表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最果ての地で。  作者: 織瀬春樹
1章 遭逢
3/24

3.信じぬ心

女の子視点となります




この人は、何を考えているのだろうか。


良からぬことを考えているようには思えない。


本心から、私を助けようとしているように見える。



でも、どうしても私は信じられない。


私に関わっても、メリットなんて無いのに。


なんで話そうとするのか。


なんで私に構うのか。


それが、分からない。



知らない人なら、無視をすればいい。


怪しい人なら、軽蔑すればいい。


構わなければ、それでいい。



なのに、この人は構ってきた。


私から見れば、こんなに怪しい人はいない。


ホームの椅子に偶然座っていただけの私に構ってきた人。


何か裏があると思うのは、当然のこと。


でも、その様子は見られない。



「どうしたの?」



純粋な心で私に接しているのだろう。



「なんでもない」



でも、どうしても私には分からない。


何故そのような事をするのか。



「ごめんなさい、やっぱり帰りますね」



だから私は、このような態度で返した。


少し冷たくされれば、もう構わないだろう。


そう思った。



でも、




「そっか、じゃあまたいつか会えたら話そうね」



そう、この人は言ってきた。



信じても、いいのだろうか。


疑わなくても、いいのだろうか。


この人に、心を開けてもいいのだろうか。


少し迷った。


でも、帰ると言った手前戻ることはしない。



「では」




そう言い残し、私はあの人に背を向けた。


夕陽が眩しかった。




私は、どこに行くのだろう。


あの人には帰るって言ったけど、

帰るところなんてない。


あんなところ、帰りたくない。



ずっと、さまよえばいいのかな。


住処が見つかるまで歩けばいいのかな。



どこまで歩けばいいのかな。


あの木の下までかな。


あの駅まで戻ればいいのかな。


その奥の海まで行けばいいのかな。


そこに、私の居場所はあるのかな。



私はこれからどうすべきなのかな。


あの人に最後まで付いて行くべきだったのかな。


でも、

それで、またあの時みたいになったら嫌だから。



じゃあ、どうするべきなのかな。


なにもすることない。


この世界に、いらなくなっちゃったかも。



_______消えてしまおうかな。




そんなことを考えながら、私は歩く。


目的地はない。



夕陽の光が、マンションを照らす。


この町全体が、明るく照らされていく。


草木が黄金色に輝き、かかしが夕陽を見つめる。


眩しいほどの光。


その光は次第に、紅く、赤く、燃えていく。






彼女の道は、どこへ向かっているのだろうか。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ