう、仕事が終わるまでは、お休みは与えて頂けませんね・・・・。」

「おう、仕事が終われば、海外旅行だ! 楽しみにしておれ!」


 オレグはパブと宿屋を手に入れた。


「オレグ、起きて下さい。オレグ! 夕食の準備が出来ましたよ。」

「おう、もういいところで起こすなよ。もう少しで俺の城が出来たんだぜ!」

「なに寝ぼけているのですか!」

「ほぇ?」



石工の派遣、 シモン、マシュ 建築の派遣、 イェジィ、ジグムント

鍛冶屋の派遣、カミル、 レフ 家具職人の派遣、オスカル、ヘンリク

酪農の派遣、レオン、マルチン   土木工学の派遣、ダミアン、タデウシュ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ