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S.C.S.   作者: 麗羅
~海王中バスケ部は最強です~
9/19

八.き、聞いてないっスよ!?

今日から合宿だ。いつもなら授業中だが、私たちだけは校門に集合。バスに乗り込むのだが、

「………またっスか」「そうだね、いつもぎりぎりにしか来ないんだ。大輝は」

赤沢も、隣に立って、大きくため息を吐いた。いつもいつもって、懲りないんスか…。赤沢によると、試合の前もギリギリで待ち合わせ時刻を過ぎそうになるらしい。どこからか、ダダダッという走ってくる音がしだした。

「お待たせしてすませんっ!!寝坊しかけったっす!!」

いい加減学べよ、おいっ!!

「………じゃ、揃ったから行こうか」

赤沢はそう言って、溜息を吐きつつ、バスに乗り込み、運転手さんにすいませんと言った。やっぱり、部長とか主将には、こういう気遣いがいるんスね。

皆でバスに乗って、合宿場へと向かった。でも眠いから、ずーっとバスの中、寝てたんだけどね。着いたよって赤沢に起こされるまで、熟睡していたから、入口のエンブレムとか見れなかった。見ていたら、すぐに帰りたくなっていたなぁーと後から思った。


「お前が木村 涼か?」

光定のメンバーと会場に着いて早々、偉そうな人にエンカウントしました。って、そういう問題じゃなくて!

私が偉そうにされても許せるのは、リューセー(怖くて文句言えない)か、タッキー(なんだかんだ巻き込まれても楽しいと思える)だけっスよ!!あ、相田先輩達や、七宝しちほうメンバーなら、別にかまわないんスけどね?初対面の人に、上から目線で話されるのもヤダ。

「――――そっスけど」

話しかけないでオーラを出しているのに構わず、じっと探るような目で見てくる、たぶん、伯蓮高の部長さん。

「明耀のマネもいるが、くれぐれも問題を起こすなよ?」

起こす気もないし、仕事をしっかりしないと気持ち悪いし。面倒臭いけど、ほっぽり出してバスケしまくるほど、私は薄情ではないし、ズボラでもない。バスケはするけど。

「分かってるっスよ……」

私は溜息を吐いて、さっさとホテルのような建物に入る。


そうして、二十分程経って、ほかの学校(明耀しかないけどね)も集まり、漸く開会式らしきものが始まった。もっと早く来てほしかった。マネージャーが遅刻しそうだったからとか一番駄目じゃん。一番に来て荷物チェックするとかないわけ?私には練習時間とか関係ないんスけど……。


「………以上だが、今回はいつもとは二点違う。

第一に他の部活も同じ会場を使う。共用スペースもあるから迷惑かけんなよ?

第二にマネージャーが今回は二人いる。二人は自己紹介しろ」

いちいち命令しないでほしいっス。まあ、知らないよりましか。私は溜息を吐いた。

「私は明耀高校一年の姫川 愛里っていいます。精一杯頑張りますっ!!」

うわー、語尾にハートついてそう。私、こういう子苦手っス……。どこがいいんだろう、ブリッコ。こんな子が可愛いっていう子に説明してほしい。七宝にはいないけど。

「私は光定高二年の木村 涼っス。宜しく」これだけで十分なはずだ。

この合宿、一波乱ありそうっスね。嫌だなあ。


昼のみは、弁当があるらしく、荷物を置いてから取りに行くように、青島(偉そうにしてた伯蓮高の二年の部長)が言って解散した。マネは一人一部屋あてがわれ、レギュラー陣は三、四人で一部屋らしい。学年も学校も混ぜてるって赤沢が言ってた。残りの五〇部屋くらいは、もう一つの部活が使うらしい。何の部活が来るんだろう。


「あーもう疲れた…」「まだ始まってすらないよ?」

高尾先輩はクスリと笑って答える。

「だって、青山って、めっちゃ上から目線で話してくるんスよ?ああいうの、いきなり初対面でやられるとイラつくっていうか…」

先ほども思ったが、リューセーやタッキーは気にならないんだけど、ね。というか、リューセーのは逆らったらおしまいッスよ。罰は、外周二〇週で済めばいいんスけどさ~。

「マネージャーが二人いるから大丈夫だろ」

円堂はそう言うけど、姫川って子が、海王中バスケ部のマネだったら、リューセーに一日と言わずに辞めさせられると思う。ぜって―あいつ、仕事しないもん。

「それはいいとして、木村は料理できるのか?」

氷室先輩が不安そうに聞いてくるけど、私は一人暮らしで慣れている。それに加え、

「中学の時、レギュラーとマネージャーの皆で、勉強会するためにキャプテンのリューセーの家に皆で泊まったんスけど、その時、皆から美味いって言われたっスよ」

そん時はお世辞かと思った。でも、リューセーとか、つーがお世辞をいうわけない。マズかったら、マズイってきっぱり言われるだろうし。

「因みに今日の晩はカレーの予定っス」「「マジか!!」」

月影と如月は、嬉しそうにはしゃいでいる。子供っスか、あんたら。若干呆れつつ、ワイワイ話してたら食べ終わってしまった。

「じゃあ、ドリンクとか準備してくるっス。えっと、ごみ箱は…」

周りをキョロキョロ見ると、赤沢が口を開いた。

「いいよ、一緒に出しとく」「どうもっス!」

赤沢たちにごみを捨ててもらうことにした。チラっと明耀のいる所を見ると、姫川の弁当は、まだ半分以上あった。早く食べないと準備の時間減るのに、本当にヤル気あるんスかね。ま、私には関係ないか。さっさとコート張ってこよう。何個か緩んでたしなあ。私は走って、外のコートに行った。


十分ほどして、私は食堂の隣にある調理室に移動した。ドリンク作るだけなのに大変だ。タオルは初日だけ、ここの人が準備してくれているため少しは楽なんスけど。マネをし始めて、一か月たったからだろうか、手は素早く動いてくれる。ま、ドリンクの中身は、マリっちに聞いた海王中の味なんだけど。

「あら、もう来てたんだセンパイ」「遅いっスよ。ほら手伝っ「嫌よ!」て?」

姫川は顔を歪めてこう続けた。

「なんで可愛い私が働かなきゃいけないのよ!」

いや、可愛いのはマリっちみたいな子で、香水とかマニキュアして厚化粧してるアンタじゃないっス。自意識過剰だ。つか、先輩は敬えよ。ユウのところの部長さんやカントクさんじゃないけど、口から罵詈雑言が出そうになった。キャラじゃないのに。

「じゃ、センパイ後宜しく」「ちょ、」

私が文句言う前に、姫川は外に出て行った。なんであんな子をマネにしたんだろう。本当に光定を破った学校がすることなんスかね?


姫川が出た後、控えめにノックがあって、一人の女の子が、聞き慣れた声と共に入ってくる。

「すいませーん。同じ合宿場、を……って、りーくん!!何でここにっ!」

そう、入ってきたのはマリっちだ。……マジかよ。え、まさかまさかまさか!!

「……ねえ、マリっち」「……たぶん、りーくんの考えで合ってる」「マジっスか……」

たぶん、この会場にマリっちたち海南とか七宝が皆来てる、はずだ。嫌な予感今回働かなかった。いや、なんで?

「七宝全員と桜凛抜いた関東の学校が来てるの」

やっぱりー!!!

ということは、マリッチがここに来た理由は多分料理についてだ。不安そうにこちらを見てきてるし……。なぜか、バスケ部のマネたちは、皆料理が苦手っスからね…。まあ、たくさん作るのには抵抗ないっスから、別にいいんスけど。

それにしてもラッキーだ。姫川を利用させてもらおう。表に出なければ、七宝の皆に接触しなくて済むし、早めにわかったから対策を練ることができる。

「料理は手伝ってくれたら、バスケ部のもするっスよ。さ、ドリンク作ろ?」

「うん。ありがとう、りーくん」

仲良しで、今相談相手になっている可愛いマリっちの頼みだ。断れるはずがない。マリっちは、花が咲くようにして笑った。やっぱ、姫川より断然可愛い。

色々と最近あったことを話しながら、ドリンクを作った。その中に、ここは青山財閥と、竜王財閥が共同して作った合宿場だって話もあった。前に使った時も、リューセーがそう言ってたらしいけど、私は完璧に忘れていたようっスね。入口にも二つの財閥のマークあったのに気付かなかったの?とマリっちに言われた時は、少しショックを受けた。


んで、ドリンクが出来上がったと同時に姫川がやってきて「あら、早いわね」とか言って、ドリンクとかを入れたカートを持って行った。タイミング良すぎだろ。

「じゃ私、外のバスケコートいるっスけど、次、マリっち達は何時に休憩?」

「んーと、三時位かな」「二時二五分集合でいい?」「うん」

マリっちは、カートを押して、裏の体育館に向かい、私はあてがわれた自室へ向かう。持ってきた鞄の中から、中学ん時に七宝メンバーに、誕プレとしてもらったお気に入りのボールとアラームを出す。皆からのメッセージも書いてあって、照れくさいんスけどね。体育館からも、テニスコートからも、程よく離れた屋外のコートに向かう足は速かった。


何しようかな。まあ、タッキーの模倣は当然として、タクの3Pシュートの練習して、るーやんの模倣もしようかな。皆がいるのに、駆け寄って一緒にやるのは、私のメンタル上無理ッス。よしんば、受け入れられても、絶対リューセーとかユウにネチネチ言われる。ムリ無理ムリ。辛いし、淋しいのを無視して、バスケをし始めた。



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