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人狼夫婦と妖精 ツインズの旅  作者: 冬忍 金銀花
第二章 迷走するオレグ
138/257

第138部 ターゲットは! ヴィルヘルム家とクヌート家


 グダニスクでの外遊が終わる。伯爵の凱旋。ハープルサルに寄って多数の荷物を下していく。でかいクマ女も下し代わりにワルス夫妻を積んでいく。


 船倉のワルスは、


「なぁサワ。俺たちはいつから荷物扱いになったんだ?」

「んん? なんで、これ、普通でしょう?」


 他の女たちから船倉に押し込められている。

 


 1247年8月15日 エストニア・レバル


*)ルイ・カーンの目的と?


 サワが変調をきたした。シンティが必然的になし崩しでパブの経営にあたる事になった。二つのパブに分かれて仕事をしていたワルスはとても喜ぶ。


「なぁシンティ。」

「はい心得ております。お任せ下さい。」

「……。」

「上手く経営してみせます。」

「いやそうじゃなくて、サワとは仲良くできないかな。」

「あの女はバカにされるのが好きなだけですから構いませんわ。」


 ルイ・カーンはシンティから毒気を抜く方法がないかを考えた。


 諺に、朱に交われば赤くなる、がある。シンティを元の純粋なこころに戻すには化学反応で朱を消すか、物凄い水の量で薄めるしかない。ルイ・カーンの黒とキルケーの朱とが混ざったどす黒い色のシンティ。


 伯爵が、


「北の海に一年間も沈めればいいか!」

「旦那さまの黒は残すのですか?」

「当たり前だ、残さないでどうする。」


 キルケーの問いを一蹴した。


「まぁ、それはそうですわね。ところでシンティにはパブの経営は無理ですわ。本部の二番手のメイドを当たらせます。」

「助かるよ、俺がシンティから離れないからさ、館のメイドが仕事をさぼるわ、夜逃げするわで大変なんだ。」


「それ! 逆なのでは??」


 逃げたメイドはキルケーが捕まえて本部で使用している。伯爵はその事に気づいてはいない。キルケーはメイドに余裕があるから派遣するというのだ。


 シンティも居るがいつものように二階の席で夕食を済ませる。


「事務所で協議だ。シンティは館に帰れ。」

「はい旦那さま。」

「はい、ご主人さま。」


 事務所に入り今後の方針をキルケーに打ち明ける。伯爵がのし上がる為の餌食にする侯爵家の名前が告げられた。


「ヴィルヘルム家に決めたよ。」


バ~ン!!と、事務所のドアが壊れるかのように勢いよく開かれた。


「ご主人さま!!」


 物凄い剣幕のシンティが鼻息も荒々しく立っている。


「どうした、頭が壊れたか? 壊れるのはドアだ…け…で、じゅう……。」

「シンティ。この貴族に恨みでもありますか?」


 と猫なで声のキルケー。シンティは鼻息が変わって頭から湯気を出す。


「おいおい、どうした。……お前、このヴィルヘルム家に恨みがあるのか?」


「ピー!!」とうとう汽笛までもが聞こえてきそうな勢いの、赤い顔。


「はい、あります、大ありです。」


 ルイ・カーンは計画が狂いそうな予感が走った。転んでもただでは起きないシンティの性格。知ったからには一歩も引かないだろう。


「どうしたんだ? 前はヴィルヘルム家に居たのか?」

「はいそうです。私の両親が殺されました。姉は、そう……。」

「姉もか!」


(はいではないが)「はい、そのようなものです。」と答えを濁す。


「私はとある国の島国で生まれました。姉と両親の四人でつつましく暮らしていましたが。そのヴィルヘルムに捕まり奴隷の扱いを受けました。」

「まぁ普通だわな。エストニアに連れてこられて?」

「両親が殺されました。ほんの些細な事でした、その事を考えたら、ううぅぅ。」


 と泣き出してしまった。


 ルイ・カーンはキルケーの顔を見た。


「はい、承知いたしました。」


 と言うのだ。その後伯爵もパブや館から姿を消した。




 1247年8月26日 エストニア・レバル


*)消えた伯爵とシンティ。伯爵と黒猫


 シンティの姿が消えて十日後にサワが気になり伯爵に尋ねる。


「まぁ~ご主人さま、今までどこに行ってらしたのですか。」

「少し先の村までだ、気にするな。」


 と言う。実は視察でトームペア城の見える宿屋で缶詰の生活を送っていた。


「シンティが居ません。ご主人さまが海に沈められたのでしょうか?」

「北の海にな。泳いでいたがすぐにシャチから食われたよ。」

「んまぁ、なんと酷いことを! うれぢいです。」


 ユダレを垂らして言うから変な言葉になった。伯爵がサワの体調を心配して見まいに来たらこういう話に進んだ。


「お前らは本当に仲が悪かったのかい?」

「いいえ全然です。口が悪いだけです。」

「へっ!」


(女は相手により、言葉を使い分けるのか?)と思うも驚きが先に出た。男には女の感情が理解できない。作者が女の感情を書くという事は、つまり、そうなのだ。男のロマンに男の希望を乗せて書く、これだ! これしか男は女の感情は書けない。作者の過去はどうでもいい、作者の現実もどうでもいい。ただ単に理想!!が、あるだけだ!! 無くてもなんとかなるのも事実か。


「私、幸せだから……。」


 もう他の女とかどうでもいい、というのが省略されている。


「それは良かった。だが赤ん坊を産んだらどうなるのか知っているよな。」

「はい私の命がお腹の子に受け継がれていきます。私は今までのようには働けなくなりますが、どうかお捨てにならないで下さい。」

「ワルスを働かせるから心配はいらないよ。」

「はい!! ありがとうございます。」

「サワはこのままパブで働いてくれればいい。プリムラに家を造ってやれなくてすまないね。」

「いいえ、このままで十分でございます。」




 伯爵はサワが外れる事がとても残念だった。次に伯爵は本部を訪ねる。十日以上で久しぶりになる。


「ニャーゴ!!」


 と鳴く黒猫が伯爵の姿を見ると、跳びかかっていた。


「ぎゃ!」 「ニャァ~ゴ!」「ゴロゴロ!」


 伯爵の足に纏わりつく。


「おいおい蹴とばされたいのか!」


 尻尾を掴もうと……短尾だった。掴めない。俺は短足の胴長?


「あらあら旦那さま、今お帰りですか。」

「そうだな、籠っていたよ。」

「それで収穫は?」

「少ないな。外からでは見えないし分からないよ。で、これがもしかして?」

「はい伯爵さまのご依頼の猫でございます。探して手懐けるのにとても苦労いたしました。ですので大切にお願いします。間違っても川に投げ入れる事はされないでくださいまし。」

「そうだな、投げ入れた事もあったかもしれない。これ、高かったのだろう?」

「はい、血統書つきです。」

「ムムム……。二階へ。」

「はい旦那さま! ルンルン。」


 キルケーは久しぶりに会えたので喜んでついついルンルンと言った。二人が階段を上ると黒猫もついてくる。


「こいつは、ルンルンという名前か。」

「いや、は、はい。そうです。とても良い名前でしょう?」

「トームペア城のご令嬢にぴったりだよ。」


「ピー、ピー、ぴ~!!」


 トームペア城と聞いて黒猫のルンルンは跳んで逃げようとするも、キルケーの魔法でUターン。


「なんだこいつ。ピーピーと言うぞ。」

「はい、喋る猫ですもの。他にも話せますわ。」

「どんな?」

「それはルンルンに訊いてください。きっといい事、話しますわ!」

「ぴーぴー、他は。」

「ニャン。」

「使えないな~肉にするか。」

「ピー、ピー、び~!!」


 黒猫のルンルンは跳んで逃げようとするも今度は伯爵の膝の上にUターン。


「おうおう大丈夫だ、肉にはしないが三味線はどうだ?」

「ピー、ピー、ひ~!!」


「旦那さま、黒猫相手に漫才はお止し下さい。奇人と思われます。」

「ここはお前だけだ、お前は俺の事を奇人変人と思っているのだな?」

「ざっ、らい! いいえ、決してそのようには思っておりません。」

「?……?……。」


 伯爵の言葉が途切れて暫く時間が過ぎる。


「んん?? 旦那さま、どうされました?」

「こいつ……どことなく……。」

「気のせいですわ。それよりもトームペア城の攻略はどうされますか?」

「もちろん内定を行う。行いたいのだがこの猫材じんざいで本当にいいのか?」

「これは、伯爵さまのご意向でございます。自信をお持ち下さい。」

「そうだな、トームペア城のお嬢さまの、キテイに売り込んでこよう。」

「ピー、ピー、びぇー!!」

「少し学習したようだ、これなら大丈夫だな!」

「びぃぇ~!!」

「赤の首飾りでいいか?」

「あか~ん!」

「おう、こいつ、成長したな!」

「でしょう?」


 この日、黒猫は伯爵から離れることはなかった。夜になり猫としたら、


「べっど・イ~~ン!! なのだが。どうしてどうして。」

「熱い、お前は、外だ!」「にゃん、で?」


*)久方ぶりの五千文字の消去!

 BKUPが出来ませんでした。頭の中は空っぽになるのが私の常。出せば無くなる、そう、お金と一緒。戻らない。

 琥珀について調べていましたら、いつの間にかお気に入りのボタンを押していました。直ぐでしたらバックで戻ることもありましたが、今日は出来ませんでした。以前はとても悔しい思いでしたが、諦めた、頑張ります。



*)トームペア城のキティ嬢


「いいかルンルン。お前は貰われていくのだ、贅沢は言うなよ。」

「ニャ~~~~~ン!」


 と声が震えている。伯爵に抱かれれているのだが、爪を立てて逃れようともがいている。


「お前は大事な猫質ひとじちだから放す訳にはいかない。」

「ビ、ニャ~~~~~ン!」

「ポカ!」「ニャン!」

「大丈夫だ、俺と違い貴族は猫を食べないのだから。」

「にゃ~ん!」


 伯爵のわずかな調査で六歳になるキティ嬢がペットの猫を探しているという情報を得た。


 伯爵は考える。消えた文字を考えるのだった。


 以前にトームペア城を調査していた時だが、黒猫が異様に多いと感じた。キティ嬢がペットの猫を逃がしたのかと思ったら違っていた。どうも大の男が黒猫を捕まえているとも聞いたし、どうしてか捕まえた猫はすぐに消えるとか、逃げてしまうらしい。


 そして今も。


「あぁキルケーの仕業か、キティ嬢に黒猫への情熱を掻き立てさせる為に街の女を。」


 と考えたら寒気が走り、


「うわ~気持ちわり~!」


 身震いをしていた。


 伯爵はトームペア城のヴィルヘルム家に取り入る方法を考える。


「難しいなぁ~、どのようにして、どんな要件だったらお城に入れてくれるのか問題だ。」


 ウラハラだった。


「キティお嬢さまに黒猫を献上に来ました~。」

「帰れ!」

「へっ!」

「だからどこの駄猫(だびょ~)んとかは要らない、帰れ。」

「これは血統書付の本物です。この木箱に、ほら! たくさん。」

「……。」

「お前、名前は!」

「はいルンルンです。」

「猫には訊いてはいない……??」

「お前、男のお前だ、名前は!」

「はいルイ・カーンです。」

「へっ?……、……。しばし待たれよ。」

「はい、お待ちいたします。」

「俺、何か悪いことを言ったのか?」

「私だよ!」

「??……。」


 しばらくして執事らしい男が出てきた。すこし若いようにも思えるが、


「お待たせいたしました、ルイ・カーンさま。この門番が失礼いたしました。お怒りになられましたらこの門番は差し上げます。どうぞお気の済むままにお持ち帰り下さい。」

「ひぇ~!」


 と門番は青ざめた顔を引き攣る。


「いえいえ、このような軟弱な男は要りません。」

「ほ~っほっほ。さようでございますな、あとできつく叱っておきますのでここはお許し下さい。」


 伯爵はこの執事は口が達者だと思った。名前がペールという性はギュント。どこかで聞いた名前だ。


「そうか、ギュンターだ!」

「父、ギュンターをご存知ですか?」

「あ、いや、? からかうのは止めて頂きたい。」

「はい、申し訳ありません。・・・・・。」


(こいつ、本当に知り合いか?)と伯爵は考えた。ならば繋げてやろうじゃん。


「ではご案内いたします。……可愛い黒猫でございますな。」

「にゃん!」 「えぇ、はい。」


 城門を入り右に折れて小さな扉に案内された。


「少し歩きますが、よろしいでしょうか。」

「はい、それはもう。」


 角角、四角。周りに回る。


「まだ着きませんか?」

「もう少しでございます。この城は先代のお父さまの力作でして、どうしてかように遠いのか不明でございます。」

「はいお察しいたします。」


 エリアスといいここの元城主といい、同じ捻じれた性格なのかと伯爵は考えた。これでは逃げるも襲撃するのにも不便この上ない。


「もうすぐで着きます。城主のフリードさまはもういらっしゃいます。」

「そのう、キティ御嬢様は?」

「要件はお伝えいたしました。きっとご一緒とだ思います。」


 ルンルンがまた震えだした。小さな頭を伯爵の襟の中に首を伸ばして隠れているつもりらしい。


「コン、コン、コン。」  

「おう、入れ!」


 中から大きい声で返事があった。その後に足早に歩く木靴の音が聞こえた。


「失礼いたします。ルイ・カーンさまをご案内いたしました。」


 と言いながら身を引く。ペールは顔を伏せたままで、


「フリードさまでございます。」


 ペールにドアを開けられて先に入ったルイ・カーンは、


「初めまして、ルイ・カーンと申します。以後お見知りおきを。」

「ご高名は存じております。ルイ・カーン伯爵。」

(城主が木靴を履くのか?)と思ったら娘のようだ。木靴を履いていた。


「わ~可愛い子猫。早く頂戴!」

「こらキティ!」

「ほら新しいご主人さまだ、行きなさい。」

「ニャン!」 


 とひと声鳴いて自ら主のキティ嬢に抱かれた。


「おうおう、これは利口な猫だ、これはいい!」

「名前はなんだ。」

「(仮)ですが、ルンルンと言います。」

「お父さま、ありがとう!」

「良かったな。」「うん!」

「で、」

「はい、たいへん高価でございます。」

「ナンボだ!」

「献上品でございます、これをお納めください。」


 猫とコーパルの二つを掛けて言ったのだった。


 伯爵はコーパルの入った木箱をテーブルに置いて軽く押し出した。この箱を受け取り先に検品する執事のペール。蓋を取ると目を大きく見開き、口も大きく開いてとても驚いた表情を見せた。声を出さないあたりは良くできた執事だと思われる。蓋を戻して城主の元に運ぶ。


「フリードさま、コ、……いや、琥珀でございます。」


 あちゃ~ばれた?? いや違う。コ、と言った意味が分からないと思う。の職人の自信作なのだから絶対バレるはずはない。おまけにキルケーの魔法まで加味しているのだから。コとは琥珀のコか。なら、いや、とはなんだろう。と考えあぐねる。


「どれ、早く渡せ。」


 木箱を受け取り蓋を開ける。


「……、……。」

「……、……。」「……、……。」「……、……。」


 琥珀を見つめる表情が段々と変わっていく。眼が大きく開き、近眼ちかめになって食い入るように見つめている。


「……、……。」


「いかがでしょうかフリードさま。職人が磨きあげた逸品でございます。」

「あ、あぁ。とても素晴らしい。ナンボだ!」

「はい献上品でございます。」

「そうか、言葉を変えよう。」

「何用じゃ!」

「はい、フリードさまにおかれましてはデンマークの貴族なれば、この私を引き立てて頂けないかと。」

「そうじゃのう。伯爵、街の若い貴族が死んでいったのを知っているか。」

「はい、良く存じております。」

「ワシにとっての目の上のコブだったわい。今はそのコブが取れてすっきりとしたところだ。」

「はい、さようでございますか。私にとりましてうるさいハエでございました。私もすっきりといたしました。」

「そうなんだよ、街の噂ではな、しかし、よくもあの司教が黙っておるな。」

「元手が元で、ございますので。」


 意味不明な言葉を言ったが理解された。


「そうなのか、随分と寄付をされましたか。」

「はい、私はこのエストニアという国が好きで流れて来ました。」

「そうだったな、街の大通りの拡幅と煉瓦石での舗装は大変だっただろう。他にも港の建設もあったか。」

「今後はデンマークと、取引を行いたいと考えております。」

「そうかそうか。それで何を売りたいのだ。」

「いいえ、羊と山羊などを購入したいのです。」

「なんだ、欲がないのだな。他は。」

「はい、王家の情報とか!」

「ほほう、伯爵はこの私を駒にする気か。」

「いいえ、私こそを駒にしてお使い下さい。」

「……それはいい。とてもいいぞ。取り入って貴族の称号を得たいのか。」

「いいえ、必要がありません。このままで構いません。」

「いい心構えだ。気に入った。ルイ・カーン伯爵を重用ちょうようしようではないか。他にもあるのか。」

「はい、フリードさまにおかれましては、母国で大いに大きく勢力を拡大して頂きたいのです。」

「それは奇なことを言うのだな。俺はスウェーデンで大きな貴族になりたいのだ。」

「承知いたしました。出来る限りの協力を惜しみません。」


「来月の九月だ、娘の誕生祝いを行う。伯爵も参加いたせ。」

「願ってもありません、是非に!」

「おいキティ、誕生日はいつだ。」

「お父さま、三日です。」

「だ。来るよな!」

「はい喜んで~!」


 やはり同じ内容では書けませんでした。


「ところでルイ・カーン。今日は従者はどうしたのだ、連れてはおらぬな。」

「ニャー!」「ニャー!」「ニャー!」

「お前がそうなのか?」

「当たり前だにゃ~!」

「ゲゲ、」「きゃぁ~可愛い!!」

「・・・・・・・・。」



*)コーパルの謎


 どこかの女王は生涯風呂に入らない、風呂嫌いだったらしい。お化粧は塗る一方で落とすことが無かったという。死んだ女王の化粧を落とそうとした葬儀人は化粧の厚みが三cmもあり落とすのに苦労したとか。きっと女王の顔の化粧にはヒビが入っていたと思うのだが。毎日毎日手入れをしてヒビを防いでいたのだろうか。

 この女王、誰だったか。思い出せない。


 トチェフ村で失態を起こして伯爵から特命を受けた三人組。伯爵が命じて琥珀の宝飾職人を拉致させたのだ。数人の中の一人が優秀だった。コーパルは磨いてもしばらくすると小さなヒビが多数走るという。琥珀ではあり得ないヒビが入る。


「伯爵さま、コーパルは何もしないでおくと小さなヒビが入り輝きが無くなります。」

「あぁそれな、俺も今日初めて知ったよ、五千文字と引き換えにな。」

「このコーパルも時期にヒビが五千本以上は入ります。それを入らない加工が出来ます。」

「おおぉぉ!! それはどうするのだ。教えろ!」

「可愛い嫁っこと引き換えに教えます。」

「分かった、すぐに用意する。」

「サワ、サワは居ないか。」

「はいご主人さま。」

「あぁ、こいつは嫁だからな、手を出すなよ。」

「え”」


 とサワが驚いたのだ。嫁とは自分の子供・息子の妻に対する呼び方である。だからサワが一瞬驚いたのも頷ける。ルイ・カーンの息子の嫁だから。


「いいえ、私はワルスの妻でございます。嫁と呼ばないで下さい。」

「おう、そうなのか? 嫁と呼んだら悪いのか。」

「はいそうですよ。」

「覚えておく。でだ、この職人がサワみたいに綺麗な妻を娶りたいというのだが用意できるか。」

「はい婚礼の用意は出来ますが……。」

「俺が悪かった。お見合いの相手を探して欲しい。できるか。」

「はい、ご用意いたします。」

「え”、ええ!」

「失礼いたしました。みつ、いや、探してまいります。」

「こやつが気に入れば、見繕ってもいいがな。」

「はい。」

「明日には妻が出来る。喜べ。で?」

「引き換えです。」

「……ムギュゥ!」


「今日からその加工を始めます。琥珀と亜麻仁油、それにクジラをひとつ用意して下さい。」

「クジラは食うのか!」

「いいえ、クジラは伯爵、いや、ハクジラです。伯爵の脂は使い物になりません。脂からロウを作ります。」

「歯クジラはなんでもいいのか。」

「マッコウでも、でも大きくて捕まえるのは無理でしょうから、なにか小さいのでもいいです。」

「ろうそく?? お前の趣味か!」

「いいえ、仕事です。」

「??……?。」

「ワックス=ロウを作ります。」

「作ってどうする。」

「コーパルを磨きます。」

「おう分かった。もう妻はなんでもいいな!」

「そりゃ、あんまりだ!」


 これはウソだが可能性があるかも。


「では、琥珀はどうするのだ。」

「熱して溶かします。それに亜麻仁油を混ぜてコーパルに、琥珀ニスとして塗ります。コーパルの表面が琥珀になればいいのです。」

「おう、お前には名誉職を与える。褒美はなにがいい。」

「嫁っ子です! ニスを塗って磨きます。」

「ほにゃ!」

「あ、・・?」 


 この職人。口を滑らせたと後悔した。


 翌日、この職人の名誉職を発表したらもうわんさかと女たちが集まる。


「俺は、こんなにたくさんも磨けない。」


 これもウソだが、可能性があるかもしれない。コーティングが全てだ。


 琥珀は松脂が出て地に落ち、長い年月を経て琥珀・化石になったものだ。当時は人魚の涙が変わったもので、海から生まれると長い間信じられてきました。ヨーロッパの琥珀の歴史は古く、最初はデンマーク人とはいいませんデーン人です。その遊牧民が身に着けたのが始まりだそうです。(ホントかな)


 人魚の涙という例えもあり海の産物と思われていました。十八世紀になり陸地でも産出することが分かり、バルト海沿岸で多数採掘されだします。


 当時は物凄く高価で、私のレート銀四枚とかではなくて金と同じ重量で取引されています。書き直す時にはこの項目で書き直しますね。金の比重はばらつきますがおおよそ十七~十九。琥珀の比重、1.11位。中世の金貨の重量が不明ですので仮に十gとしましたら、琥珀が十一gと交換となります。琥珀も大小さまざまです。目安は金貨一枚=琥珀三個。


 つまり銀貨三枚から四枚ですか? グラマリナが買った銀貨四枚が相場ですか。本当に高いですね。日本の金貨十万円を基本にしています。金と交換ですので金貨である必要はありません。


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