第11話~ホワイトウルフ狩り・後編~
「ガルゥゥゥアアア!!」
ガギンッ
「くそっ」
今更になってそらは行く前にギルドに言われた言葉が頭をよぎる。
『ホワイトパンサーにだけは気をつけろ!』
ギルドで初めてホワイトウルフ狩りを受注した時に言われたあの言葉。
Aランク冒険者が言っただけのことはある。
迷宮をクリアした身だしエイミィもいるから、なんとかなるでしょと思っていたけれど、実際侮れない。
こう、Lvはそんなに高くはないと思うんだけど、知恵が知力が高いのだ。一撃一撃が当たっても大した威力をなさず、長期戦にならざるを得なくなるのだ。
「エイミィ!」
「分かってる!『バーニングバレット』」
視界外から幾つもの魔法が襲いかかるが、どこ吹く風と、何事もなかったかのようにすれすれで躱していく。
「ガルゥアー!!」
雄叫びをあげると同時に爪が光だしそして、肥大化した。
『ホワイトパンサー』はその白光する爪で僕に向かって襲いかかってくる。大きく交わしきれないその攻撃を僕は双小剣でなんとか逸らすが、そのあまりの一撃に思わず身が竦みそうになるのを必死に堪えて相手と距離を置く。
今のは一体?そう思って眼を向けて僕は驚愕し、動きを止めた。
たったの一撃で地面に亀裂が走ったのだ。
「なっ!?」
「すごいねぇ~?」
そこで動きを止めてしまったことが良くなかった。なぜなら、あれは強化されたとはいえ、あくまで通常攻撃なのだから・・・
「まずい!」
咄嗟に剣を向けて致命傷は防ぐことができたが、それでも勢いには抗えずに弾き飛ばされる。
バキバキッ!!
木を何本もなぎ倒して勢いが収まったのか、一本の大樹に激突して止まった。
「ッハァ、ハァ・・・」
そらは、口から血を吐き出しながらなんとか立ち上がる。
「そらくんに何してんのかなぁ・・・」
とてつもない笑顔(注・目は全く笑っていない)で杖を『ホワイトパンサー』に向けると
『ラージ・エクスプローション』
小さく素早く詠唱した。
『ホワイトパンサー』の頭上に小さな火球が発生すると見る見るうちに巨大化していき、同時に赤い炎から青い炎へと変化していった。最終的に直径5メートルはある巨大な火球になり、そして一気に落下した。その巨大な火球は地面に到達した時に、大爆発を起こした。
ドゴォォォォォォォォォン!!!!!
大爆発が収まるとそこには大きなクレーターが形成されており、『ホワイトパンサー』は跡形もなく消滅していた。
そらは唖然とした表情で、エイミィは笑顔で爆破後を見たところから、お互いの心境がよくわかる。
「嘘でしょ?」
「スッキリした~」
討伐完了?
間違ってもこんな終わらせ方は良くないとそらは思った。
◇ ◇ ◇ ◇
戦闘後・宿にて
「あの時の爆発音にはほんっとびっくりしたぜ。」
「まさかエイミィがやってたとは思わなかったんだけど・・・」
達也が持ちだした話題は、言わずもがなエイミィがやらかした大爆発についてのことである。
「一時は街が混乱に陥りましたしどうなることかと思ったんですけれど・・・」
何?そんなことになってたの?と、若干そらがそわそわしだした。
「その時にエイミィが信じられないくらいの笑顔で戻ってきて、『クエストクリアー!!!』って叫んだおかげで『なんだ。高ランククエストか。』とか『あの子がやったのか』みたいな感じですぐに自体も収集できたしな。」
その言葉にエイミィはドヤ顔をしながら、
「えへへ!あの時はついつい本気出しちゃっただけだよ。」
ってへぺろ♡!
パシン!!
「ついついでもあんなものに・ど・と、使わなくていいからね。」
「いったー!もうそらくん何すんの!」
「もう少し威力下げれたでしょ!」
「え~いいじゃん。」
「よくない!」
む~~~~プイ!
二人共そっぽを向いた。
「まあまあ、別に大問題になったわけでもないし問題ないでしょ。」
「そうですよ。無事終わりましたし。」
ふと思いついたようにシルフィが、
「それよりも今日は勇者様の故郷えっと・・・そうです『日本』についてお話してくださいませんか?」
「いいよ~私達の国はねぇ『地球』っていう星の中にある国で・・・」
平和?な雰囲気でまた一日が過ぎていく。
いつまでも続けばいいのに。
そう思っても、やがてまた何か起こるんだろうな。そう予感ではなく確信がそらにはあった。
次に行くのはシルフィアの故郷『セントリアス皇国』
そこには何が待ち受けているのだろうか?
「楽しい旅でありますように。」
「え?そらどうしたのいきなり?」
「別になんでもないよ。」
そらはシルフィア達の話に戻った。
「それでね~特に食文化が発達してて~」
外では穏やかな風が吹いていた。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
大変申し訳ありませんが、受験勉強もあり忙しくなるのでこれで完結させていただくことになりました。今まで読んでくれた皆さん。ありがとうございます。




