表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最果ての地で。  作者: 織瀬春樹
3章 そして
14/24

14. 小さなぬくもり



この世界は、常に変化している。


身の回りの物、技術、人々。


その変化はまるで、

止まることのない川のようで、


そしてそれは、誰もが認めるものであって、


だから、

自分達も受け入れていかなくてはならない。


例えそれが、如何なることであっても。


受け入れ難いものであっても。



それは予想外で、突然のこと。


予兆なんて、存在し得ない。


心の準備も整わぬまま、

周りの環境は変わっていく。


失ったものは、決して、決して_____


そう、痛感されられる。




あれから美樹は毎日水をやっていた。


やり過ぎると枯れてしまうからと、

1日2回程にしていた。



「さぶい...」



あれから日々も過ぎ去って、もう12月。


冬もそろそろ本番になり、

寒さがどんどん増してくる。



「美樹、早く入ってこい。

隙間風ほんと寒いから...」


「はーい」



美樹は水をやるとすぐに扉を閉めて、

こたつに入ってくる。



「ふぁ〜あったかい...」


入った瞬間力が抜けたのか、

気の抜けた声を出した。



「みかん剥いて〜」


「はいはい...ニートかよ...」



美樹は最近変わったと思う。


最初に出会った時とは、

イメージもがらりと変わった。


それは、時の流れと同時に変化していく。



「はい、剥けたよ」


「ん」



前の美樹は、

物静かでよく分からなかったけど、


今の美樹は、

結構はっきり言うようになって良かったと思う。



「あ、白い所残ってる。やり直し」


「はいはい美樹様...」



ちょっとわがままな所は正直変わってない。


ただ、

その後に見せる少しの微笑みも美しくて、


その為にわがままに付き合っていることは、

美樹には内緒にしている。



次第に寒くなっていく日々の中で、


小さな温かさが、心に沁みた。


その温かさは、

こたつの暖かさとは少し違って、


その温かさは、

春の暖かさとも少し違って、


はっきりとは表現出来ないけど、

表現する必要はない。


ただ、いつ消えるか分からないこの温かさを大切にする事が、幸せってことなのかなと思った。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ