第118部 ソフィア編 スジャータとスターシア
1245年1月24日 リエージュ司教領・トンヘレン
*)トンヘレン司教区に向けて
「ゾフィさん大変です。マクシムさんから聞きましたか。」
シーンプは慌てて新設パブに駆け込んできた。
「いいえ、まだお会いもしておりません。で、急用とはなんですか?」
「はい、えぇ大変です。ソフィアさんとリリーさんが、魔女に捕まったらしいのです。どうしましょう。」
「何処でだい?!」
「はいリエージュ司教領の領主と、その魔女らしいのです。」
司教区とは地方の教会が、地域ごとに在る教会を纏めた教会の行政上の単位である。リエージュ司教領はその元締めと思っていい。
「まぁお父様が……、それは何かの間違いです。お父様はそのような人ではありません。」
「ええとスジャータさん? でしたね。落ち着いて下さい。そうと決まった訳ではありません。まだ判りませんし違うかもしれませんよ。」
「ではシーンプさん。急ぎソフィアさんたちの奪還を……?」
「そうですね、でも情報の収集を先に行いませんといけません。」
「それは途中途中でできるでしょうから、すぐに出かけませんか?」
「待ってくださいゾフィさん。少し落ち着いてください。」
「いいえこうしてはいられません。すぐに……。」
「それでしたら私も同行いたします。リエージュ司教領へ私が案内します。」
「御嬢さん。妹さんはどうされるのですか。お爺さまには内緒にされるのは利口とは思えませんが?」
「妹のスターシャも連れていきます。お爺さまには報告しましたら強引に引きとめられますので、妹だけにいたします。」
ゾフィは、
「私たちはハンザ商館とは繋がりもありません。このままバックレてもなんら問題もありませんので、急ぎ出立したいだけです。」
「そうですか、早く妹を迎えに行きましてご案内いたします。」
今のベルギー辺りで、神聖ローマ帝国の一部分がリエージュ司教領という事になっている。だが、1245年当時はベルギーの東側、今のルクセンブルク辺りになる。
シーンプとゾフィは強引な性格のお姫様に気圧されてしまった。それ以前に内部を知る者が居れば行動も早くなるからと拒否もしなかった。
「これはオレグさん譲りの性格が移ったのだろう。」
(オレグ、今どこにいるの。助けて!!)x2
海の近くの修道院になるのだろか。ここはいったいどこだろう…………。
*)トンヘレン司教区
「グシュン!」
と、洟水を垂らすゾフィ。
「ここも寒いんだね。でも雪が少ないから面白くないや。」
「どうですか、ここはとても古い街ですの。レガシーもたくさん在りますわ。」
「それは六百年後のお話でしょうが。あの建物も後には観光名所ですね。」
「あれはトンヘレン大聖堂ですの。屋内のオルガンを弾くことが出来ます。
「あぁお金が必要で、おおよそ三千二百円ですね、どうです?」
「三千二百円ですねって、それ! 何処のお金ですか?」
「アヴェ・マリアを弾いてきます。銅貨三枚を下さいな。」
フランツ・ペーター・シューベルトの曲は、1810年ころである。
「お姉さま、そろそろ皆さまを案内しませんと……。」
「そうねスターシャ。先に進みませんね。」
スジャータの案内でエベン・エゼルの塔の横を通る。
「Waroux Castle、ワロウ城。あれがお父様の居城になります。さ、まいりましょう。」
「ちょっとスジャータ。私たちは忍びですよ。堂々と、訪問に来ました”とは行きませんよ。」
「あら? でもお父さまはお優しいですわ。大丈夫です。」
「でも魔女が居るというからには……、やはり乗り込むにはいきません。」
とビビるシーンプ。他のメンバーも同じだ。
先にメンバーも紹介をしておかなくてはならない。いつも途中で登場人物が不明になってしまう。 シーンプ、ゾフィ、ギーシャとへステア。お姫様のスジャータ、スターシャ。シビルやボブ船長はオレグに報告しなければならないし、船も動かさなくてはならないからここには来ていない。ここで頼りになるのはシーンプとゾフィになる。
ギーシャがまともな意見を述べた。
「ソフィアさんに会いたいならば捕まるべきです。それが一番早いです、ね!」
「ばこ~ん。」
へステアがギーシャの後頭部を殴っていた。
「イタ! い。」
「あんた、自分から捕まりにいってどうするのよ。助ける事が出来なくなるのよ。」
「どうしてだ、ここであの姉妹が捕まったとは限らないだろう。」
ギーシャとへステアが言い争う。シーンプは、
「俺たちは犬だぜ。尾っぽが西向いているから東の方面に進もうか。」
「あっ東にはロンサン砦が在ります。行かない方が身の為です。」
ゾフィが水を差す。
「グ~~!」
「お腹がグ~だよ。どこかのパブに行こうよ。お宿も探しておかないと。」
「ゾフィさん、そうですね。夫婦喧嘩は放置して行きましょうか。」
「トンゲレンのベキナージュです。大きい建物です。ここには綺麗な……。まぁヒドイ。綺麗なバラが一輪も咲いていない。」
「これはバラの樹を刈り取っていますね。」
「シーンプさん。これってまさか……。」
「はいリリーさんを封じ込める為に全部刈り取ったのでしょう。」
「バラの花を無くしたくらいで、お姉さんの魔法を封じる事は出来ないと思うけれども。他になにか意図があるのかもしれない。」
「ただの剪定ですよ。もうすぐ春になりますから元肥を梳き込んで枝を刈り込んだのでしょう。」
「えぇ!! そうなんですか?」
「はい今はもう2月になりますね。元肥が臭わないからこの時期なのですよ。」
「な~んだ、そうでしたか。とても残念です。ここはお花が有名なので、つい。」
真冬にもバラは咲く。なのに一輪も無いのはおかしいとゾフィは思う。
北の大通りに出るとパブが数軒並んでいた。宿付のパブを探す。
「あそこに在りますね。」
「いいえ、ここはお宿がパブを開いていますの。」
「なんだい宿屋の食堂か! でも同じだろう?」
「スジャータさん、ここでいいかい。……?」
「はい十分です。私たちは左のドアから入ります。貴方たちは右から入って下さいね。」
「なにが違うんだい。料金が異なるのは知ってるよ。」
「あらそうではありません。右は宿泊の方の入り口です。決めておかないと料理の金額も異なりますのよ。」
「あは~ん。そうでしたか。」
それは嘘であった。左は貴族や聖職者が利用する時入るドアだ。左から入れば私たちは貴族です~と言っているのと同じだ。ゾフィと夫婦が素直に騙されパブの本場のシーンプは引っかからなかった。
スジャータが言った。
「あのうイングランドのパブは、デ~ン人が伝播させましたのよ。」
「あはぁ、そうでした。イングランドではヴァイキンに占領されて広まったのでしたね、デ~ン人さん。」
もう遅かった。このパブは魔女の店ですぐに結界に閉じ込められた。パブの左側には入口ではなくて通用口だったのだ。
「お母さま、捕虜を連れてまいりました。」
「ご苦労さま。これで人員が揃ったわね。むふふふ……。」
「ちょっとシーンプさん。私たちはもしかして、つ・か・まっ・た・の?」
「はい残念ですが、そのようです。姉妹から聞いて私たちが網に掛かるのを待っていたのでしょう。新婚さんすみません。」
「ケッ、俺も百%騙されたよ。こいつらは変身していたんだ。もう……これはマイッタね!」
「ぁは~マクシムさんは断って正解でした。」
「?嫁にするつもりでしたの?」
「あんたたち、あの姉妹が魔法文字を書けると思っていたのかい?」
「あっ、それは一度も聞いたことないや……、じゃぁあの壁に書かれた文字とは、ババァが描いたの?」
「ばこ~ばこ~ん!!」
ゾフィは二度も殴られて気を失った。
「なんだいこの娘は。あたいをよくもババァと言いやがって。」
「あんたも自分で言ってるよ。ざまぁね~。」
「ばこ~ばこ~ん!!」「ばこ~ばこ~ん!!」
「フン!! お黙り。」
「さ、あの方に報告だよ!」
「アイアイサー!!」
「ばこ~ばこ~ん!!」「ばこ~ん!!」
「何度言えば解るんだい俺は女だぞ! イエス・ショーティーだろうが!!」
「イエス、マン。」
「ばこ~ん!!」
「最後の最後で自滅かよ、なっさけね~!!」
若い魔女の教育は難しい。言う事は聞かない勝手に行動を起こす。言うても理解が出来ないおまけに屁はこく!」
「この女男はどうしますか。」
「おう二階の俺の部屋に置いてくれないか。後で楽しみたいよ!」
「まぁお盛んなことで!!!」
「そうかぁ~お前も欲しいかぁ~!」
「はい喜んで~!」
「でもだ~め!」
「チェ ・ ケチ!」
新婚の二人は身を寄せ合い、歯をガチガチと震わせながら怯えている。
「お前らも大した事はなかったね。強い奴だと聞いて用心していたというのにね。ざまぁ~ね~なぁ~!!」
「よ! 大根役者!」
「おうそうかい? 足の白いだいこんとは、あぁ、おれ~のこと~だ~!!」
「!! ばこ~ん!!」
「これはこれはマティルダさま、ようこそお出で下さいました。」
「はい二人の連れが捕まったと聞いて来たんだよ。…‥お前らはホント! 首にしたいよ。正社員じゃなければもう首が飛んでいた頃さ!」
「ひぇ~~~!! お許し下さい、マティルダさま~!」
床で伸びていない魔女は手もみしながら命乞いの祈りを捧げていた。
「ツンツン。………こいつらは伸すぎかぁ~?」
「はい作者は飲みすぎでございます。」
「あぁいつもの事だね。いつも坐骨が~! と言うてますね。」
「宇津井健氏は神経痛! らしいすっ。」
「うついけんしはしんけいつう ?」
「はい、逆さまに読んで下さい。作者がバカだという事が理解出来ます。」
「……?……?」
「人質はゾフィという娘だけで良かったんだが、まぁいいだろう。人質の人質になるからね!」
「はぁい?? そのこころは?」
「ホンとお前らはまだ教育が足りないようだ。聖少女学院に戻してやる。」
「オカルト学院は嫌でございます。実技で頑張ります。」
「その実技が出来ないんだ。やはり戻ってもらう。」
「あ~んマティルダさま~!」
「スターシャ、捕虜を牢に入れておけ。」
「はい姉のスジャータはいかが致しましょう。」
「なぁにもう目は覚めているさ。一緒に城に来るがいい。」
「はい承知!」
*)大司教のリエージュ司教
「お父さま、今戻りました。」
スジャータとスターシャがワロウ城に戻ってきた。
「おお娘たち、アムステルダムはどうだった? 酷い有り様だっただろうか。」
「はい陸は沈み海になっておりました。」
「そうかそうか。マティルダの実力も大したものだ。本当にオランダを沈めおってからに。」
「はいこれでデンマークも南に侵攻ができますね。」
「いや、そのデンマークにも被害が出たからお互い様になったようだ。あれほど注意深く事を進めろと言うておったというのに。」
「はい、マティルダさまは勢いがつくと遣り過ぎる性質ですのも。」
「お前らの母がその引き留め役ではなかったか?」
「母は、マティルダさまの足元にも及びません。無理でございます。」
「その母はどうした、あの方に元に行ったのか。」
「はい、あの方に人質の娘を捧げにまいりました。」
「可哀そうにまた娘が手玉に取られるのか。」
妹が姉の袖を引く。妹の催促を邪険にしたいが……。
「ではいよいよ……国王さまの暗殺に??」
「そうだ。いよいよ実行する時が来たよ。子飼いのアーベルを国王にする。」
「はいマティルダさまとデンマークに戻ります。」
「お父さまは、シャウエンブルク家に行かれますか?」
「そうだ媚を売りに行く。シャウエンブルク家もいよいよ安定するだろう。」
「それでは私たちは部屋に戻ります。」
「人質も連れていくのだな。注意して戻れよ。」
「はい、良い夜を!」
二人の娘は退出した。
「こら、なんで袖を引いいたのよ。お父さまからご褒美が貰えなかったわ。」
「だって夕食もまだですのも。お腹が空いて堪りません。」
「そうだったわね。人質にもネズミを届けねば……。」
「ネズミ??」
*)牢獄の二人
ソフィアとリリーは不自由な生活を強いられている。自由に動けるのはこの小さな部屋だけで、ドアには魔法で施錠されていた。小窓は採光用だから手も届かない高い位置にある。空の色すら見えない。
「お姉さま、今日は一段と不吉な事が起こりそうな気がします。」
「リリーそういう事は言わないで頂戴。いつも碌な事はないわ。」
「だぁって……。」
「甘えたいのね。」
「はい!!!」
「私だってオレグをからかって甘えたいのを我慢しているのよ。リリーはそうリリーは……、」
「あっ、ごめんなさい。もう言いません。」
会話も少ない二人。夢も希望もお花畑も思い浮かべることすら出来ない。
「あ~ぁ、つまんない。」
「そうですよ、お姉さまが反物に高望みするからですわ。」
「だったらどうしたらいいのよ。私だってオレグの役に立ちたいのよ。アンタ! 私に喧嘩、売ってんの?」
「お姉さま、それは違います。言葉が過ぎました。謝ります。」
「リリーいいのよ。リリーだって……だもの。」
「わ~ヒドイ。いくらお姉さまとて許せません。」
「オレグは私の物よ。リリーには匂いだけで十分です、我慢しなさい。」
「グシュン! オレグお兄さま会いたいです。」
ソフィアは黙り込み上を向いている。溢れる涙を瞼で遮るつもりらしい。涙は涙線を通って鼻に流れ込む。そして喉にまで!
「お姉さま!」
「しっ、黙って。」
ソフィアの耳が大きくなり左右に動いていたと思ったら、直ぐに元の耳の形に戻った。
「誰か連れられて来るみたい。誰だろう!」
「誰か捕まったのね、でもゾフィの気は感じない。」
遠くで、
「ほらほら、しっかり歩け。なに? 腹が減って動けないだと? このう!!」
「いやぁ~ん、突かないで下さい。」
「でかいケツだ、突きがいがあるぜ。」
「もう止めてくれ。俺の嫁だ!」
「そうかいそうかい。悲鳴が聞けて爽快!!」
「くそ~お前の顔は忘れてやらないぞ、末代までたかってやる!」
「俺は独身だ、末代とはいつまでだい?? 序でに俺はカネを持ってはいないぞ!」
「@[/*+;\]……。」(たかれね~。)
「この声はギーシャだよ。」
「じゃぁへステアもかな。シーンプも??」
シーンプらの三人が牢の前まで連れてこられた。
「どうも~ソフィアさん。探しに来ました。」
「バカじゃないの。探したら助けるのが筋でしょうが。」
「いや~筋違いです。リリーさんお元気でしたか!」
「ばこ~ん!!」
「うるさい、黙れ!」
「あ! ソフィアさん!!」
「あんたたちも魔女に捕まったのね。あいつらは卑怯だからね、騙されたのかしら。」
「はい、か弱い女に化けていました、バ~バがね!」
「ばこ~ん!!」
「うるさい、黙れ!」
シーンプは本日何回叩かれたことだろうか。二度目の失神になった。
魔女のスジャータは、
「人質だ。これでお前らは逃げられない。」
人質とは、ソフィアとリリーが逃げ出さないようにと、マティルダが考えた事だ。二人の魔法は封じてはいるが不測の事態はあり得なくもない。だからソフィアの行動が制限されるようにと、考えられた人質なのだった。
「@[/*+;\]……。」(これではお手上げか!)とソフィアは考える。
「お前ら奥に行け、ネズミ三匹を連れて来たから。」
「はい奥に行きますので、丁寧に扱って下さい。」
と、ソフィアは嘆願するも、
「ボカ! ボカ!」
と尻を蹴とばす魔女の姉妹。
「ソフィアさん、すみません。お世話になります。」
「なにを言うのよ。私はお世話はいたしません、お二人で労わりあって下さい。私だって労わって欲しいくらいです。」
ソフィアは怒ってプイと横を向く。
「あ、待て男。この能天気な男を引きずれ。」
「はい、今抱えて入ります。へステアさん、足を持って下さい。」
「@[/*+;\]……。」(足が臭いわ!)
若い女の魔女なのだが、口の悪い兵士のような口癖だった。
「あなた達、元は兵士なの?」
「え?? あ! へ??」
「??……もしや?……??。」
「リリーこいつらはなんなのよ。魔女じゃないの?」
「うん兵士みたい。マティルダの魔法で変えられたのね。」
「じゃぁ正気に戻しましょうか。」
「お姉さま、それはできません、いや、いけません。男が女になっていますから、女の身体で男の気性に戻ったら大変です。」
「そうね、喜び勇んで駆け回るわね!!?」
「お姉さま、今少し口を噤んで下さい、はしたないですわ。」
「いいじゃない。面白そうだわ!」
「我は汝の魔法の呪縛を解きほどく。ハァク・ソーデマクリーネ!!」
ソフィアの口から出まかせ呪文。それが暗示に効いたのだ。
「ぎゃぁ~なんじゃいこの身体は、ぎゃい~ん!!」
女の身体のままで跳んで逃げていく兵士。その後ろで笑っている魔女。
「あらあらまぁまぁ、簡単に魔法が解けてしまいましたわ。確かにネズミは届けましたからね。」
リリーは慌てて、
「ねぇちょっと。私とそっくりな女の子は居ませんでしたか?」
「あの若い娘だね。あの方に召されたよ。時期に狂ってここに連れてくるからさ、待っていなさい。」
「あの方って、誰なのよ。」
「あの方は教祖さまです……。今頃は、寵愛されていますわ。」
「@[/*+;\]……。」
ソフィアはムッとした。
「いや! そんな~。」
と怖い顔のリリーが言う。直ぐに泣き出した。
ソフィアは、
「教祖って、魔女の??」
「さぁどうかしら。私は知りません。知っていても教えませんよ。」
「そうよ、みんなで仲良くしなさいよ。」
そう言いながら魔女の二人は牢獄から出て行った。
「グスンお姉さま、マティルダがそうなのかしら。」
「だったら違うでしょうか。マティルダもなにか含みのある言い方だったわ。」
「このう~!!」
「ガ~~ン!!」
ソフィアは思いっきり鉄格子を蹴とばす。
「ヒェ~!!」
大きな音に驚いて起き上るシーンプ。それもそのはずシーンプの耳元の鉄格子を蹴ったからだ。
「お目覚めになられましたね。どうしてここに来たのです。私たちを探さずにお国へ帰れば良かっただろうに。」
「いいぇソフィアさまの事が心配で心配で……したからです。」
「あ、そう。シーンプの性格が良く解りました。」
「……???」
「リリー境界に保管していますでしょう?」
「いいえお姉さま。お忘れになりましたか? 魔女に全部吐かされてしまいました。このキツイ恨みは全部吐かなくてはなりません。」
「リリーさん、憂さ晴らし程度でお願いできますか?」
「いいえ、ぜんぜん足りません。ここから出たアカツキには……。」
「そうね、この国を滅ぼしましょうね!」
「はいお姉さま。好きです!! 大、大好きです。」
「まぁこの娘ったら、現金ね!」
シーンプは、
「ソフィアさん、リリーさん……。」
「えぇ、その先の言葉は言わなくても判ります。」
「どうしてですか?……。」
「たまたまぶつかっただけですよ。そう………。」
と言いながらソフィアはキツイ目つきでシーンプを睨んだ。
「ぎょぇ~!! 私のせいですか~~!!!」
怯えるシーンプは牢の端っこまで尻だけで後ずさりした。
「だってそうでしょうが~!!」
ソフィアとリリーの理由が話される。
集中して書けませんでした。深くにも、次話が前後いたしておりますが、
このまま進めます。