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凄い夢を見た

作者: 夏葉青空

凄い夢を見た


ある繁華街の

いまは上演されていない

ある劇場のまえで

人がひとり、

うつ伏せになって、

ピクピク痙攣している


ばっと見ただけでもわかる

着ているものは、そこかしこ破れ果て

ほとんど全裸に布を少しまとっているだけ

みたいな寒そうな状態で


貧しいを通り越して

ほとんど死ぬ寸前の

骨と皮だけが、かろうじて残っている

筋さえも削げ落ちてしまった壊れかけの身体が

比喩としてはおかしいが

取れたての魚が陸でピクピク跳ね回るように

うつ伏せから仰向けになったりしている

仰向けになったときに

筋さえ削げ落ちたミイラのような顔を目にした


いっしょにいた子どもが

「ハニヨレマ」

みたいな異国語で話しかけているが

もはや応えを返せるような状態ではない

知り合いなのかと思い、その子に

「救急車を、呼ぼうか?」と

声をかけるけれど、

もう、死の直前の痙攣状態にあるのではないのか


骸骨の中の窪んだ眼と

こっちの眼があった瞬間

こころの中の荒野を

一陣の乾いた風が駆け抜け、


そして、目覚めた



劇場の入り口で起こったことだったので

俳優の演技で、次回作のPRか

などとも考えたが、

役作りでああまで瀕死の行き倒れを

演じることなどけっしてできないだろうと

思い直す



そしていま、なぜだか、泣いている

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