第145部 ソフィアとアウグスタ
1247年10月8日 ゴットランド島・フォレスンド
*)ソフィアとアウグスタ
メイド五人とソフィアとアウグスタが乗る後続の船。左右に大きく揺れている。
「シビル。あの船を揺らすのは止めろ。借り物の船が沈んだら困るだろう。」
「オレグ。あ~なんという懐かしい響きかしら。」
「まだこの俺をおちょくるのか。もう勘弁してくれないか。これも愛する家族を助ける為にだな、地下に潜ってな、」
「オレグ無理しなくてもいいわよ。それであの船が揺れているのは、私が風を吹かせているからとでも思っているの?」
「だってそうだろう? この船はそよ風程度でもう急いで帰る必要もないのだからさ、ゆっくりと進んでいるのだし。」
「そうね、あの船は仲のよい女の二人が揺らしているのよ。俺ではないよ。」
「じゃぁ時々突風で物が飛んできていたのはどうなんだい。」
「あれも仲のいい女のじゃれ合いで、たまたまなのでしょう?」
「ふ~ん、もうすぐ夕飯だが、あいつらには与えないでもいいのかな。」
「そうよ、動物園の檻には、エサを与えないで下さい、と書いてありますわ。だからこの船から投げ入れるのご法度です。」
「飢え死にするかもよ?」
「その方が船のためです。侯爵さまは船を沈めたいのですか?」
「沈んだら弁償金が高いし、水夫は全部キルケーが食っちまったし。」
「スケルトンの原状復帰方式でお返ししましょうね!」
「あの二人のエンプティを待つかいな。エネ切れになれば収まる”か!」
「そうですよ。ここは下手に口や手、ましてエサを出すとかあり得ません。」
「よ~く分かったよ。」
ソフィアとアウグスタの開戦
二人とも自己紹介もないし、ましてや他の者から紹介もありはしなかった。
お互いが目を合わせた瞬間にお互いの事情を察知した。
「そうですわね、あの女と戦うのですもの。たくさん食べて力を付けないとなりませんわ。」
「あの女?」
「あのメスオオカミですわオレグ。……どこで拾ったのかしら?」
「まぁ失礼しちゃう。やわオオカミ、受けて立つわよバカオオカミ!」
「なにを~! この泥棒オオカミ。マリアさまにしてやるのだから。」
「おお神よ!? そうですか、だったら私はお前を張り付けにしたいわ。」
ソフィアが救助されて直ぐにいざこざが始まって、修道院を出ても船に乗せてもドンパチが収まらない。こんな醜い女の戦いは夫のみならず関係者一同、関わるのも嫌だ。ことにアウグスタの夫のニコライには絶対厳守の秘密事項扱い。とするとボブの船に乗るニコライは、当然に接待を受けているはず!
「ニコライさん。あんたリガで活躍しているんだってね。」
「いいや~まだ駆け出しのペーペーですよ。」
「さ、飲みましょうよ。奥さまはオレグの奥様がマンツーマンで歓待しているからさ、ここは安心して飲みましょうや。」
「いいや~まだ若いので飲めませんよ。」
「なにかい? 今回の農機具の販売とブドウの販売で大儲けされたんでしょう?」
「いいや~あれは侯爵さまさまの案件でして~私はなにも~、」
「ニコライさんは若くしてご自分のお城を建てたとか!」
「いいや~あれはまだ完成しておりません。」
「じゃぁ、何が足りないんだい。俺らで調達してやるよ?」
「いいや~まだ屋根に載せる猫の銅像が出来ておりませんで~、」
「ボブ、キルケー。ニコライを酔わせて潰せ!」
「おう任せな、侯爵~~!!」
「よせやい、ボブまで俺をからかうんじゃないよ。」
「あ、オレグ。帰りの駄賃! きっちり払えよ。それにフォレスンドまでの往復と延長料金な!」
「あちゃ~それもそうだな。グダニスクに着いたら払うよ、それまで待ってくれないか。」
「侯爵?? この船にはたんまりと金貨が載っているのでしょう?」
「あ、あれはだめだ。次章からのデンマークの開戦費用なのだからさ、そう、絶対にダメなのさ。」
「兄ちゃんはまだ戦争を続けるのかい?」
「もち、デンマークを国ごと沈めるまでは止めないよ。それにあの方も探し出して対戦しなくちゃ気が収まらない。」
「ヒュ~~~ン、ドッカ~ン!」
大きく船が揺れる。
「おい地震か!」
「いやこれは隕石の落下だな。天井に少し木漏れ日が見える。」
「ニコラ~~イ、今帰ったよ~~!」
「おう、奥さまのお帰りだったのか。」
ソフィアが勝った。アウグスタは船倉に降りてきて、
「ニコライ、めし!」
「これでいいのかい?」
「全部だ、キルケー、ビール。シン・ティー、肉。ベギー、つげ、酌!」
オレグやシビルは、ソフィアに投げられてアウグスタが負けたと思ったが、もの凄い勢いで肉やビールを腹に流し込んでいる。
「おい、この勝負は一時休戦だろうか。」
「いやソフィアが勝ったと思いたいが、どうだろうか。」
「そこのクジラの塊り、それも焼いて出せ! あ、いやもういい。生でいい。」
そうして、
「生ビールが旨かった。」「ギュゥ~~~ン!」
と船倉から飛び出して、また後続の船に跳んでいく。
勝負はついていなかった。
「ヒュ~~~ン、ドッカ~ン!」
大きく船が揺れる。
「おい地震か!」
「いやこれは隕石の落下だな。天井に空が見える。」
「オレグ~今帰ったよ~~!」
「おう奥さまのお帰りだったのか。」
「ソフィア、めしか?」
「全部寄越せ、この二年分もの間の食い損ねた分量の全部だ。」
「お姉さま!」
「リリーいいから出せ。」
「はい、」
ソフィアはクジラが小魚を飲み込むような、大きい口で肉、野菜、ビールそれにアウグスタが残したクジラの肉をまる飲みにした。
「おうソフィア、おめぇ~顎が外せるのか!」
「そうね、人間でもひと飲みだもの当たり前よ。」
「オレグ、リリー待っていてね。」
「いや、もう寝てるかもしれないぞ。」
「いいのいいの。待っててね。」
そうして、
「生クジラ、あれの臭いで不味かった。」「ギュゥ~~~ン!」
と船倉から飛び出して、また後続の船に跳んでいく。
「おうみんな、俺らもめしににようぜ。」
「は~い意義な~し!」
「でも、もうなんにも残っていませ~ん。」
「あちゃ~!」
後ろの船からキャン、キャン、ワン、ワン、と鳴き声が聞こえてきた。
「ニコライはもう寝ているよな。」
「あぁ、俺が幸せな夢を見せているよ。」
「そうか。シビルありがとう。」
翌朝、スゥエーデンの船は無く上陸用の小舟に乗った7人の姿が見えた。
「ルイ・カーン伯爵、船の代金は私が半分出します。」
「おうすまないね~。これからは俺のことはオレグと呼んでくれ。」
「はいオレグさん。」
半べそのオレグと爽やかな朝を迎えたニコライ。
「オレグ~!」
「ニコラ~イ!」
「私、勝ったわよ~!」x2
1247年10月8日 ゴットランド島・ヴィスビュー
*)ヴィスビューで二艘の船を調達
オレグとニコライはボブ船長の見立てでスウェーデンの船を探した。
「壊して沈めたのと同程度の中古船でいいぞ。探してくれないか。」
多数の国から入港するゴットランド島はヴィスビューの港。北から南から東から船が入る。
沈んだ船は一艘だが、欲しいスウェーデンの船を買うにしても売り主の船長の船が無くなるのだ、さらに一艘の船を探して買い与えなくてはならない。新造船では間に合わないから二つとも中古船になる。
こちらの交渉相手はボブとシビル。オレグはパブでの接待役に従事する。
「なぁに急ぎの仕事もないんだ、ここでゆっくりと過ごそうか。」
「オレグさん、もう十月ですよ、こないゆっくりと過ごされては仕事が、」
「ん? どうしてだ、家族が戻って安心しているのだ邪魔せんでくれ。」
「ではライ麦は全量私が買い取りますが?」
「そりゃ~無理だ。俺の部下がすでに動いているから心配は要らないんだ。」
「ではボブさんが居なくてもいいので?」
「あ、船が足りないな、すぐに帰るか!」
ボブは適当な大きさで見つけてはシビルがその船長を口説いている。これで三人目になるが、首を縦に振る男はいない。
ようやく一つが見つかった。また同時に買い取りの船の代船も見つかった。
「旦那、船ごと荷物まで買い取るとはなかなか豪快ですね。」
「積み荷ごと海に沈めちゃってさ、もう悲しいやら淋しいやら。すまないね。小さな船に乗せてしまってよ。」
「俺も歳だしな、陸に上がりたくなっただけさ。この小っこい船でも売れば金貨の二十枚にはなるだろうさ。」
「こちらは船を二艘も買わなくてならないからさ、少ない代金ですまないね。」
「なに、いいさ。積み荷が高いがいいのか?」
「で~じょうぶだ、荷はなんだ!」
「とても珍しい木の器だ。一箱に五セットは入っているのでな、今、計算したるさかい待って……。」
「二百箱x銀貨・七枚、チーン! 金貨で百四十枚だ。」
「おう、とても安いじゃないか。俺は半年前に銀貨三枚で買ったぞ。」
「え”ぇ、銀貨の三枚ですか!」
「俺の方が安かったな、だからこの積み荷は半額だな。」
「とほほ……とても良いから飛びついたのが悪かったのか。」
「ま、そうだろうな。売り先は見つけていたのかい?」
「いいや、これからなのだが、あんたが売り先だね。銀貨九枚でいいよ。全部を買ってくれるのだろう?」
「仕方ない、半額で買い取りすると言ったから、銀貨五枚でどうだ!」
「いいや九枚だ。」
「相場が安いのだぜ? それを倍の値段で買うと言うのにさ、さらに倍にするなら俺は要らない。船だけでいいよ。」
「それは困る。お前は船が必要なのだろう?」
「分かったよ、船ごと金貨百四十枚で買い取った。」
「よし売った。」
「交渉成立だな!」
「ありがとうよ。この木の器はただだったんだ~あはっ!」
「イカスミのスパゲティが頭に浮かんだよ。すまね~オレグ。」
木の器なのだが木のお皿だった。てっきりトチェフの名産とばかりと思い込んだボブが悪い。どう釈明しようかと思いあぐねるボブ。
「オレグの旦那だ、きっと金貨百四十枚、はした金だ。……、しかし、あ~俺の稼ぎが無くなる~。」
「ボブ、幾らになったかな。すぐに払うぞ。」
「旦那、すまね~積み荷ごとの金貨百四十枚だ。」
「いいだろう、だがよボブ。積み荷はお前で売りさばけ、これが支払いの条件だ。な? リーズナブルだろう?」
「あぁとてもな。もう涙が出そうだぜ!」
「ほらあそこ、あの男が高く買うからさ、行ってきな。」
ボブはしぶしぶオレグが指さした男の元に行った。
「あのう~旦那?」
「なんだ、ボブさんじゃないですか。どうしました?」
「あ、いや、シーンプさんですか、実は木の皿を買って頂きたいのです。」
「おいくらでしょうか?」
「二百箱x銀貨・七枚、チーン! 金貨で百四十枚だ。これでも入り値から銀貨二枚を値引きしてんだ。買ってくれ!」
「では元は銀貨で九枚だったんですね。よろしい私が全部買いましょう。金貨で百八十枚お安いご用です。」
「シーンプさんありがとう。恩に着るよ。なんでもする!」
「では早速、労働の代価をお願いするよ。木箱から全部のお皿を出して、絹の反物を三本を詰めて下さい。その上には木の皿をぴったりと詰めて下さい。これでボブさんの恩はほんの少しが消えてしまいます。」
「な、な、? なんだそれ! ご禁制の品なのか?」
「途中で海賊に襲われた時の対策です。深い意味はございません。」
ボブ船長は深い意味を考えたがなにも浮かばなかった。余った木の皿は別の木箱に収めた。後にボブはイングランドまで航海する破目になるのだが、今は売れた喜びでいっぱいだった。
「俺! 儲かったで!」
ソフィアとアウグスタは朝から物凄い勢いで肉やパンを食べて寝ている。
「迷惑になるから二人は起こすな。」
とオレグは言う。顔を腫らして喧嘩をしていたが寝顔が可愛いわ! と言うリリーは二人に開腹魔法をかけた。
「お二人ともお腹に大きい石を詰めましたわ。もうリガに着くまで起きないで下さいね!」
なんとも恐ろしい妹だろうか。その二人の横で眠るゾフィには、
「ゾフィ、貴女には本当の回復魔法をかけてあげます。」
とても不安で顔が歪んでいたゾフィ。綺麗な顔に戻っている。
「それもこれもお二人のお姉さまが喧嘩をなさるのが、悪いのです。きっと前々生では姉妹だったかもしれないというのにおかしいです。」
*)南に浮かぶ大きな赤い月
船の調達も終わり積み荷も載せて用意万端の夕方になった。せわしく働いたボブやオレグ、ニコライがパブに帰ってくるからと出迎OKの女たち。
「すぐに男たちが帰ってくるよ、用意は出来たかい、宴会だよ。」
「は~い!」
と小気味よい返事が起こったがパブの外がなんだか騒がしい。
「お姉さま! どうして起きれたのですか?」
「リリー骨肉の争いになるわ、これは戦争よ。」
「ニコライは帰っていませんの?」
「はい旦那さまはもうすぐ帰られますが、なにか……。」
リリーが二人の腹に詰めた石が無くなっていた。同時に外が慌ただしい声に包まれている。
「おう、みんな大変だ! 呪われた月が出てきたぞ外に出て見ろ!」
「えぇ~なになに!」
と小娘らが一緒になって外に飛び出す。
「リリーすぐに夕食の準備……は出来てるね。早く食べて頂戴。今夜は戦争になるわ。」
「どうして、そのような事になるのですか?」
「外には赤くて大きい月が昇ったのよ。あいつが来るのだわ。」
「お姉さま、あいつって……まさか、あの方なのですか?」
「同じかどうかは判らないわ、シビルを見てごらん、怯えてテーブルの下に居るわよ。」
「だったらキルケーは、……あ! 顔つきが怖い。」
次にリリーは魔女たちを見た。そこには五人が抱き合って怯えていた。
「はいお姉さま。ご一緒いたします。」
「リリー俺たちはどうすんだい。」
「ゾフィここはお姉さまたちの援護をいたします。ゾフィもお腹いっぱいに食べてちょうだい。」
「うん食べたらあいつらの分が無くなるぜ?」
「大丈夫よ、きっと怖くて今晩は何も食べれないからね。」
「そうだね、俺もお姉さまみたいに食べておくよ。」
ソフィアとアウグスタは相貌が変わっていた。なんと耳が出ている。後ろには長いしっぽが伸びていた。
「グルルゥ! グルルゥ!……。」
恐ろしい声さえ聞こえてきた。
「お姉さまたち! もう戦闘モードだわ。」
「わ! お姉さま!!!」
「ウォ~ォ~ オ~~ォ ウォ~~~!」
「えぇ? オオカミ?」
「ウォ~ォ~ オ~~ォ ウォ~~~」「ウォ~ォ~ オ~~ォ ウォ~~~」
「オオカミだ! みんな逃げろ~!」
「ウォ~ォ~ オ~~ォ ウォ~~~!」
ソフィアとアウグスタは二頭の大きいオオカミの姿になり人目も気にせずにパブから飛び出していった。
「シビル!」
「す、すまね~俺は怖くて動けない。」
「キルケー! あんたは……。」
「私、お会いするのが初めてなのよ楽しみだわ~!」
「きゃ~大蛇だわ~!!」
キルケーはヘビの姿に戻っていた蛇尾は二本の駄尾?
この状況に飛び込んできたオレグ。
「ソフィア、リリー大丈夫か!……、……。」
「オレグお兄さま、」
「おうリリーとゾフィか、あの二人は、もう、」
「はいオオカミになって飛び出しました。」
「??……キルケー、お前はどうするのだ。元の姿に戻ってくれないか。」
「あ、旦那さま、?……すみませんつい興奮いたしました。ですがこの興奮は抑える事が出来ません。」
「しゃ~ないリリー、この大蛇を食ってくれ! 直ぐにだ、姿を見られたくはないのだよ。要らぬ混乱が生じる。」
「オレグ! 食べる??…あ、境界に圧し込めますわ。」
「それがいい、特大の重りを付けて押し込め。」
「リリー止めて頂戴、私、あの方に会いたいのよ。」
「キルケー次回もあるから今日は諦めろ。」
「そんな~~~~…………。」
キルケーは叫びながらリリーの腹に収まった。
「なぁリリー。その、あの方とはどの方なのだ? 今晩の赤い満月はなんだ。」
「はい、ジーベンビュルゲンの古城の城主さまです。ですがあの方とは判りません。シェドミョグルとも言われています、アルデアル侯です。」
「魔女マティルダならば知っているだろう。今はどこに居る。」
「キルケーと一緒ですから境界の中です。」
「あのシビルと魔女が怯えるのはどうしてなんだ。」
「それは知りません。各々に訊かれて下さい。私もこんな夜は初めてで、どう反応したらよいのかは判りません。それよりもオレグ、服を持って二人を追いかけませんと裸ん坊の二人になってしまいますわ。」
少なからぬ恐怖を感じるリリーなのだが冷静でもあった。
「リリー服は出せるか。それとニコライが戻ったら、ここに閉じ込めてくれないか。まだあいつにはショックが大きいだろう。」
「はいニコライさんはお任せ下さい。ゾフィ、服を持ってオレグに付いて行きなさい。オレグ、いや、お姉さまたちを助けて。」
「キャー、」「ドテ!」
どこからともなく天井から落ちてきたマトワが床に転がる。
「あんた、今までどこに居たのよ。」
「出番が無かっただけだよ。この二次元の世界では出して頂くのには順序もあるし、三次元のように後ろで控えている絵とは違いますもの。」
「そ、そうよね、一度に書くことはできても一度には読むことはできませんね。あんたのご主人さまが大変なのよ、マトワもゾフィに付いて行きなさい。」
「そうなんだ、替えの服が要るんだね。」
「そうよ、着ていた服はほら、やぶれかぶれで床に落ちているわ。」
「まぁご主人さまの下着だわ、ウッフン!」
「ばこ~ん!」
「マトワ、あんた男なの?」
「今はカレンなのよ、女の名前だけれども男よ!」
「お前も女男なのか!」
「いいえ男女です。ノアと同じね!」
「俺そんな趣味は無いぞ。」
「履くだけでも十分に変態だわ!」
「お、おやがい、いやお互いさまだ!」
「ゾフィ、カレン。行くぞ。」
「はい付いて行きます!」
漫才のような事を言いながら三人は出て行った。
「あの三人はどこに向うのかしら!」
赤い月に黒い影が見えていた。遠くではオオカミの遠吠えが響く。