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人狼夫婦と妖精 ツインズの旅  作者: 冬忍 金銀花
第四章 国盗り物語
198/257

第198部 空を飛ぶ赤眼の魔女


 1250年3月13日 ハープサル・プリムラ村



*)空を飛ぶ赤眼の魔女!


「カンカンカンカンカンカン。」「カンカンカンカンカンカン。」


 と突撃の鐘の音が轟く。



「いいかお前たちには、前の戦いの恨みを晴らして貰いたい。海に落ちた者は俺の親父が拾って回るから、そのまま泳いでいろ。」


「泳泳・オー!」


「ヴァイキングを海に落とした者には銀貨十枚の賞金を出す。今日の戦いの相手は元ハープサルの住人だから殺すでないぞ。殺したやつは報酬の銀貨は与えない。とにかくヴァイキングを海に落として放置し、戦いに専念して欲しい!」


「オー!!」x?


 村人は漁船に乗って戦闘に出て行く。


「リリー、アウグスタは空を飛べる事が出来るかな。」


「あの女にはそのような魔法は使えないはずでございます。ですが私の魔法でピョコピョコと、船と船の間を跳ばせる事が出来ますので、その方法で!」

「出来るのならばそれで構わない。後はアウグスタが男共に力加減が出来るかどうかだな。」

「そればかりはこの私にもどうする事も出来ません。港から船も出ましたので海の足場が出来ました。今から飛ばしますね。」

「よろしく頼む。俺はプリムラ村へ戻ってソフィアと上から見学する。」


「ゲート!」


「赤眼の魔女さま!」

「赤パンの魔女さまだ!!!」


「全員、突撃~!!」


 アウグスタは村人から色々な名前で呼ばれるが気にしていない。きっと耳に入らないのだろう。


「うっひゃっひゃ~!」

「赤眼の魔女さまの笑い顔が、凄くおっかね~!」



「ソフィア! 今、私の全力を見せてあげるわ。……うっひゃっひゃ~!」

「ひゃ~おっかね~!!」


 うっひゃっひゃ~と笑いながら、アウグスタはリリーにより飛ばされた。一番前の船に着船したアウグスタは、


「うっひゃっひゃ~!」

「バコ~ン!」x15


 と一撃を食らわせて回る。ヴァイキングはそれ位では怯まないが、リリーが勝手に次の船へ跳ばしてしまう。


「いや~ん、もっと殴りたいのに~!」


 しかしアウグスタは口からたくさんのゆだれ、もとい、よだれを垂らしながら舌も垂らしながら、次のヴァイキングに襲いかかるのだ。


「ぎや~食われる~助けてくれ~!」


 逃げ場の無いヴァイキングたちは次々と海に逃げていく。赤くて大きい目をしたアウグスタはより大きく口を開けて笑い出す。


「うっひゃっひゃ~!」   「うっひゃっひゃ~!」


 ヴァイキングを獲物としか認識しなくなると目の瞳は小さな点へと変わる。大きな眼に白い目。瞳が見えない怪物へと変身していた。


「うっひゃっひゃ~!」             「うっひゃっひゃ~!」

「バコ~ン!」x15               「バコ~ン!」x15

「ほら次よ、早く私を跳ばしなさい!!」


 次々とヴァイキングに襲いかかるアウグスタに、リリーの詠唱魔法が追いつかない。


「ほらほらほららら・・・、次よ、早く私を跳ばしなさい!!」


「いや~もうアウグスタには付いていけない~、助けてお兄さま~!」

「ゲード!!」……??……「ゲート。」

「あ、リリー。手に負えないのか!」

「はい、あのアウグスタの動きが速すぎて私の魔法が追いつきません。ですからお兄さまの魔力を分けて下さいませ。」

「よしいいぞ!」

「いや~ん! そこはだめで~す!」

「いいじゃないか、口移しをしていたら前が見えないだろう。」

「えぇ、はい。そのまま私のお尻をなで回して下さい。」

「ほらほらほららら・・・・、すりすり・・・・・・スリスリ !!」


 オレグはリリーの尻を時計回りになで回す。まるで、そう、ゼンマイを巻くかのように!」


「リリーその調子よ~、もっとパワフルに私を船から船に飛ばしなさ~い!」

「アウグ~これでどうよ~!」


「いや~ん、先にはもう船が無いわ~!!」    「ボッチャ~ン!」

「あらあら、飛ばしてアウグを落としちゃったわ。」


 恐怖に怖じ気づいたヴァイキングは村人から次々に海へ落とされていく。同時に人が居なくなって航行出来ないヴァイキングの舟には漁夫が乗り込み、舟を港に引き入れていく。その奪った舟が段々と多くなり、海で泳ぐヴァイキングだけになる。そのヴァイキングはリリーの使用人魔法によりオレグの使用人と変わる。


「お頭。こいつらは全部、頭が変ですぜ!」

「そんな事はないだろう。お前が頭を叩くせいだろうが。」

「いいえ、こいつも従順になっています。」


「おい倅や、お前の性格もえげつないな~!」


『楽だからいいだろう? 』と言うオレグの声が聞こえたらしい。オレグの親父が空を見上げたら、空一面にはオレ雲が広がっていたのだった。



「俺は恐ろしい息子を持ったのか! それとも俺の女房が悪いのか!」



 ヴァイキングは全滅。多数の舟も人間も捕獲されてしまった。ここから伝説が生まれるのだろう。


「親父、デンマーク襲撃用の奴隷船を建造してくれないか!」

「んなものは要らないだろうが。拿捕してそのまま帰って来い!」

「そうだな、そうするよ。」


 夕方には戦闘が終わった。海に落とされた者は全員が裸にされて次々に****へ連れて行かれた。


「リリーさん、大概で私の妻を引き揚げてくれませんか。水泳はもう十分でしょう。きっと妻の頭も冷えていると思います。」

「あ、すみません。気がつきませんでした。」

「ニコライ。嫁さんをありがとうな。お陰でハープサルの村が救われたよ。このお礼は何がいい!」

「オレグさんには、何も望みません。もう嫌いです。」

「それでは困る。どうだ、リガの貴族に据えてやろう。」

「はいオレグさん。好きです!」

「……。」


 言葉が出ないオレグだった。ニコライにはエストニアの貴族になって貰う予定だが、どうなるのだろうか。


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