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その1 村の泉(6)

 黒い妖精マーフは、今度はしっかりと頷きました。

「はい。ここへ住まう事が許されるのなら、なんなりと」

「うむ。では」

 長老は杖の頭をすっ、とマーフの首に向けました。と、そこから金色の光が一筋発され、

真直ぐにマーフの首に飛んで巻き付きました。

 マーフの首に、金色の首飾りが巻かれました。

「その首飾りは戒めじゃ。もしあんたが、今話した事や村の人々に嘘や悪さをした時には、

その首飾りがあんたの首を絞める。

 ま、これは余計かもしれんが、その首飾りを外そうと魔法を使っても外れんよ。それは

龍の魔法封じに用いたものじゃからな」

「はい。絶対に外しません。…ありがとうございます」

 マーフはもう一度、長老に深々と頭を下げました。

 長老は「うむ、うむ」と頷くと、背後で恐ごわ様子を窺っていた村の人々に言いました。

「もうマーフは悪さは出来んよ。安心して水を汲みなさい」

「本当に、大丈夫ですか?」

「わしが、保証する。」

 長老の言葉で、村の人々はほっとして泉の側へと寄って行きました。

 ハナハナは、まだ悲しそうな顔をしているマーフに、にっこり笑い掛けました。

「大丈夫。きっとみんな分かってくれるわ」

 それから半年。

 マーフは毎朝、泉に来るみんなに「おはよう」と挨拶します。

 ハナハナ以外のみんなは初めは怖がって、マーフに挨拶を返しませんでした。

けれどだんだんと平気になって来て、今ではみんな挨拶するようになりました。

 マーフはみんなが水を汲んでいるのを、反対側の岩に腰掛けて楽しそうに眺めています。

 ハナハナは、今日も元気にバケツを銜えて泉に駆け降りて来ました。

 岩に腰掛けたマーフを見つけて、大きな声で挨拶します。

「おはよう、マーフっ」

「おはよう、ハナハナ」

 すると、ハナハナの後ろからも大きな挨拶の声がしました。

「おはよう、マーフっ」

 木ねずみの子供達でした。ハナハナが驚いて振り向くと、子供達はちょっと照れたよう

に笑いました。

 マーフはとっても嬉しそうに、子供達に挨拶を返します。

「おはよう、リック、ニック、マック」

 ちゃんと名前を呼んで貰って、木ねずみの子供達はちょっと得意げにお互いの顔を見ま

した。

 見ると、マーマおばさんがトネリコの木の根元で笑っています。

「今日もいい天気ね、マーフ」

「ええ。マーマおばさん」

 二人の会話を聞いて、ハナハナはとっても嬉しくなりました。

 ハナハナはうきうきしながら水を一杯バケツに汲んで、家へ戻りました。


 その1 村の泉 完

「その1 村の泉」 は、これで完結です。

アクションも何もない、のんきなファンタジーですが、

気に入って下さったら、ぜひご感想を下さいまし。


次は、「その2 銀の水時計」です。

いたずら子ねずみたちが、とんでもないことを!


ハナハナは子ねずみたちを庇って、ある決心を……!


「パッセルベルの猫の妖精」は、まだまだ続きます!

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