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人狼夫婦と妖精 ツインズの旅  作者: 冬忍 金銀花
第一章 駆け出しのハンザ商人 オレグ
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第4部 ボブが仲間になる?

   

 1241年4月1日 バルト海・ゴットランド島、ヴィスビュー


*)宿屋


 この男の名はロバート[Robert] と言ってボブは俗称らしくて、ボブの名前で通じない人がいた。色々尋ねたらボブの事だったのだ。


 それはさておき。


 機嫌よく風呂を済ませた俺様だったが、四4人揃って隣のパブに行った。何のことはない宿屋の主人一家の店だった。暫くしてカウンターに立ったのが主人なんだから厨房はかみさんだろう。店のメイドさんは娘の二人かな。


「お客様、食事の代金は現金でよろしいですか? それとも、宿代での清算も出来ますが、いかがですか?」

「現金で頼む。ここのお勧めの料理は?」

「はい、お魚の料理が評判いいですよ。自慢料理を五人さま分をお出ししますね。」

「いや、ここには? あ、そうしてくれ。一人分は別会計で頼むね。」

「はい、待ってて下さい。」


 待つ事数分だった沢山の料理が運ばれる。運んで来たのは予想通りにボブだった。子供二人には多すぎるかも知れない。娘がビールを三杯運んで来た。


「ボブ! ご馳走になるぜ!」


「なに言ってやがる、こちらがなんでご馳走するんだい?」

「違うのか?」

「違わないけれども、傭船のご要望があれば? の話しだ。」

「船! 頼むんだろう? あ、あん?」


「いや、いいよ。まだ荷物も決めていないし。オムニシップでもいいかも知れないしな。四人分は直ぐに払うよ。お姉さん、幾らだ?」

「はーい!お待たせしました。四百クローネです。」


「四百? 高くはないでしょうか。ええ? お姉さま。お・い・く・ら・で・す・か」


 お財布持ちのソフィアが強面で尋ねる。



「なあ、兄ちゃん、姉ちゃんが困るからさ、払ってくれよ、な?」

「ちょっと、ボブ! なんで姉ちゃんが困るのよ。この私が見ても高過ぎだわ。オレグ! 返品して!」

「OK,ソフィア。半分を返品するよ」


 娘は泣きだして走って奥に行く。ボブは弱り切った顔をした。


「ま、待ってくれ!」


「俺たちは貧乏人かもしれね~ぞ。俺の懐は彼女が握ってるからして、彼女を先に口説いてくれ。口は出さずに見てるよ。ソフィア! 後は頼む」


「この高そうな、マグロは返品ね。四皿で幾らかな。タコの酢の物は食べたいしサケのムニエルも返品ね。ニシンの塩焼きはいいわ頂く。それから……、」


「なんでケチるんだい。今日は顔合わせでな、こう豪勢な食事をだな、な、な? こう、なんだ、その~、いいから食べようぜ。な?」

 

「いいや、マグロは絶対に返品ね。譲れない」


「いいよ、半分持つぜ、独断で豪勢にしたからな。高い魚も調理させたし。しょうがねえ~や。全部食べてくれ。」

「あんがと!」

「おかみさ~ん。話は着いた。全部頂くよ。」

「あいよ、おおきに! ボブちゃん。」


「ブッ、ボブちゃんか。」

「るっせ! 黙れ。おたんこなす。」


「な、ここの宿はいいだろう。部屋は綺麗だし、暖炉も有っただろう?」

「おお、ソフィア! 君は部屋を見たのかい?」

「いいえ~、見てないわ~。風呂で頭が~、いっぱいだったのよ。」


 ソフィアは歌いながら返事をした。かなりの音痴だ。目は料理に釘づけか! 魚のように泳いでいる。


「もうお風呂は、指折り数えて何日かな。あ、指が足りない。オレグ、指を頂戴! 足の指もね。」


「全部ででも足りねえだろう。おい、リリー、俺らはどれ位天国に居たか分るかい。大体五年は寝てた気がするよ。」

 

「生まれ変わりだから九年だよ。今回は長かったね、いい種が無かったもの。」


「おい兄ちゃんたちは何かい? 神様か? 生まれ変わり? いつたい何を言ってるのか分らね~な。」

「気にする必要は無いよ。」

「おいリリー、いい種とはどういうこったい怒るぞ!」


「怒らない、怒らない。ビールを飲もう?」


「部屋は綺麗だったぜ。二階の突き当りで、思わず窓から飛び出してびっくりしたもの。港の景色にソフィアは気に入ると思うよ。オレグには綺麗な街並みが見える小部屋だな!」


 ノアが見て来ていた。変な方に良く気が利く妖精だ。小部屋とはなんだ?


「おお、そうだろう。一番高い部屋だもんな。誰も泊らないから、頼んでいたんだ。気に入ってもらって良かった、良かった。二部屋もあるもんな!」


「なんで、そこに決めたんだい?」

「そりゃ~、真向いが俺の家の部屋だからさ。会話も出来るしな。」

「覗きも? か。あ?」


「イヤよ! あの部屋はキャンセル。私は裸を見られるのは絶対に、イヤ!」


「見えね~よ! バ~カ。」

「バカとはなによ!」


「よう、姉ちゃん。風呂はどうした? 二~三人は客が居たと思うが?」

「全部追い出したわ。私が叫べばみんなは出て行ったもの。叫んだだけよ。みんなが勝手に出て行くんだもの。私のせいじゃない!」


 あはははー、と俺は笑った。そして、


「ソフィア! またやっいのかい? どうでもいいが、ほどほどにしておくれ。」


 オオカミの遠吠えで叫んだだけだ。ついでにしっぽをサービスで見せたかも?


「ちなみに、他の部屋は幾らだ? 百か、百二十かな?」

「すまねーな、九十から百五十だ。毛布とかは別料金だけれどもな。」


「あの部屋な、布団が破れたりしてないから。ネズミも出ねーぜ。な、いいだろう。」

「もういいよ、腹ペコで作業したから疲れてるし、ぐっすりと眠りたい。」


「おい、ソフィア! そんなにビールを飲んだら、頭が割れるぞ。いいのかい?」

「うん、もうお風呂に入ったから喉が渇いてしようがないの。まだ飲み足りないよ。お料理も美味しいしね。ボブ!ありがとうね。ウフン!」


「酔っ払いの戯言たわごとだ。気にしないでおくれ。」

「ああ、そうだな。なあ、兄ちゃん。明日からの予定は決めたのかい?」


 俺はハンザ商館に、ハンザ同盟の商人を頼んでいた。もうそろそろ到着する頃か。商人らしい男が入って来た。俺は手を振って合図をした。


「やあ、こんばんは。商館長の依頼で参りました。マクシム、といいます。」

「初めまして、オレグです。この嫁はソフィア。子供は飛ばして、こちらがボブさんです。傭船の船長さんです。」


「なんであたしたちを飛ばすのよ。怒るわよ! おたんこなす。」

「あらあら、可愛いお嬢さんと坊ちゃまじゃありませんか。紹介抜きはひどいですよ。」

「あたいは、リリー。こちらは、ノア、よ。よろしくね!」

「こちらこそ宜しく、です」


商談、開始。につづく。



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