第2話~探索~
中間層から進んですぐ、『エリートソードゴブリン』数体にさっそく遭遇した。「はぁあ!」
「グルゥァア!」
ガキン!
「くそ!こいつらLv50以上か!」
エルと『エリートソードゴブリン』の力は互角。
いや、技量で互角に持ち込んでいるだけで、単純な力比べなら、エルが負けている。
「そらくん!こっちにも来てますよ!」
「分かってる。『ダブルサーキュラー』!」
キン!
最初の1撃目では、勝負すらならないのかよ!
キィィィン!!
2撃目は、大剣の軌道を逸らすことしかできなかった。
ただ、先ほどよりは差は減った。
「まだまだぁ!」
ガキィィィィィ!!!
向こうの威力を相殺できた。
こちらには、もう一撃残っている。
「いっけぇぇええ!」
スパン。
『エリートソードゴブリン』の両腕を僕は切断した。
「グァァアア!」
「セントリア皇国が第一皇女が命じる。理を今一度読み解き、神聖なる光の力を用いて彼の者を貫きたまえ。『ディバインアロー』。」
シルフィアの周りにいくつもの光の矢が生成され、
ズササササ!
容赦なく『エリートソードゴブリン』に突き刺さった。
まともに食らった『エリートソードゴブリン』は力なく倒れ、霧散した。
「よしっ!まずは一体。」
意外とあっさり一体を倒したそらとシルフィのコンビと違い、エルは拮抗した戦闘を続けていた。
互いに強い一撃を与えられず、長期戦になりそうだと考えたエルは、スキルを連続して放ち、早く終わらせようと考えていた。
それは、持久戦に持ち込まれたら負ける可能性が確かにあると理解していたからであり、ただしいはんだんであった。
「このぉ!『ワンハンド・ホリゾンタル』!」
ズバァァン!
大剣で弾かれダメージは与えられなかったが大きくノックバックさせることには成功した。
「グルゥア!?」
エルも少し後方へ押されたが軽くジャンプし空中で次のスキルを放つための構えをとった。
「スキルでならこっちが有利なんだ!『トライ・バーチカル』!」
スキルが発動すると、視認できるかどうかと言う速度で、背後、右前方、左前方、それぞれ三方向からほとんど同時に振り抜いた。
まともに食らった『エリートソードゴブリン』だが、武器を扱えなくなるほどのダメージではなかったのか、大剣を問題なく振り抜いてきた。
「あっぶな!」
バックステップで何とかダメージを受けずに済んだが前髪を少し切られた。
「気に入っていたのにぃ!」
相当気に入っていたエルは、怒りに身を任せてスキルを放とうと構える。
「いっけぇー!『アクセルリープ』!!」
反応が遅れた『エリートソードゴブリン』は抵抗しようと大剣を構えた。
しっかりとエルの片手剣に当てられたが、軌道を逸らすこともできずに呆気なく弾かれた。
そしてかわすこともできずに体を貫かれ『エリートソードゴブリン』は倒れた。
「よし!そっちは終わった?」
ザク!
「うん。3体倒したよ。」
「なっ!ま・負けた。」
「どうかした。エル?」
「何でもない!」
「エルは1体しか倒せなかったから悔しいんだよ~。」
アルが、理由を教えたくれた。
でも、こっちが二人だったんだし別に問題ないのでは・・・
「なっ!?アル!違う!!」
「またまた~見栄張っちゃって~」
「違うといってるじゃん!」
そういいながらアルを斬ろうとしたみたいだが・・・
「こわいこわ~い。」
あっさり飛んで躱されていた。
「次行きますよ~。」
「りょうか~い。」
「「くあ!」」
めんどくさそうなので僕とシルフィア、そしてクルック、コルックは、無視して先へ進んだ。
「あ!待って~みんな~!」
「アルー!逃げるなぁ!!」
「うわっと。」
「そんなことしてるとまた見つかるよ。」
「だいじょ~ぶ。だいじょ~ぶだよ~。」
こつん。
「ん?」
「グルゥアァ」
アルは『ハイゴブリンメイジにぶつかっていた。
「うわぁああ~!」
「ほら。言わんこっちゃない。」
再び戦闘を開始した。
◇ ◇ ◇ ◇
「ふぅ。危なかった~。」
「いやアルは戦ってないよね。」
のんきに「がんばって~」とか応援だけをしていた気がする。
実際戦うのは僕とシルフィとエルだけなんだけど・・・
敵に見つかるのはアルなのにね。
「あっはっは~気のせいだよ~。」
「気のせいじゃないよ!こんのダメ妖精め。」
「そんな言い方しなくてもいいじゃん!」
あ・やばいまたさっきと同じパターンになる。
「ちょっと喧嘩は後でにして、そこの二人。」
「うるさい!」
「そっちは黙ってて!」
ダメだこりゃ・・・
「むきー!」
「大体アルは毎回毎回何を考えてんの!あんなんでモンスターに見つからないわけがないでしょ!」
「別に悪気なんてないもん!それにボクはいろいろ役にもたっているじゃん!脳筋娘に言われたくないね。」
「何ですってぇ!」
「「キィィィ!!!」」
何かけんかに使われる言葉が段々ひどくなってきた気がする。
「シルフィ。どうする?」
「どうしようもないですね・・・」
何とかしようと言う気にもならず僕らはため息をついた。
「「はぁ」」
こんなんで次の層は大丈夫何だろうか。
僕は何か絶対起きるだろうなと心配を過ぎて諦めに入ってしまっている。
先の怪しまれる一行であった。




