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最果ての地で。  作者: 織瀬春樹
5章 二人
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19. 行方




告別式が終わり、家に帰った。


涙はもう枯れ果てていて、

一滴も流れることはなかった。


そのまま、床に倒れこむ。


今日は、もう疲れた。



「....はぁ」



もう、何もかもどうでもいい。


今はとにかく、気持ちを整理したかった。


これまでのことを、全部。



「なぁ、美樹」



ゆっくりと整理して、



「ん?美樹ーどうした?」



気持ちを落ち着かせて、



「....美樹?あれ...」



また、いつもの生活に、



「え………」



戻りたかったのに。




「……美樹!?」





この部屋に、美樹はいなかった。


いつもいる部屋を探しても、

トイレにも、

お風呂場にも、

クローゼットにも、ベランダにも、


どこにもいなかった。



というか、

そもそもいつからいなかっただろうか。



……そうだ、告別式だ。


その時には、もう美樹はいなかった。


なんで、なんで気づかなかったのだろう。


後悔だけが残る。


でも、

それより先に、美樹を見つけなければ。




そう思った矢先、玄関で音がなった。


慌てて玄関へ向かうと、そこに美樹が立っていた。


いつもと何ら変わりない姿で。



「どこ行ってたんだ?」


「心配したぞ、どこ行ってた?」


「ほら、黙り込まずにさ、どうした?」


「……どうしたんだ、おい」



美樹は、返事をしなかった。


ずっと黙って、俺の方を向いていた。



「なんかあったの?相談とかなら聞くよ」



それでも、返事はない。



「…そろそろ喋らないか?

俺も頭がぐちゃぐちゃなんだ」



ずっと、こちらを向いているだけ。



「とりあえず中入ろう?な?」



だから、とりあえず手を差し伸べた。


でも、彼女は手を伸ばさない。



「さあ、入ろう」



それならと、彼女の手を掴もうとした。




____でも、掴めなかった。



いなかった。


最初から、いなかったんだ。


玄関で物音がしたのも、


さっきまで、目の前にいたのも、



『幻覚』だった。



差し伸ばした手は彼女の手をすり抜けた。


その瞬間、目の前の彼女が消える。




「………っ」



その後すぐに、部屋の奥に気配を感じる。


振り向くとそこには、



「くっ……」



こたつで温もっている彼女がいた。


みかんを手に取り、

いつもの、控えめな笑顔で笑う彼女が。









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