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人狼夫婦と妖精 ツインズの旅  作者: 冬忍 金銀花
第四章 国盗り物語
182/257

第182部 凄まじいい、スウェーデンの魔女 アンナ


*)バルト海クルーズのゴンドラとヴァンダ王女



 バルト海のクルーズに出ているヴァンダ王女とゴンドラが***に帰ってきた。きっとゴンドラがドラゴンに変身して空を飛んでいたのだが、ヴァンダ王女を背中に乗せて飛んだとは思えない。きっとドラゴンの姿でヴァンダ王女をゴンドラに乗せて運んだと思える。



 この二人の空中視察で判った事があった。一目瞭然なのは海上の船の数や航海先の国が判る事だ。今年はデンマークの様子がおかしいのではないか、と報告を受けたのだ。やけに船の数が多いように見えたらしい。それで首都のオーフスには他国の商船が少ないらしい。逆に国の船が多いという。所謂ヴァイキング用の軍船だ。これが意味するところは他国への侵攻か、エストニアのテコ入れか!


 首都のオーフスは、


 オレグが右を向いたように見立ててちょうど鼻の下になる処に位置している。途中でからコペンハーゲンが首都になり今では第二の人口を有している。




 1249年8月14日 エストニア・レニングラード



*)ロシアの銀地金の買収


 朝起きたルイ・カーンの最初の仕事は昨晩と同じ顔がパブに居るのか! だった。朝食のテーブルに着いてさっそくルイ・カーンの目が泳ぐ。ルイ・カーンが取った席は、二階から降りてくる者が一望できる。顔を前に向けるだけで階段の踊り場が見えるのだ。パブの店内を首を振って見るというような、違和感がないのである。


「公爵さま、この席ならば不審がられずに観察が出来ますね!」

「バカ言え! だったら俺は店内が見えないだろうが。だから、これからはお前らが店内を観察する番だ!」

「ららりゃ~、そういうことですか~。」

「そうだ、だからもっと頭を使え!」

「いやだニャン!」   

「出来ないニャン!」

「ケっ! 使えないな~。も~。」


 朝一でテーブルに着いたルイ・カーンと違って、ソフィアやリリーたちは三番目あたりで降りてきた。もう少しで満席になろうかとう時間だった。カァ、カァとカラスが鳴く。囀りなのか!


「お前ら、カァ、カァとうるさいから向こうへ行け!」

「私、カラスではありません。」

「俺にすれば同じだ。リリー向こうの席で頼んだぞ!」

「はいお兄さま。十分に観察しておきます。特にお兄さまに熱い秋波を送る目線には気を付けます。」


 これだけの会話でリリーと別れる。同時にルイ・カーンは右手を上げて親指を立て、そして隣の席に親指を落とした。


「おぅ、随分と早いな。ここが俺の席か!」

「あぁオヤジ。そこに座って俺をガードしてくれ。」

「おいおい朝からずいぶんと物騒だな。誰も不審な者は居ないよ。」

「ならいいのだよ。……どうだい、今の俺の恰好は!」

「まぁ三流の商人ってところか! 逆に昨晩との隔たりで目立つだろう。」

「そこが目の付け所さ。昨晩の俺をいかに覚えている連中を見つけるか! の為なのさ。……おいおい少しは感心してくれよ。俺の才覚はどうだい。」


「ゲのゲ。席を取る処も間違っているだろうが。ここからどうやって店内を見るつもりでいるのかな~?」

「っるッせ! この妖怪ジジイが!」

「倅も、まだまだだな。」

「おう、そうかい。……??……。」

「なんだ、どうした。」

「うん、あいつら、俺を見て降りて来たぞ。」

「お前がそこに座っているからだ。俺だって見ていたぞ。」


「公爵さま、さえな~い!!」  

「っるッせ!」


 このパブでは異常なしで過ぎた。各自部屋に戻るのだが、突然メイドがお皿を落として割る。「ガッチャ~ン!」 有りえない。木の板が割れるはずはない。落としたのは銀の板の短冊だった。


「有った!!」


 ルイ・カーンはメイドに注視する。メイドの視線が店内を一巡する先の視線をまたしても注視する。


「居た!!!」


 ロシア軍人の私服らしい人物が目を伏せる。


「オヤジ、見つけたぜ、きっとパブの代金の裏金に使ったんだろう。あの男をモノにできればいいんじゃないかな。」

「そのようだ。年は若くはないから軍でもかなり上に位置するだろうな。小娘を尾行させるか。」

「いいや、逆に俺を尾行させたいのだが、出来るか。」

「どうしてだ、」

「俺の船まで暗について来させて、俺の意図にくみさせる方が早いよ。俺の方から接近して警戒されたら逃げるだろうが。」

「あぁそうだろう。確かにそうかもしれない。お前の顔が怖い!」 

「ケッ!」


「俺は港に行くからオヤジはあいつに付いて行ってくれ。共はその白黒の猫だ。この二人で芝居を頼む。」

「いったい、どのような。」

「これ、芝居のレシピだ!」

「・……、……、これ、読めない。お前、字が書けなかったとは親失格だな。」

「うるさい、そこの猫に見せろ! それだけでいい。」

「ほれ、お前、この文字が読めるのか!」

「読めないけれども、判るニャン!」

「いいニャン! 芝居で釣ってやるニャン!」


 この男が仲間入りするのならば大きな突破口ができるぞ! とルイ・カーンはいそいそとパブから出て行く。パブから少し離れた所で立ち止まり、ロシアの軍人らしき男が出てくるのを待った。後ろを見ないでもベギーが大声で知らせる予定だ。……聴こえた!


「なんだい、嬢ちゃんの顔は!」

「今日は腫れているから顔が重たいです!」   

「プッ!」


 突然ロシア人の後ろで大きな声が聞こえた所為か、ロシア人が振り向く。立ち止まったロシア人にベギーが大きくぶつかる。そうして銀地金をワザとらしく道にばら撒いた。


「あれれ、ごめんなさい。これ見なかった事にして下さい。」


 ベギーがぶちまけた銀はロシア製造の印、マークがついている。これはペールが前回苦労して手に入れた銀の地金だった。


「おやおや、これはどうされたのでしょうか?」

「はい、あそこに歩かれる公爵さまから頂いた、夜の奉仕料ですよ。貴方も今晩! どうですか?」

「いや、俺には鼻が利く、とてもうるさい女房が居るから無理だ。だがあの人物はなにをしている?」

「え~と、……秘密ですよ! 夜のお客の秘密をばらしたら、私が絞殺されます。いわゆる、マゾって言う性癖で!」

「それは、ばらさなくて同じだろうが。」


「まぁそうですわ。それで秘密というのがですね、港まで付いて行けば判ります。私たちも同じ目的ですわ。あの公爵さまの仲間に入りたくて接近していたのですもの。きっと西の大富豪ですわ……。うっとり!」


「……すると、俺も、……。」

「一緒に仲間になりませんか? 私たちはこのボスの指示で夜の諜報活動に専念しています。昼はボスが港で、建設現場で、睨みを利かせるんです。」

「ほほう面白い。どれだけの御仁か見に行くか!」

「それからでも遅くはありません。もう少し離れて付いて行きましょうか。」

「分かった。で、」

「はい私はベギー。妹ちょはシン・ティ、サキュバスです。」

「さ、」

「キュバス。どうです、面白いですよ、妹のあ**声!」

「あ、え、……いや、いい。どうでもいい。それでその公爵さまは?」

「はい、この銀の地金をたくさんの荷物と交換、……着きましたわ。あれらの船団が全部のようです。同じ船の形をしていますでしょう、1,2,3,4,5、・・・。船は全部で五十艘は在ります。」


 港に停泊中の船が五十艘なのだろう。主語がないだけだ。


「あの船には何が、」

「はい、ロシアも喉から手がでるほど欲しがるライ麦と、他は……西側の食器や鍋。それにワイン…です。それもかなり度数が高いらしいですわ。妹は一口飲んだだけで、サキュバスが出来なくなりました。」


「……、ツ、……。ホントか!」


「はい、卒倒するくらいに強いらしいです。今晩にはどうです? 一杯!」

「ふむ~、……よし、付き合おう。ただしお目付け役が一緒だがいいか。」

「はい、軍上層部のお妾さんですね!」

「く~よく判るのだな。」

「はい、伊達に客は摂っていませんわ。」

「お~怖! 俺の尻子玉は抜かんでくれよ。大事な商売道具だからさ。」

「あれ~? 同業者さんですか!」

「あ、しまった。……白状すると、そうなんだ。女に貢いで生活の糧にしている。なのにあの女はお金でなくて銀の地金しか渡さない。お蔭で苦労している。使える処が少なくてな、あのパブが唯一のめしにありつける店なのだよ。」



「わ~とてもいい事聞いちゃったわ。……ボス、どうです。あのパブから銀を買い取りませんか?」

「それも……いいな。今晩、頼んでみるか。それで……。」

「あぁ俺か、俺はゴルビーというんだ。よろしくな。」

「俺はボスの……、なぁベギー。俺に名前があったかな。いつも妖怪だのギルド長だのとしか呼ばれていないよな。」

「あ、このボスは、妖怪ジジイで通じます。そう呼んで下さい。」

「妖怪ジジイか! これはおもろい。」


「鼻を伸ばした船長が降りて来ましたわ。少し話してみますから来て下さい。」

「はい~喜んで~!」


 ベギーvsロシア人の会話が主です。適当に読み流しされて下さい。


「ねぇ船長、」

「なんだい姉ちゃん。間に合っているぜ。」

「そんな事知っています。船には六人を相手に奮闘されるとか。」

「あぁそうだ。船ならただだしな、……おいおい俺に何を言わせる。それで、」

「はい、あの公爵さまが、ここに来た目的はご存じでしょうか?」

「あぁ、あのケチなタコだな。あれは俺の船の満載の荷物と銀を交換したいらしい、という事までしかしらないよ。それで、そこの……。」

「はい、お客様のようです。船長もケチな公爵の積荷の横流しを! どうです?」

「嬢ちゃんが受けるのかい。交換できるものはなんだ。」

「銀の地金ですわ。レート、交換比率は……この方に訊いて下さい。」


「おう兄ちゃん。ナンボだ!」

「あぁそれな。俺も裏ボスに問い合わせないと判らない。俺が一晩で三枚だからさ、ライ麦一袋で地金が十枚とか二十枚だろうな。きっと儲かるだろう。どうだ、ちなみに十袋を抱えて付いてくるか!」

「俺には一袋も持てないよ。……そうだな、昼までにさ、あの路地に来てくれないか。ライ麦と上等なワインを置いて待っている。……どうだ!」


「はい~喜んで~!」



*)ライ麦と銀地金の交換始まる


 路地に待機するのは公爵のルイ・カーン本人であって、ボブ船長はお縄を頂戴している姿であった。どこまででがお芝居なのあろか。


 あくまででもボブ船長が主体なのだから、同席していないとおかしい。ルイ・カーンの横には黒白猫も同席している。


「ほら見えましたわ。あの男性です、名前がゴルビーというんです。」

「どこかで聞いたような名前だな。しかし、よく獲物が釣れたな。」

「公爵さま、逃がさないようにして下さい。逃がした獲物は大きいと言いますし。今回は本当に大きいかもしれませ……。公爵とても大きいです!」


 体格の良い中年将校と一緒にくるのは豊満ボデーの胸がものすご~く大きい中年の婦人だった。名前がアンナ、どこかで聞いたような。そのアンナの旦那は聞いて驚く、ホルスタイン公爵”だという。


「んな、バカな!!」


(アンナ・ペトロヴナ、ホルシュタイン=ゴットルプ公カール・フリードリヒ。)

 読者を冒涜するような、過去の人物を探してくる俺”


 二人の男女はボブ船長が囚われていたので途中で躊躇し立ち止まった。ここはすかさずベギーが手を振って懸念を払拭ふっしょくさせるのだった。



「ベギー行け!」  

「はいは~い!」


 とベギーは駆け出す。そして身振り手振りで安全だと説明しているのだろう。ベギーと男の会話がすぐに終わりベギーvs女となった。長い、とても長かったのだ。とても用心深いのか、とても狡猾なのか、どちらかであろう。終わった!


「公爵さま、こちらはアンナさま。どうも公爵さまの奥さまのようです。失礼のないようにお願いしますね。いいですか妃さまですよ!」」」

「あ、はい。分かりました。アンナ妃さまですね!」


「初めまして、私、次期エストニアの公爵に座る予定の、ルイ・カーンと言います。以後よろしくお願いします。」

「そうですか、それでそこのお縄頂戴の船長は悪事がバレたのでしょうか?」

「まぁそうですね。こいつは己が懐に入れようとした為に、ふん縛った次第で他意はありません。目印の為に置いています。……これベギーもういいから縄を解いてやりなさい。懲りて船長を辞めると言われたら私が困ります。」


 ルイ・カーン、ソフィア、リリー、シビュラ、シン・ティ、ベギー、シーンプと二人の娘。エレナ、ソワレ、キルケー、シビル。と、魔女の3人。だからウソが多い。船長役はシーンプなのだが。オレグの船は一艘だったはず。


「そんな痩せっぽち、船長ではありませんね。」

「臨時ですので船長は船長です。本当の船長は軍艦に所属させていますので、こんなチンケな船には乗せません。」


「軍艦?? 初めて聞きましたが、それはなんでしょうか?」

「はい、対ヴァイキングに特化した大きな船です。漕ぎ手も居ない、まか不思議な船でございます。動力はすべてが魔女の魔力で動きますし、先月には海賊船団の五十艘すべてを沈めてしまいました。」


「まぁなんと、ウソがお上手ですわ。そのような船は存在するはずがありません。在れば私にも売って下さい。」


「いえいえ、それでは私たちが逆に沈められてしまいますので却下させて頂きます。どうです、我が船団へお越し頂けませんでしょうか。美味しいワインをご用意しております。」

「私、ワインにはうるさいのですよ。はたして気に入るでしょうか。」


「もちろん百二十%で!」

「まぁ嬉しい!」

 

 アンナ・ペトロヴナはロシア皇帝、女帝、だのと言われる人物。その取り巻きがとても素晴らしい。ロシアの富を独占するかのような? 容姿端麗で、バイリンギャル? の頭脳の持ち主。生い立ちは庶子扱いであったが、時期に嫡出子になった。夫はスウェーデン王家の血筋。今はスウェーデン王家の力は小さいが、将来のレニングラードはスウェーデン領となる。スウェーデンはオレグの軍艦の秘密を手に入れて中世ヨーロッパを圧巻するのである。数百年もの齟齬が有るのだがご容赦下さい。まぁ歴史半分創作半分ですか。


 のような? 逸話を聞かされたルイ・カーンは、アンナが、


「私、黒い悪魔です!……、」


 と一瞬考えてしまった。アンナは夫がレニングラードを欲しているから、その基盤を壊しに来ているというのだ。元ロシアの女帝だから軍部も産業も意のまま! というらしい。そうしてロシアの銀で得た

ライ麦はすべて不毛の土地が多いスウェーデンへ送るという。


「なんというすさまじい女帝だろうか!」


 とルイ・カーンは恐れ慄いた。同時に、


「俺がエストニアを手に入れた暁には戦争まで発展するのだろう!」


 とも予想をしてしまった。




「唖ぁ、私の女帝さま!!」






































































「イヤです、私はホルスタイン一筋よ!」


 どうだ、ここまで書けたぞ!!



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