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その6 リックの一大決心(5)

 もちろん、ハナハナは女の子ですから、男の子達のように色んな仕事の選択がある訳で

はありません。

 それに、ある程度の歳になったら、お嫁に行かなければならないでしょう。

 それまで、というより、それでも、自分に出来る仕事ってあるかしら?

 漠然とそんな事を考えていたハナハナに、リックが言いました。

「僕、絶対風車を作るんだっ」

「え……?」唐突に言われて、ハナハナは一瞬、それが何だか解りませんでした。

 ぽかんとしたハナハナに、リックが「ほら」と言いました。

「この間見せたろ? 父さんが手紙と一緒に送って来た絵」

「ああ、あの……」

 大きな四枚の羽を横に付けた、不思議な建物。

「あれを、パッセルベルにも作りたいんだっ。仕事を早く覚えて、絶対風車を作るっ」

「でもあれって、大工さんが作るものなの?」

 大工さんはお家を作るものだと、ハナハナは思っています。風車は大工さんの仕事では

ないのでは。

 ハナハナにそう言われて、リックはうーん、と腕組みして唸りました。

「でも、一応建物だし……。建物なら、大工が作るんじゃないのかなあ」

「でも、風で回るのよね? 回る仕掛けも、大工さんが作るの?」

「………?」リックは黙って考え込んでしまいました。

 ハナハナも解らなくて、黙りました。

 家に帰って、ハナハナはその話をミィミにしました。

「そうねえ、どうなのかしら?」

 食卓に座ってモモの上着を縫いながら、ミィミは首を傾げました。

「私も、パッセルベルを出た事がないから、風車を見た事が無いわ。だから、誰が作って

るのか知らないけど……」

「そっかー。そうだよね。村の人で風車を見た事ある人って、そんなにいないよね」

「そうね、多分。……ああ、アルベルトさんなら知ってるかも知れないわね」

 ハナハナ達の先生、ふくろうの妖精アルベルトさんは、昔人間の街で暮らしていました。

 それに、色々な事をとてもよく知っているので、もしかしたら風車についても知ってい

るかもしれません。

「そうだよねっ、アルベルト先生なら知ってるかもしれない。リックに言ってあげようっ

と」

 お姉さんありがとう、と言うと、ハナハナは足下に放り出していた鞄を置きに、自分の

部屋へと向かいました。

 その背へ、ミィミが言いました。

「もうすぐお昼だから、モモとフレイを呼んで来て」

「はあい」

 ハナハナは鞄を部屋の入り口に置き、急いで外へと出ました。

 お日さまはトネリコの木の真上、風がそよそよ枝と葉っぱを揺らしています。

 お昼を食べたらリックに会いに行こうと思いながら、ハナハナは元気に裏で遊んでいる

モモと、フレイを呼びに行きました。


 その6 リックの一大決心 完

その6 リックの一大決心は、これで終わりです。

いかがでしたでしょうか?


この次のお話は、「ウェディング・ドレス」です。


大工の親方ボッヘさんの一人娘、ミントさんの結婚式が、

予定より大幅に繰り上がってしまいました。

ドレスを縫ってあげるマーマおばさんは大慌て!


さて、どうなりますか・・・?


お楽しみに!

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