「捻くれ者」賛歌
自分が真っ直ぐだと信じて
疑わない捻くれ者から見ると
真っ直ぐな奴は「捻くれ者」に見えるのだろう
世間で避けられる昏い歌は
邪道と言われるけれど
本当はそっちが王道なのかもしれない
信じること、素直な心、誠実な行動
どれも額面通りには働かない言葉
欲に塗れ、保身に走り、味をしめた誰かが笑う
人を信じ、人に尽くし、辛酸を舐めた僕らが泣く
そんな世界が僕らの生きる世界
こんな世界が僕らの生きる世界
例えばユートピアがあるなら
管理社会の歯車の一つでも
その世界の人々は世間擦れしないだろう
例えばアルケイディアがあるなら
悪なんて芽生えないから
やっぱり世間擦れなんてしないだろう
ユートピアもアルケイディアもその他の理想郷も
その名の通り理想だ、目指すべき理想だ
でも現実はリアルだ、こんなトートロジーまで含む
現実だ、理不尽や不運を孕んだノンフィクションだ
そんな世界で歌う「捻くれ者」賛歌
こんな世界だから歌う「捻くれ者」賛歌
この世界で
捻くれている奴は誰だろう
真っ直ぐな奴は誰だろう
世間擦れすることが正しいのか
世間擦れしていないことが正しいのか
世間擦れしていないことで
世間からズレていると見做されるのは
見做しているやつらが擦れているからじゃないのか
「捻くれている奴」はいつでも緊張している
例えばゴム製の棒を捻っているような
その力を抜けばストレスなく素直に戻れるのに
だがその力こそがアイデンティティなのだと叫ぶ
そんな奴らに捧ぐ「捻くれ者」賛歌
そんな奴らのために歌う「捻くれ者」賛歌
僕が好きな歌手を友人は「捻くれてる」と言いました。僕は素直に真っ直ぐ表現していると感じていたので驚きました。単純に立場が違えば景色も違うという話なのかもしれませんが、僕はどうもそう思えず、もどかしい気持ちになりました。そういう経験があったからこそ、そんな時に読みたい、聞きたい詩を作ってみました。誰かのもどかしさを解消させていただけていれば幸いです。