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人狼夫婦と妖精 ツインズの旅  作者: 冬忍 金銀花
第二章 迷走するオレグ
127/257

第127部 エストニアの新興貴族


「キ~~~~~~、あの女はなんなのよ~、も~~~~~~~!!!!!!」


「不協和音がここまで聞こえますわ!」

「いいのよ放っておきまひょ! それよりも二袋は重いわよ半分持ちなさい。」

「あらホントですわ。」

「お姉さま、この金貨は全部お姉さまに差し上げます。」

「ピーちゃん。それは多すぎます。」

「半分子にしたいのかしら。」

「それでも多いわ。」

「これはルーシーお姉さまの自立資金よ。私のお金ではないわ。オレグに感謝なさい。」

「感謝です、オレグの捜索資金にいたします。」


 まだ昼だというのにパブでは大きな雑音をあの四人が奏でている。


「ルーシーさま、もっと手を振って、足上げて! ほらっ!! よよいのよい!!」

「はい、で・・・・・。」


「パブにスズメが四羽も迷い込んだかね~!」

「女将さん、いいではありませんか、精進料理を作らないで済みそうですよ!」

「そうだね、スパロウズはホテルに泊めようかね。」

「はいスパロウズホテル! ですね。」

「既成事実はできちまったんだ、二部屋を用意しておいておくれ。」

「はい女将さん。ダブルベッドの二部屋ですね!」


「ルーシーさま~、デンセンオンドが素敵です!」

「おうそうか~ヤン、サローも飲め飲め!!」

「はい、で・・・・・。」


 夜中まで続いた宴会も、宿屋に放り込まれて終わりとなった。これが捜索資金としての使い道なのか。



 東のエストニアに不穏な煙が立ち込めている。




 1246年2月15日 デンマーク領・エストニア



*)ひとりの新興貴族


                      レバル=現在のタリン


 二月の半ばころのレバルに一人の貴族が小さな館を買い取った。赤レンガ造りの瀟洒しょうしゃな建物だ。すぐに増築が施されていくのだった。


 二月のレバル(現タリン)は曇天で暗く、白黒なモノトーンの世界に見える。


「この館は綺麗ではないぞ。これのどこがお勧めというのだ!」


 と若い貴族はランドマークの服を着た男に言い寄る。ランドマークとは背中に綺麗な館を紹介します! と書かれているのだが。


「はい今日は生憎あいにくと曇天でございますれば、綺麗な色が出ないのでございます。南でお生まれになられた方は総じて色の判別に苦労されてあります。」

「ほう、どうして俺が南の生まれだと判るのだ?」

「はい、日光が当たるのが普通の南と、曇天で光がより少ない北の都市では色の見え方が異なるようでございます。」

「そういうものか!」

「はい……です。」


 北には色の無いフィンランド湾が広がって見える高台の土地に建つ館だ。横にも前にも建物が無いのだった。だから白黒の海の色が館の色彩をおも曇らせている。若い貴族がうらめしそうに雲の流れを見上げると、一陣の雲が多数の雲に分かれて日の光を生み出す。すると、スポットライトのごとく赤い瓦が光を放し出した。


「おお!! これは……とても綺麗だ!!……。」

「これで決まりですね!」

「おう……おう、すまない。気に入った。ここに決めた。」

「(神様!)ありがとうござ~います!!」


(神様、ありがとうございます)と思った男は日本人か。キリスト教には神様は存在しないはず!!god=天地創造の神さま、日本の神様はぼやけた意味不明の神様。つくも神だろうか。否! お客様だ!。


「おう、俺は神様ではないぞ。即決だ、いくらだ!!」

「はい金貨六千枚でございます。」

「で、幾らだ?!?」

「はい、金貨六千枚でございます。」

「お幾らでしょうか?」


 庸車の荷馬車から金貨の入った袋を取り出す。が、中身は銀貨だ。


「ひとつが銀貨一千枚だ。」


 若い貴族は男に袋の中を見せながら足元に置いていく。それもガシャガシャと袋をゆすって大きい音をたてながらである。動作が緩慢であったために男は我慢できなくてとうとう、


「はい銀貨四千枚で……ご…ざいます。」

「おう、ありがとう。とても良い買い物が出来たよ。」


 と言う若い貴族は馬車の木箱を覗いていた。もう袋は残っていないのだ。いや初めから載せる気がなかったというのが本当だろう。ランドマークの男が銀貨四千枚で了承しない時は根競べをするつもりでの、銀貨四千枚だった。


「カレフ、もう払いが済んだから馬車で帰ってもいいぞ!」

「カレフ?? 旦那さま、私はカレフという名前ではございません。」

「あぁ神話に出てくる英雄の名前だ、貴殿に進呈する。」

「そうですか、今後はカーレフと名乗ることにいたします。」

「随分と遠慮深いのだな。カーレフでもいい名前だ。」


「一、二、サン!」


 と言いながら若い貴族は馬車から重たそうに木箱を下した。木箱に入っているのは弁当くらいのものだった。


「あいつが居ないと不便だな!」

「旦那、お迎えはよろしいので??」

「死んでたまるか。もうここは俺の家だ。寒いが我慢する。」

「裏には薪が在りますからすぐにでも暖かくなります、です。」


「おうそうか。また明日に来るから建設ギルドを呼んでいてくれないか。」

「はい明日のお昼でよろしいでしょうか?」

「それで構わない。本館を建設したい。」

「まぁそれはそれは。……こんな大きい館でも小さいのでしょうか?」

「ここは使用人の家になる。それが……なにか?」

「いいえ……でしたらレバルで一番のギルドを呼んでおきます。」

「あぁ頼んだぞ。」


 あまり利用されていない道路だろう、馬車は大きく左右に揺れながらゆっくりと進んでいった。窪みで揺れるのではない。貴族は出た石が多いのだからこの道も石畳に造り変えようかと思って石を蹴り上げた。


「イテ!!テ。」


「石職人も頼むとするか……。」

「と、馭者も馬車も必要か……。」


 1246年3月15日 デンマーク領・エストニア



*)大きな館には多大な煉瓦が必要です


 館の前には多大な煉瓦が山積みになっていた。木材も多数用意されている。


「おいおい、こんなに煉瓦が必要なのかい? 今の館よりもでかい塊だぞ。」

「はい、旦那さまの立面図から判断いたしました。ですので壁が分厚くなりますからこのように……。しかし、明日以降も運んでまいりますよ。」


「あぁ、そうだろう。この二倍は必要だろうな。」

「そうですね、三倍までは必要かと!」

「一山が禿山になってしまうのか!」


 煉瓦を作るのに多大な木材が燃やされていくのだ。


 木材を載せる柱となる煉瓦は厚さが一m、壁は五十cmの厚みで計算されている。ちなみに煉瓦は縦横と交互にただただ積み上げるだけだ。セメントなどの便利なものはもう古代の遺物になっていて利用されていない。残念な程にローマ帝国の技術は残らなかったのだ。征服した国王がボンクラだったのか。逆に、嫉妬深くて腹いせになんでんかんでん破壊してしまったのだろうか。



「旦那さま、人足はどれだけ用意いたしましょうか。多ければ多いほど建設もより早くなりますが。」

「一か月で壁と梁を建設できるくらいにしてくれないか。」

「一か月!!……でしたら、五十名ほどで十分でしょうか。」

「五十?? 少し多くはないか。三十人ででもできるだろう。」


「ですが暗いと作業が出来ません。その分の穴埋めです。」


 三月だとまだ明るい時間が少ない季節だ。


「……四十人で頼む。十人は道路の改良に当たらせてくれないか。あとは五人ほど雇って造園を頼みたい。」

「五十五人も!! ありがとうございます。」


「屋根の建設もひと月でできるよう、大工の手配も頼みたい。」

「三階建てですので順次一階から造らせていきます。先ほどの員数には大工も含めております。」

「そうか、しっかりした建設で頼むぞ。北風で倒壊するようだったら、お前の首がとうかいするぞ。」

「首つりではないですか! とうかいはご容赦ください。」

「他に首が長くなる方法が無ければ……だな!」

「はい承知いたしました…… 。」(倒壊とうかいねぇ……)


「今日は寒いですね~。」

「んん? そうかぁ~?」


「晴れた日には、遠くヘルシンキが見えるだろうな。」


 この館の塔からは素晴らしい光景が広がる、はず。


「時期に俺の船が多数港に係留するのが見てとれるというものだ。」


 貴族の館は途中で十人も追加したのに約八十日もかかって落成した。一万もの銀マルクで決済がなされた。館から北に約百mもの長い土塁で固められているのでいぶかしむ人が大多数居た。


「こんな土はいったいどこから運んだのかね~。」


 と最後の支払いを受領しに来た建設ギルド長が言うのだった。

(この頃は銀マルクが通貨だったらしい。1873年から1914年は金マルク。)


 綺麗に煉瓦舗装された道路は荷馬車が行きかう。館から南に五百mも行けばレバル(現タリン)の中心地近くになる。オレグはここまでを煉瓦で舗装してしまった。当然レバル市長はこの貴族へ感謝状を贈ると言い出したのだ。


「バルレ市長、このような事をされましたら困ります。」

「いやいや、これを受け取って頂きませんと、司教さまから怒られます。この私の為にどうか受け取って下さい。」


 と執拗に市長は食い下がる。貴族は自分のためではないと判断して、


「あのキヌタ司教さまの命でしょうか??」

「はい。あのクーラン司教さまでございます。それがなにか……。」

「その感謝状とは、バルレ市長さまの名前でしょうか? それとも……。」

「当然、クーラン司教さまでございます。」


 レバルの街並みは中央の教会を中心にした造りになっている。教会の周りだけが煉瓦舗装されているのだがこれらの事を思い出して考えると。


「そうですか、市街地と港までの道路を舗装せよ! との命令書ですな!」

「ルイ・カーンさま、賢者の慧眼ですね。私もそう思います。貴族は教会に寄付をして初めて貴族という身分が保証されるのですから。ご寄付はとても大切ですぞ!」

「そう脅かさないで下さい。……もう分かりましたから、街並みを順次舗装いたしましょう。ただし条件がございます。」

「はい、この市長が出来る範囲でしたらすべて叶えて差し上げますが……。」


 バルレ市長は小声になって言うのだった。


「バルレ市長さま、そう畏まる必要はございません。街の空き地を……。」


 ルイ・カーンと呼ばれた若い貴族は考えながら、


「空き地を3か所売って頂きたい。場所によっては隣の家も買い取るかもしれません。ただ、それだけの事です。出来ますでしょう?」

「はい、たやすいことでございます。して、その利用は?」


「私専用のパブと宿屋を建設したいのでございます。馬の厩舎も必要ですので、広い土地を望みます。」

「対処いたします。」

「ではよろしくお願いいます。あっこと、あっこ。それに、あそこら辺を希望します。」

「善処いたします。」


 もちろん市街地には広い空地など在りはしない。ちなみに市長の名前はバルレという。




*)レバル市街の火災


 ある日の夜中に響く鐘の音。火災が起きていた。


「カンカンカン。」「カンカンカン。」「カーン、カーン、カーン。」


「お~い火事だ、逃げろ!」

「いや水を掛けて消火が先だろう。」

「そうだ、隣の家を壊せば延焼は無くなるぞ。」(延焼=次々と燃え広がるさま)

「バルレ市長さま、それは名案です。すぐに取り壊します。」

「向こう三軒両隣x3だ。」

「市長、あの家にまでは延焼いたしません。家の壊し過ぎです。」

「十五軒ほどでいいから壊せ。命令だ。」

「は、はい。分かりました。……八軒は燃やしてもいいですか?」

「あぁ構わん。俺が代金を払ってやる。住民を集めてくれ、代金の交渉を始めてやる。」


 集まった住民には市長の脅し文句が、


「お前ら金を取るかゼロをとるか、早く選べ。金貨三枚で家を買い取る。」


 火災の延焼が怖い住民はオドオドしながら市長の提案を飲んだ。


「金貨があればまた家も造れます。金貨を下さい。」

「おう、よしよし。子供には銀貨五枚を出そう。え~い子供は何人だ!」


 流通していない金貨だ、価値はどれほどだろうか。


 全世帯が「五人です!」と言うのだった。


「そうかそうか。金貨三枚と銀貨十五枚だな。」


 子供多数であった。四~六人は普通だがこれは農家である。町民は二人か三人がいいところである。家族全員で「五人です!」と父親は言ったつもり……。


「ほら、お前とお前、お前もお前もここに並べ。いいか並んで何も言うな!」


 母親が近隣の子供を集めて自分らの後ろに並ばせていた。どこも母親は生きるのに精一杯だったのだ。入れ知恵をした人物が別に居た。女はすぐに言うことを聞いて子供を集めて回った。



 当然のごとく野次馬も集まりだした。


「おいおいまた火災かよ。今日は北かよ。三日前も南で燃えただろう?」

「いやいや三日前は西だったよ、お前は知らないんだな。」

「お前も知らんのだな、これで三件めの火災だ。前の二件はかなり広く燃えたんだぜ!」

「そうなんだ、四件めもあるのかな。」

「そんなにたくさんあってたまるか!」

「でだ、今日に限ってなぜ鐘が鳴るんだい?」

「あぁ、たぶん住宅の密集地のせいだろう。前回は空き地の横だったり林だったりしたからな。類焼が無かったからだろう?」(類焼=もらい火で焼けること )

「へ~そういうものか?」

「いや違うぞ。ここは貴族界が近いからだ。それくらい分かっておけ。」


 そこには貴族界に住んでいると思われる男が立っていた。


「あんた、いい事を教えてくれてありがとうよ。」


 女がこの貴族らしい男にお礼を言う。男は気にも留めないで手を振り、野次馬の会話に割ってはいった。


「ここは交通の交差路だな。東西南北に延びる場所だしな。きっと放火だろう。いったい誰がここに住むのやら。」

「放火ですかい? 夫婦喧嘩で火を放ったらしいです。追い出される嫁っこが火を点けたとかいう話ですぜ、旦那。」


 野次馬に町民や貴族という身分は存在しない。町民は貴族と対等に会話を楽しんでいた。暗いし相手が見える事もないからだが。


「だったら前の火事はどうしてだい?」

「一つは寒いからとたき火をしていたら西風の突風で燃えたとさ。次はお前。」

「あぁもう一件は林の木を切っていた時の火が燃え広がったらしいよ。なんでもここを買いたいという男が来て頼んだという事だったぜ。」

「放火をか?」

「いやいやバカを言うな。木の切りだし開墾をだよ。お前バカだ!」

「いや放火が正解だろう。いい具合に焼けていたよ。」

「あんさんは、林の現場を見られたのですかい?」


「あぁ昼間だったから退屈しのぎに見ていたよ。そうしたら、器用に林の立木を切り払って燃やしていたよ。あれはよっぽどの達人芸でなければできない芸当だな。……うんやっぱりそう思う。」



「旦那、それは間違いです。火事場泥棒の焚き木の確保に近隣の住人が勝手に切り払っただけです。」

「立ち木は持ち去られていたよな。」


「おや、そうかい。随分と都合のいい焚き木泥棒だな。」

「なんせ、三月の平均気温は0.3度ですのもね。」

「あの空き地は市の所有になっているんだ。だから木が在ったんだぜ。俺も知らなかったよ。木の泥棒は罪が重いと立札に書いてありましたからこれ幸いにと集まったらしいです。最後はお咎めなしになりましたが……。」


「お寒い限りで!!」




*)パブと宿屋と倉庫の建設と街の建設


 ルイ・カーンは建設ギルド長に三軒の建物の図面を提示して、


「三か月だ、至急建設してくれ。」

「旦那、おめでとうございます。いや、伯爵さま。」

「おべんちゃらは嫌いだ、出来るのか、出来ないのか。」

「もちろんすぐにでも取り掛かります。期間は三か月で造りあげます。」


 六千の銀マルクで決済がなされた。三千で二軒と三千で一軒。もちろん追加工事もふんだんに用意されていた。広場の整備に厩舎の建設。井戸が三本。内装や調理場は別途。たくさんの家具が納入された。暖炉も各部屋に完備。これも六千の銀マルクで決済がなされた。道路の舗装工事に至っては未だに計算が出来ていない。都度の決済がなされていた。


 これらのお金でレバル(現タリン)の街が発展していく。街には建設ラッシュ現象が起こって大工が足りない、煉瓦が、木材が……、となった。


「伯爵さま、いくら大きい道路を建設したいからと、こんなに住人を立ち退きさせても大丈夫なのでしょうか?」

「いいから進めろ。金は大丈夫だ。ギルドも儲かるだろう!」

「はいな~よろこんで~!!」

「井戸も十五本は掘ってくれないか!」

「ほぇ~!」

「いや、ほれ!」


 林の在った場所には大きい倉庫と店舗、それにパブと宿屋が建設された。敷地も広々としていて厩舎も完備されている。空き地のあった所にはパブと宿屋が建設された。


 三軒目にはL字型の大きい三階建ての建物だ。一階がパブの二店舗と倉庫。二階と三階はすべてが宿屋になっていた。井戸も掘られて小さいながらも詰めれば馬十頭は収容できるという厩舎。馬車の待機場が広く確保されていた。



「バルレ市長、市の広い土地をありがとうございました。」

「ルイ・カーンさま、お約束が果たせて良かったです。だいぶん苦労しました。」

「はて? どのような苦労でしょうか。私には綺麗な空き地が提供されましたが。いったいどのような方法で?? しかも三か所も。」


「苦労されたのは伯爵さまでしょう。これだけの道路の整備はさぞや大変でしたでしょうか。」


 答えることが出来ない市長は道路の煉瓦舗装に話を振った。


「なになに、大したことではありません。まだまだ半分しか造っていませんよ。」


 とルイ・カーン伯爵は言うのだった。約束の道路は済んでいる。街を全部煉瓦舗装にするのならば残り半分なのだろうか。ルイ・カーンは伯爵の爵位を司教から賜っていたが侯爵にまで登りつめたいと言う。


「侯爵はお止め下さい。なにかと制限が多くて不自由でございます。」

「どうしてだい?」

「はい袖の下を広げるのが侯爵。袖の下に忍び込ませるのが伯爵でございます。ルイ・カーン伯爵さまは領地をお持ちではありません。ですから侯爵には無理かと。」

「ライ麦畑に火を放って買い取ることはできるぞ。」

「いや~それはいかんでしょう! まねされないで下さい。」

「あ~それと、ぜひとも司教の小耳に入れてもらいたのだがな。」

「はい、なんでしょうか。」

「大したことではない、の・・・・と、み・・・・・。だ!」

「はい喜んで~!」


 これは宿屋の落成式の席上の秘密である。あなたにだけお教えしましたよ。



*)中央教会



 司教の命でバルレ市長が教会を訪ねてきた。


「おい、あのルイ・カーンとはどのような人物だ!」

「はい司教さま。モンゴル系かもしれませんが、金持ちの貴族でございます。なんでも西には多大な農地と街を管理しているとか申しておりました。」

「だったら侯爵の位が良かったかな。あの男にはもっと働いてもらわねばならぬな。もしも農地にできるのならば南の山林を解放してやれ。」

「はいあの貴族は既に一帯の農地を検分しておりました。メモも書いていたりしておりますので大きな目的があるのでございましょう。」


「ほう、そうか。」


「はい、広大な農地と大きい港が在ればな~と、よく独り言を申しております。ですので港の拡張建設も命じられてはいかがでしょうか?」

「ワシの名前ででか?」

「はい建設は司教様の名前で公布されるだけでございます。実質はどうのこうので民衆には分かりません。」


「そうかそうか。あいつが死んだらドイツ騎士団を呼んでしまえば、このレバル(現タリン)は大いに発展するだろう。」

「司教さま、長生きせねばなりませんね。これは精のつく食材でございます。」

「随分と重いのだな。」

「私はもっと大きい箱でしたが一人で持てました!」

「だったら大きい箱と交換せよ!」

「は……                       ……い!」


 エストニアはデンマークとドイツ騎士団により開発をされて、タリンがハンザ同盟に加盟し海上交易で大きく栄えていきます。



 第124部分と第125部分は後日入れ替えいたします。順番を間違えました。


 この章より別の物語が始まります。ルイ・カーン伯爵のお話です。余談ですが

電線音頭は前章で書き忘れましたので、追加しました。これも後日修正します。

第125部は少し追加しておりました。


 デンマーク領・エストニア。ここから始めるには大変でしょうか。

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