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人狼夫婦と妖精 ツインズの旅  作者: 冬忍 金銀花
第一章 駆け出しのハンザ商人 オレグ
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第11部 グダニスクへ上陸!

         

 1241年4月10日 ポーランドのグダニスク


*)俺の城、グダニスクの倉庫


 俺らは無事にポーランドの村、グダニスクに着いた。ここは、どの建物も煉瓦調で綺麗な街並みをしている。人口2,000人位らしいのだが、港を中心にハンザ商人とその使用人、およびポーランド国の役人が出向しているので、住民以上に人口が多い様な感じを受ける。煉瓦調の建物は、商人の倉庫か地主の貸家だ。


 ハンザ商館はまだ建設されていないが、商人同士で簡単な詰所というか、集会所が在る。ここに挨拶をして、目的の倉庫を探しに行った。


「オレグ! お腹が空いた。まだ倉庫には着かないの?」


 右手をグーにしている。ノアはソフィアの妹に変身していて、リリーは境界に入って周りを警戒してもらっている。


「ああ、まだだ。先に町の状況や地形を頭に入れるんだ。宿屋とパブも探しているよ。我慢しな。女は愛嬌と我慢だ。」


 先の方で誰かが手招きをしているようだ。あれはボブだな。


「そうね、ボブだわ。きっと横の建物が倉庫だわ。」

「ボブさん、お待たせ!」

「なに、たった今来た所さ。ここだろう? 借りたい物件は。」

「ここの所有者はもう居るのか?」

「何だか、さ。朝から待っていたようだ。見て見ろ、足元! すんげ~散らかっているだろう?」

「そのようだな。」


「お待たせいたしました。私がオレグ、と言います。よろしくお願いします。」

「あんたかい。ま、見てくれや。気に入らんでも借りてくれな。」


「わ~、広いわー。ねえ、オレグ! こんだけ広ければ沢山荷物が置けるね。」

「そうですね、間口も広いし、荷車ごと収容出来るようですね。」

「ソフィアさん、こんだけ”と、田舎弁使うのは止めてくれ!」

「あら、いいじゃない。」


 主人は奥に顔を向けた。其処には荷車が置いてあった。


「いかがですかな? お若いの。1日が90ズロチ。月に2700ズロチだね。」

「おい、ボブ。90ズロチは幾らになるんだい?」

「だいたい、2000クローネだろうね。こんなもんじゃねーかな。」

「おう、分った。ありがとう。」


「なぁ、ご主人。月に2400ズロチでどうだ。2700ズロチは高いだろう。」

「2500ズロチまでだ。私には急いで貸す必要もないよ。どうすんだい?」

「ああ、分った。半年更新のになるのか?」

「いや、1年がいいな。前金でな。分割は20%の割増にするよ。」

「OK、金貨で6枚と銀貨で66枚でいいのか?」

「金貨では、う~ん、6枚でいいよ、まけとく。」

「あいよ、ここ気に入った。借りるよ。」

「これ、契約書ね。次は、更新の1か月前までに払っとくれ! 遅れたら追い出すよ。分ったね。」


 俺は直ぐに契約書にサインをして、金貨6枚を払った。家主は受取るとにっこりして出ていった。


「さ、ボブ、荷物を運んでくれ。」

「おいおいおい! 何言ってるんだい。港からここまで担いでかい?バカにするなよ。馬借を頼むよ。荷車もな。」

「あれで良いのかい?」


 俺は奥に並んだ荷車を指差した。そこには3台の荷車が置いてあった。契約書に破損時は弁償する事、と記入がある。


「おうおう、まだ新しいじゃないかい、これで十分だ。うん。兄ちゃんは前がいいな。後ろはあの力持ちに押させるさ。」

「お姉ちゃんは倉庫の番を頼む。荷下ろしの采配も頼むぜ。」

「オレグ、私でいいの?」

「ああ、じょうとうだよ。置く場所は、商品の分類ごとに別ければいいだけさ。」


 置く場所を騒ぎながら相談していたら、大家の主人が戻ってきた。


「忘れていたが、二階の事務所兼物置はどうするね。この一階とは別料金だよ。追加で金貨2枚だな。高いなら宿屋に行きな。もっともっと高くなるだろうよ。あんたが金持ちならいいがな。」


「キャイーン! 直ぐに払うよ。はい、金貨2枚ね。領収書を書いてくれ。」

「はいはい、領収書ね。これでいいかい。悪くてもこれしか無いよ。」

「どうもありがとうな。ご主人。」


「今晩の宿屋と晩飯は、ほら、あそこの黒い屋根がそうだよ、待ってるね。」

「ああ、待っててくれ。腹空かしていくからさ。安くしてくれ。男が5人と女が3人な。暗くなったら行くよ。」


 大家は宿屋の主人か、オヤジだろうと思った。


「お! 兄ちゃん。俺たちもご馳走になるぜ。気前がいいぜよ。人足は泣いて 喜ぶだろうな。」


 主人は、カギ2本と領収書をソフィアに渡した。そして、


「あんた、二階の確認をしとくれ。掃き掃除はしといたが、不足の家具の見立てが必要だろう? 早くしたがいいよ。用品は港に店が在るからね。」


 と言って出て行く。俺はソフィアとリリーに買い出しを頼んだ。


「俺らが荷下ろしの終わるまでだぞ。早く帰ってこいよ。」


「ノアは、俺と荷運びをするんだぞ。いいな。」

「お父様のイジワル。か弱い女の子に荷運びなんて、ひどいわ。」

「そうか、ゾフィだったな。ソフィアに付いて行ってくれ。ハンターには気を付けてくれ。特に無駄使いの抑制を頼んだぜ。」

「アイアイサー。」

「夕方の晩飯まで飯は抜きだな。分ってるよね?」

「イヤイヤサー。」


「なぁボブ! 夜までは運べるかな。荷物300個。どうだい?」

「そうさな、荷車に100個を積んでここに運び込むまでは何とかしないとね。防犯と荷物の監視といるからな。頑張るさ、兄ちゃんがね。」


 ボブは、ガハガハ笑いながら、荷車をガラガラいわせて曳いて行った。俺もボブの後に続いた。もう一台も運ばないといけない。急いで押して行った。そして、ボブに追い付き呼び止める。俺は手早くボブが曳く荷車に俺の荷車を結び着けた。ボブは泣いて喜んだ。


 荷車に100個を積んでとはいかない。せいぜい20~30個が限度だろう。3往復にはなる。夕食に間に合うかは疑問だった。後半はリリーの助けで神業で無事に終了した。


 明日からは、ドイツ騎士団の支配を掻い潜り荷物を運ばなくてはならない。俺はまだどちらに付くかは決めていないが、金の音がする方に行くだろう。


 夜、みんなは浴びる位に飲んだようだ。この俺様に酒樽を売ってくれ! と主人が泣きついて来たのだ。翌日は酒が無くて昼は閉店していた。どちらも嘘のようだがたまたま客が多かっただけだろう。今までが少なかったのだ。


 今日の入港が2艘だから全部で15~20人は居るはずだ。


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 1228年から、グダニスクを中心に、東に200k、西に350k、南に300kが、ドイツ騎士団の支配による開墾や開拓が行われた。北はバルト海に面している。ドイツ騎士団は、この地に城を築き、先住民を虐殺や農民を追い立てている。


 1260~1274年の間に一揆を起こして、ドイツ騎士団と戦った。ドイツ騎士団のあまりにもひどい仕打ちに、1440年3月にプロシア連合が結成されて、地方の街や都市、貴族や僧侶が戦った。この頃からドイツは悪だったのか。


 1540年までこの戦いは続いた。息の長い戦いであるが、農地をどのように扱っていたのかが解らない。この辺りは、14世紀前半までに大半はキリスト教にされた。このキリスト教というのは、いい宗教とは思えないが、世界の半分、いやそれ以上の4分の3以上を占めている。


 ドイツ騎士団は、神聖ローマ皇帝の認可によりこの地を賃借したから、やりたいほうだいだったのだろう。14世紀前半までに大半はキリスト教にされたというのだから、森林の開墾以外は、先住民から農地の半分は略奪していたかな。


 ドイツ側からの西から、侵攻まがいの開拓を始めている。どうもハンザ同盟はドイツ騎士団と敵対したらしい。(間接だろうと推測しています。)

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 このドイツ騎士団が率いてきたユダヤ人により、ポーランド経済の発展の足がかりとなる。ポーランドはユダヤ人にとって魅力の新天地に思えて、ドイツ騎士団に参加している。彼らは農地開拓よりも都市を築き、商業や銀行業を礎を築いて貴族らの側近となり、硬貨の発行をも行っている。ビジネスの才能に長けているのだ。

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