ガンモードです。
「しかし、ワクワクしてくるよね?」
「それなそれなぁ」
バカ二人がテンションをあげるのも無理はない。
なぜなら、今俺らは電脳空間のようなところにいるからだ。
数分前まで、リビングで話していたのだけれど……
「お前たち準備は出来たか?」
父さんが俺らに言ってきた。
俺らは、父の持ってきたチップの前で輪になっていた。
「これで出来るんだよね?」
やや疑い深いチカが言った。
「なんか不思議だよね」
「なにが?」
「これ一つで実際に体験しながらゲームができるなんてさ」
「嘘っぽいけど、父さんのあのどや顔みたらホントだと思うよ俺は」
父さんは、どうだと言わんばかりの顔でこちらを見ていた。
確かにこれで出来るんだからビビるよねホント。
「今からリンクするから、みんな準備し終わったら、チップを入れたTVに触れてくれ」
にわかに信じられないけど、騙されたと思いながら俺はTVに触れた。
みんなが手を触れたとたんにTV画面がひかり始めた。
「それじゃ行くぞ」
みんなは、TVに吸い込まれていった。
そして、現在TVのなかという訳である。
「ホントに感覚があるんだね」
「体ごといったからな」
「タケ兄も楽しみでしょ?」
「なわけないだろ」
「またまたぁ」
「ホントそれな」
ウザイからやめろよなまったく。
「おい、なんか出てきたぞ」
龍兄の声にみんなが振り向くと、目の前に少し大きくて綺麗な女性が立っていた。
『みなさんこんにちは、説明プログラムのエメルです』
おぉー。本格的になってきたぁ。
エメルさんは続ける。
『まず最初に言語設定をお願いします』
そう言うと、みんなの前に国旗のマークが出てきた。
龍兄が日本の国旗を押す。
『ありがとうごさいます。では次にモード設定をお願いします』
すると今度は、3つのモード画面が出てきた。
ガンモード、ザバイバルモードそして、黒ずんでいてまだ選択できないモードの3つ。
父さんが言っていたのは、ガンモードなのでそれを選ぶと、解説するか、しないかの選択が出てきたので、するを選択。
『では、ガンモードの解説をします。前に注目していてください。
』
すると、前にビジョンが出てきた。
『まず始めに、ガンモードの基本的な解説をします』
言葉に合わせて映像が変わるので見易い。
『ガンモードは、それぞれが選んだ武器で相手を倒すことを基準にしたモードです。なので、みなさんは敵チームのプレイヤーを倒してください』
なるほど、銃ゲーの容量ってことか。
『ただし、ゲームに勝つにはいくつか方法があります。一つめは、相手のプレイヤーの全滅です。相手に撃退させられる、もしくは、なんらかのトラップに引っ掛かってしまうと、die状態になります。リスボーンするまでは、40秒かかるので命を大切に。敵を同じタイミングでdie状態にすることで、勝利となります。二つめは、敵拠点ポジションの全破壊です。この後、戦闘エリアの中から三ヶ所を拠点として選んでもらいます。拠点には、食料、弾丸、戦利品が決まった量置いてあるので、そこで作戦をねったり、休むことができます。この拠点を三ヶ所破壊することによって勝利となります。この二つが主な勝利条件です』
うそ、だろ。一つめは俺らに分があるけど、二つめはあっちが有利だ。しかも、拠点の広さとかも、あっちは知ってる訳だから余計に不利ということか。
父さんめ、はめたな。
だけど、受けた以上はやるしかない。拠点が狭い(わけないけど)ことを祈ろう。
俺が祈った瞬間、画面になにか出てきた。
『相手側から、マップレーダーの変更要求が来ています。確認しますか?』
俺らは、すかさず「はい」を押した。
マップ変更? なんのことだろう。要求ってことは、父さん達が要求してきたってことか。分からない俺達だからってなんでもしていい訳じゃないだろ。まったく。
『マップ変更の説明を読みますか?』
「はい」
『本来マップは敵、味方の位置両方がわかるのですが、変更の要求が来ると、敵だけか、味方だけのどちらかしか見れなくなります。それでも要求を受けますか?』
どうしよう、受けたら多分俺らが不利になるけど、受けなけゃ買ってくれないかもしれない。
俺が悩んでると、龍兄がみんなに声をかけた。
「多分これをのまないとエルファンは雲の上になる。だから、俺らはこれを受けよう」
みんなは、龍兄の言った通り、「はい」を押した。
『では、敵、味方どちらを表示しますか?』
みんなはどうするんだろう?
龍兄の方をみると、案の定龍兄は声をかけた。
「味方を見れるようにしよう。その方が協力とかしやすいと思う。だから、味方の方で」
「「「OK」」」
みんなとおなじく味方だけを選択。
『分かりました。それではルール解説に戻ります』
それから幾つかルール解説を受け、いよいよ始まると思ったが、エメルさんは続けて言った。
『そして最後にホバージェットについて解説します』
まだあったんだ。ていうかホバージェット? 聞いてないけど。
みんなも俺と同じ表情だった。
『これを使うと、後方にジェットを噴射し、一時的に加速できます。ですが、一度使うと45秒たつか、70歩歩かないと使えませんのでご注意ください』
すごすぎる。生身でゲームができるだけでなく、加速することも出来るなんて、こりゃバカにしてたことを謝りたい。
『もし、ルールをお忘れになったり、細かなルールを確認したい場合には、ゲーム中に右腕のボタンを押していただくと確認できますのでご安心ください』
エメルさんは、解説を終えるとニコッとした表情で。
『それでは、楽しんで来て下さい』
と言った。
いよいよ始まるんだ、L.O.Aが、エルファンをかけた死闘が。
俺は自分の顔を叩いて気合いを入れた。