社会不適合者
初めまして、雨露嘆家です。
初めての執筆です。
初めての投稿です。
それだけですが、どうか楽しんで読んでいただければ幸いです。
社会不適合とは。
文字通り社会に適合しない人間のことだ。
主に会社など職業的に使われることが多く、職場の人間関係に馴染めない人や、そもそもその職業に向いてないない人。何かしらのハンディギャップを持っていて、並の人間より能力が劣っており社会生活を送るのが困難な人を指す。単に欠陥と呼ばれることも少なくはない。
もちろん仕事だけではなく、日常生活でも友人や知人、会社の同僚や上司とのコミュニケーションが上手く取れず会話が成り立たない。つまり言葉のキャッチボールができないことでもある。
悪いことではないが、良いことでもない。本人は真剣に物事へ取り組んでいるつもりでも、ハンディギャップが障害となり周りの人間と「決定的な何か」がズレてしまうのだ。生まれつきの先天性な障害として患う人もいれば、環境のストレスで精神疾患の延長として発症する人の2種類が存在する。後者は社会的な問題であるが、前者は防ぎようもなく非常に厄介である。
そんな定義のない前説はさておき、実はこの世界は我々人間の知る「社会不適合」ではなく、もう一つの「社会不適合者」がある。
ただ「者」をつけただけだと思うだろう。
慌ててはいけない。順を追って説明すると、
例えばこの少年のような。
「・・・は? 社会不適合者?」
少年は訝しげな顔で、問う。
「そうだ。おそらく君の知る『社会不適合者』とは少しニュアンスが違うがな」
答えたのは鞣し革の真っ黒なソファーで、脚を組んで座るダークスーツの女性。
「ふざけんな! ってことはアレか、俺はアホってことか!」
目の前にある机を拳で強く叩き怒鳴る少年。
自分より明らかに年上の女性を睨んでいる。
怒るのも無理はない、誰でも突然「社会不適合」なんて言われれば、納得はいかない。
「だいぶ端折ったが、まあ『アホ』でも合ってることは合ってるな。君の場合は『バカ』も入ってるが」
「んだとゴラァ! それ以上バカにするとただじゃおかねーぞ!」
机から身を乗り出す少年だが、女性は微動だにもせず、
「ほう? どうするつもりだ?」
そう言い終えた瞬間、
「んぎゃああああああああ!」
女性は何もしていないにも関わらず、少年は何故か悲鳴をあげて悶絶を始めた。座っていたソファーをひっくり返してジタバタする。
「痛え! なんだ!? 何が起こった!」
「原因を教えてやってもいいが、名誉挽回のチャンスだ。正解したら『社会不適合』を撤回しよう」
「なんだと! よし、正解はこいつだ! 勝手に変なもん付けやがって!」
少年が見せたのは首元で不気味にきらめく黒い首輪だった。訳あってここに来る途中で黒服の男に無理矢理付けられたのだ。
「ははは、さすがに君でもそれはわかったか」
「ったりめーだ! さっさと外しやがれクソアマ!」
「だが残念、さっきのはウソだ。君はアホに変わりはない」
「だましやがったなァァァァァァァァァァァギャァァァァァァァァァァァ!」
再び地面につっ伏せてのたうち回る少年。それに汚物でも見るような視線を向ける女性。
「くっそお! 変なとこ連れてこられたかと思えば、変な首輪で俺を犬扱いしやがって・・・ ここはどこなんだ!?」
女性は一拍おいて立ち上がると、くるっと回れ右をして言う。
「『異世界』・・・と言えば聞こえはいいかな?」
ここは世界の果て、ならず者たちが集まる終焉の国。『異世界』と呼ぶ者もいる。
そこに『社会不適合』のレッテルを貼られた一匹狼の少年が迷い込んだことにより、
世界が小さくも大きく変わり始める。
いかがでしたでしょうか?
駄作、良作、どちらにしても楽しんで読んでいただけだのであれば嬉しいです。
少しでも読みたいと思う人がいらっしゃるならば、私は書き続けます。
ありがとうございます。