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5ショートストーリーズ3

5ショートストーリーズ3 その1【永遠】

誰もが気軽に口にする「永遠」という言葉。さて…

 結婚式で永遠なる愛を誓った若い二人。

「お前を永遠とわに愛するよ」

「うれしい! 私もよ!」

 激しい抱擁、そして接吻。幸せそうな二人。

 三年後、離婚という形で、二人の永遠は終わった。

 

 小学校の卒業式で涙ぐむ生徒達。

「中学校に行ってもズッ友だよ!」

「もう、親友なんだから永遠に友達よ!」

「そうよそうよ。永遠にズッ友よぉおおお!」

 半年後、それぞれの進学先で別の友達が出来、親友達の永遠は終

わった。


 宝石店特別室にて高級ダイヤモンドを勧める店員。

「この輝きをご覧ください。これこそがダイヤモンドの真髄です」

「永遠の輝き。じゃろう?」

「お客様、お目が高くていらっしゃる。まあ、それなりにお値段

は…」

「ちょっと失礼いたします、おい、君、これはデモ用のイミテーシ

ョンだろ」

「あっ、失礼しました。お客様、こちらが本物のダイヤモンドでご

ざいます」

「あ、お、おう…」

 この者達には初めから永遠など無かった。


 喧嘩ばかりしている老夫婦。互いに百をいくつか越え、今は施設

で暮らしている。

「鈴木さん、結婚して八十年なのね。スゴイわ。永遠の愛を誓って

八十年か」

「馬鹿言わないでおくれ。おじいさんとは腐れ縁。戦争の出征前に

夜這いにあって…」

「お前、その話はもういいじゃろうが。わしも魔が差したんじゃ」

「あら! そうなの? それが縁で永遠の愛を…」

 二人が一斉に

「違うわ!」

 ここには少しだけ永遠の可能性があるかもしれない。


              *


「さて諸君、以上のサンプルにて語るのはまだまだ時期尚早だろう

が」

「いや、もう十分でしょ。ここの星の【永遠】の長さは零~せいぜ

い百年がいいところ」

「だな。そもそもこの概念は…」

「もういいですよ、いつもの話は。じゃ、帰りましょうか」

「だな。しかし、この事実を、この星の人達にも教えてあげたいも

のだ」

 M星雲第9惑星から来た宇宙船は、次第に速度を上げ、輝きながら

夜空に消えた。


「あ、おとうさん、今星が消えた!」

 散歩中の親子。子供が夜空を指差して小さく叫んだ。

「へえ、星が消えたのか。珍しいものを観たね」

「おとうさん、星も永遠じゃないのね」

「永遠だって? そんなものは無いのさ。永遠とは、お飾りの言葉

だよ」

「お飾り?」

 子供が首をかしげる。

「ほら、プレゼントの中身がしょぼくても、包みが美しいと立派な

ものに見えるだろ?」

「ああ、そういうことか」


 宇宙人に教えてもらわなくても、地球人は、永遠の意味を知って

いるのだ。



 


 


永遠とは、ひとつの概念に過ぎないと…

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