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捨てられ勇者は這い上がる?  作者: スカイラビット
第一章~勇者捨てられる?編~
7/25

第6話~出会い~

本屋さんへ来てみたのはいいが、文字を読むことができないから本を探せないや。

・・・仕方ない聞きたくないけど店員のお婆さんにでも聞くか。

「すいません。初心者向けの魔法の書って売っていますか。」

「ああ、売っているよ。買うのかい?」

「はい。」

「じゃあ・・・銀貨3枚ダヨ。」

そう言われたので素直に銀貨を3枚払った。

「ありがとうございました。またのご利用をお待ちしているヨ。」

そういうとお婆さんは寝てしまった。

・・返事ができなかった。

変わったお婆さんだことだ。

さて、することも終わったし、とりあえずギルドへ向かうことにした。


「あれが、例の『捨てられ勇者』・・・」

向かいの街角で、男の影がつぶやいた。


    ◇    ◇    ◇


ギルドへ入ってみると、

「いやー、遅かったじゃないか。トミツカ!」

リンダさんがいきなり声をかけてきた。

・・・しかもギルド内に響く声で

「あのー呼ぶならもう少し小さくてもいいじゃないですか」

「いいじゃないか、そのぐらい。それよりずいぶん冒険者らしくなったじゃないか。」

「はぁ~」

「そんなことより、『魔法の書』は買ってきたかい。」

「はい。これでいいんですよね。」

僕は『魔法の書』をリンダさんに渡した。

「おお、これだよこれ。しかし、またずいぶんとレアなもの買ってきたねー。」

っはい?レア?

初心者向けって聞いて買ったのに?

「何がレアなんですか?」

「ああ、これは初級~上級までの今分かっている。すべての魔法がのっている『魔法教会』が直接書いた本なんだよ。まだあまり売られていないはずなんだが・・・」

・・・どうやら最新の魔法の書らしい。まあ、これならいろいろ覚えられそうだしむしろラッキーかな。

「普通に初心者向けくださいって聞いたら出てきましたよ。」

「その本屋さんは結構、『魔法教会』と関係が良好のようだね。」

「ところで読み方表をください。」

「そうだったそうだった。はい、これだよ。なくすんじゃないよ!」

「分かってますよ。なくしたらぼくが困ります。」


ここから先は『三大陸共通語』の読み方などを教わった。

英語よりは、読み方が一緒なだけ覚えやすそうだと思った。


    ◇    ◇    ◇


~読み方を教えてもらった後~

僕は午後にもう一つクエストをやっていこうと思い『レッドマッシュ30体討伐』クエストを受注した。

門から右側のフィローネ森林にすんでいる足の生えた赤いキノコだそうだ。

Lvは35。

やる気があれば何とかなるだろうと思った。

森林へと向かう途中、僕は魔法の書を時間をかけながら読んでいた。

「まずは初級水魔法からだな。」

初級水魔法は『アクアボール』名前の通り水の球ができるらしい。


「我が捨てられし勇者が水の精霊ウンディーネに命ずる。汝の力を以て新たな水球を創造せよ。『アクアボール』」


そう唱え終えるや、目の前にバスケットボールほどの水の球ができた。

その水玉は前方へと10メートルほど飛ぶと。

地面に落ちるとただの水になった。

魔法で生成した水は、理由はともかく消えないらしい。

魔法で生み出したから、魔法の内容が終わったら消滅すると思ったのだけれど、予想が外れたみたいだ。

それにしても『捨てられし勇者』と魔法を唱えようとすると勝手に口から出るのがすごく嫌だな。

・・・セリフも中二病臭いしね。

まあ、我慢するしかないか。

「次は初級火炎魔法だ。」


「我が捨てられし勇者が火の精霊サラマンダーに命ずる。汝の力を以て新たな火球を創造せよ。『ファイアボール』」


・・・あれ。魔法が発動しない?

MPは減っているのになんで?


「我が捨てられし勇者が火の精霊サラマンダーに命ずる。汝の力を以て新たな火球を創造せよ。『ファイアボール』!」


・・・・・



「我が捨てられし勇者が火の精霊サラマンダーに命ずる。汝の力を以て新たな火球を創造せよ。『ファイアボール』!!」


どうやら火の魔法は試せないらしい・・・

後でギルドの人に魔法の書が間違っていないか念のため聞いてみようかな。

そう思っていたらフィローネ森林についた。街道はフィローネ森林をもろともせず突っ切っている。街道を通って5分ほどで討伐対象の『レッドマッシュ』が出るらしいのだけど・・・


「だいたい人間の半分の高さで温厚なモンスターだよ、森の中でも唯一の赤いものだからすぐにわかる。あと、かさっさかさっさ。っていう音がしたらいるはずだよ。」

とリンダさんには言われたけど・・・

・・・青ドライムの前科があるからね~。

言われたとおりの大きさなのかとかあまり信用はできないな・・・


・・かさっさ・・かさっさ・・


・・・気のせいだろうか?

なんか雑音がする。


・・かさっさかさっさ・・かさっさかさっさ・・


やっぱり右前方のほうから変なリズムの音が聞こえる。

リンダさんが言ってた音に似ている気がしなくもない。

・・・ためしに攻撃してみるか。


「我が捨てられし勇者が水の精霊ウンディーネに命ずる。汝の力を以て新たな水球を創造せよ。『アクアボール』」


ばしゃ!


かささ!?

かさっかさっさ!?


リズムがいきなり変わった。

なんか赤いのが近づいてくる。

あれが、『レッドマッシュ』なのか?

いつでも攻撃できるように『夜空』を装備して警戒しないと。


かさっさかさっさ


「△〇■▽◆!?」

言葉にならない悲鳴が口から出た。

なんというか、確かに赤いんだけど。

見ていて吐き気がするというか。

『レッドマッシュ』はいわゆるゾンビキノコだったのだ。

なんかキノコの傘以外がドロドロとけているのに、傘だけがやけに硬質でそこから


かさっさかさっさ


と音が出ている。

どう見ていても気持ち悪い以外の言い方が浮かばない姿だ。

そんなこと思っていてもらちが明かないしとりあえず倒すか。


「はああぁぁ!」


ガシュッ!


レッドマッシュは一発で倒せるみたいだ。

ただ、

・・・切った感触が気持ち悪い・・・

「こうなったらやけくそだああぁぁぁぁ!!」


ガッシュ

カジュッ!

ガジュ!!


「きゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


いきなり悲鳴が聞こえた。


「なんだ!?どこから!?」

周りを見回してもどこからわからない。

「・・・う~んどこからだ?」

とりあえず

「大丈夫ですかー!」

声をかけてみよう。


「よけてえええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


「上から!?どうやって!?」

そう思って上を向きながら後ろへ下がったら。

・・・ちょうど落下してくる人影のちょうど真下に来た。


ゴツン!


「あ・・・れ・・・」


バタッ


    ◇    ◇    ◇    ◇


「どうしよう・・・」

空から落ちてきた少女、シルフィア・ライズ・セントリアスは、とても困った事態に陥った。

ぶつかった結果とはいえ、気絶させてしまった少年になんて言おうか?

そして、これからどうするべきか?

二つのことで迷っていた。

「とりあえず安全な場所へ運んであげないと・・・」

そう思ったシルフィアは、森を出てすぐにあった草原に少年を運んだ。

そして、起きるまでにこれからどうするかを考えることにした。

シルフィアは空から落ちてくるときに見た、城下町を目指していこうと思った。

彼女の記憶が正しければ、3人の勇者が召喚され、今一番注目されている、聖フィローネ王国の城下町であったはずだからだ。

あそこは城の中の政治以外は平和な町だと、母様からよく教わり、実際に連れて行ってもらったことのあるまちだったからだ。

それは、彼女にとって不幸中の幸いだった。


「うぅ・・・」


さっきから少年がうなっている。

・・・自分が悪いだけにかわいそうだと心から思った。


「そうだ。これなら少しは・・・」


シルフィアはいいことを思いつき、それを実行した。


    ◇    ◇    ◇    ◇


なんかやけに気持ちのいい枕だなぁ

「うっ、うぅ・・・」

目を開けてみると、そこには見たこともない金髪で緑眼の可愛い女の子がいた。

僕が目を開けたことに気が付いたらしい彼女は、

「あ・起きた。大丈夫?頭痛くない?」

いきなり不安な顔をされた。

・・・そういえば頭が少し痛いな。

どうしてだっけ?

思い出してみる。

僕は気持ち悪いレッドマッシュを倒そうとして、いきなり悲鳴が聞こえて、

・・・それから

「あぁーーー!空から降ってきた女の子!!」


ガバッ!

ガツン!


「いったーー!」「いってーー!」

盛大に音を出して二人はまた激突をした。


「その・・・今のごめん。」

そう言いながら彼女を見ると、

・・・泣いている・・・どうしよう・・・

「あの、ごめんなさい。」

「ヒック。大丈夫です。」

「そ、そう。ところでどうして空から落ちてきたの?」

「そ、それは・・・」

そういうと彼女はうつむいてしまった。

聞かないほうがいいみたいだ。

「分かった今は聞かないよ。だから、いえるときに教えてね。」

「・・・はい」

「ところでこれからどうするの?」

「えっととりあえず向こうの町に行ってここがどこかの確認をしようかと考えています。えっとそのあなたは?」

「クエストが終わってから戻ろうと思っていたんだけど・・・まぁ一旦一緒に戻るよ。あと、あの町は聖フィローネ王国フィローネ城の城下町だよ。」

「やはりそうですか。申し訳ありませんが少し一緒に行動してもらってもいいですか?」

「え・まぁいいですけど。」

「じゃあしばらくの間よろしくお願いします。一応、魔法師です。えっとシルフィアって呼んでください。さんとかはつけないでもらえるとありがたいです。」

「こちらこそよろしくお願いします。あっと僕は十三束 空、そらでいいよ。ちなみになりたてC級冒険者です。えーっとシルフィア・・・とりあえず町へ行きましょう。」

「はい。そらくん。」


こうして、歴史を変えることになる2人、そらとシルフィはコンビを組むことになった。

これから様々なことが起こり、彼らを苦しめようとしてくることも知らぬままに・・・

今週は忙しくなるので、投稿できるか分かりません。

来週からは2日に1度のペースになる予定です

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