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捨てられ勇者は這い上がる?  作者: スカイラビット
第二章~迷宮『フィアー』~
22/25

第8話~崩壊~

投稿遅れました。

本当に申し訳ありません。

また週一に戻れるよう努力します。

「「「「そら(くん)!」」」」

倒れたそらのもとへ全員が焦って集まり心配そうにそらが起きるのを待った。

しかし、数分経っても起きる気配はまるでなかった。

「死んでないよな・・・?」

「それはないよ。息してるじゃん。」

「あ・ああ悪い、冗談だ・・・」

たつやの悪い冗談により、居心地の悪い雰囲気が周囲を包んだ。

アルはこの雰囲気を理解していないのか理解したうえでやっているのかは分からないが、全員の周りをぐるぐるとまわっていた。

静寂を破ったのは黙って飛ぶことに我慢できなくなった?

アルではなく、迷宮に起こった異変・・であった。


ピキッ


「ん?」

「エイミィどうかしたか?」

「今なんかならなかった?」

「気のせいなん・・・

ピキピキッ!

・・・かいるな。」

迷宮の壁の方で何かひびが入ったような音が鳴った。

「これってさ・・・やっぱり迷宮ボス倒したから迷宮が壊れるってことの前触れなんだよね・・・?」

「え・ええ、確かそうだったと思います。」

グアッシャン!

天井の一部が魔力が無くなったことにより、天井としての形状を維持できずに崩落した。

「これはやばい!」

「に・逃げましょう!!」

達也がそらを背負うと、全員で一斉に洞窟から出るために来た道を全速力で走った。

ガンッ!

ゴゴゴンッ!

達也たちの走る後方では雨のように拳大から顔ぐらいの大きさの石や岩が落ち続けている。


「少し食い止めましょう!」

「了解!」


魔法を使って進む方向の天井だけでも、凍らして耐久性を上げていく。

少しでも時間を稼ぎつつ、1階、また1階と徐々に出口のある1層へと近づいていく。

中間層を超えたあたりで再び事件が発生した。


「「「「グルゥァァアア!!!」」」」


生き残っていた『エリートソードゴブリン』の小規模な群れが達也たちに襲い掛かってきたのだ。

「まだ生き残りがいたのか!」

そう叫びながら『両手剣』を鞘から抜き出すと、

「くそっ!『ツイストインパクト』!!」

一気に倒そうと達也はスキルを発動した。


「「グルゥア!?」」


最も近い2体の腹を横薙ぎに深く切り飛ばした。

2体は蹲って動けないほどのダメージを受けながら通路わきへ飛ばされ、壁に激突した。

ガッシャァーン!!!

もろくなっている壁が崩れ、倒れた二体の上に崩落したためにあっさりと2体を仕留めることに成功した。

喜ぶのも束の間。

達也が2体を攻撃しているうちに、背負っていたそらを狙おうとしていた群れのうちの一体が右後方から突きを放ってきたのだ。

「あぶない!」

間一髪、エルの斬撃がそらを狙っていた『エリートソードゴブリン』の腕を切断し、事なきを得た。

「たつや!注意してよ!そらくん死んじゃうじゃん!!」

「わーってるよ!」

「とりあえず落ち着いて!」

春奈は、戦っているみんなにダメージがいかないように防御結界魔法を展開した。

「攻撃魔法いくよ!」

その掛け声とほとんど同時に、エイミィは『エアスラッシュ』を大量に放った。

「「「グゥゥゥ!」」」

まだ戦闘を続行できる『エリートソードゴブリン』の全てがエイミィの魔法を喰らい、鮮血が舞った。その結果。迷宮の通路内が血塗れになる。

「とどめいきます!」

シルフィアは『ガンストーン』を周囲に作り出すと、回転を加えながら岩を鋭利に変形させて音速で『エリートソードゴブリン』に向かって飛ばした。

心臓・または脳に『ガンストーン』が達し、生きていた『エリートソードゴブリン』の全てが叫び声も上げられずに絶命した。

「よしっ!」


ゴゴゴゴゴ!!

ガッシャン!


敵のすべてをできる限りの速さで倒したがそろそろ氷が耐え切れなくなってきているようだった。

すぐ傍でも崩落が起きている。


「急ぐぞ!」

「うん!」

「あいよ!」

「「分かりました!」」


再び魔法を放ちながら入口へと必死の脱出を試みた。






    ◇    ◇    ◇    ◇






数分後、1層にたどり着いた達也たち一行の目の前についに出口から放たれている輝きが視認できた。

「見えてきたよ!」

「やっと出口だ!」

「らすとだ~!」

そういいながら全速力で全員は出口へ向かって疾走していく。


まだ残っているゴブリンなどの雑魚モンスターを蹴散らしながらではあったため、全速力といっても何もないところで本気で走った時程の速度は出ていない。まあ、身体強化魔法を使用しているのでそれでも十分人外・・な速度ではあったのだけれど。


それでも、最後まで天井は持たなかった。

ガゴゴゴッ!

ドカッ!

残り10メートルというところで、出口目の前の天井が崩落したのだ。

これでは前に進むことはできない。

相当量が落ち、大音量を発生させ、さらには軽い地震までも起こした。


「う・う~ん」


その結果。

吉か不幸か気絶していたそらの意識が戻った。

「「「「そら(くん)!」」」」

「ん?」

「起きたんだな!」

「よかった~」

「心配したんだよ!」

「ふぇ?」

いきなり何人にも話しかけられ、そらは混乱してしまった。

やっと起きたのに・・・


    ◇    ◇    ◇    ◇


そらは起きてみて、何が起こったのか全く理解できなかった。

目の前でいきなり心配され、喜ばれ、それらが同時だったため何が何だかわからなかった。

「なに?どしたの?」

その言葉を発したとき、

ガララン!

ゴガッシャン!

後方の壁が崩壊した。

前後左右道がないことに気付くと、そらは本能的に『ツインストライク』を出口のある方向へ向かって全力で放った。

ガギィィィィーーーー!!!

火花を散らしながら岩を破壊し、貫通し、人一人が通れる穴が出口までつながった。


「わぁ森林だ!」


混乱していたそらは目の前に森があることに気付き、一人興奮していた。

出てきたところからものすごい勢いでみんなが出て来ると、迷宮は完全に塞がった。


「やっと迷宮から出れた!」

「迷宮クリア!!」

「よくやったそら!」


みんなが喜びそして、そらをしばらくの間褒めていた。

もし、そらが起きて本能的に動かなかったら・・・

間一髪でも出ることはできなかっただろう。

しかしそのことに、そらはまったく気づいていなかった。

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