表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

祭り特派員

祭り特派員 3

作者: 風紙文

「お待たせー」

広場の中央に背の高い時計台のある、時計台広場。

地元の住民にとって待ち合わせの定番となったここで、まさに今待ち合わせをしていた。

やって来たのは、染めたと分かるほど明るい、茶髪の少年。

「いいや、そこまで待ってないよ」

待っていたのは、今に珍しい、日差しを遮る傘……日傘を差した少女。

「今日はありがとね、わざわざ付き合ってもらって」

「気にすんなよ、どうせヒマだった…」

左右を見ていた少年の視線が、ある方向で止まった。

「どうしたの?」

「ゴメン、ちょっと待ってて」

「?」

「何やってんだ、こんなところで」

茶髪の少年が向かったのは、近くで待ち合わせをしていた帽子を被った少年だった。

「待ち合わせだ、見て分かるだろ」

「あ、そりゃそうか」

茶髪の少年は当たり前だよな、と納得した。

「待ち合わせって誰とだ?」

「あたし」

「うぉ!?」

茶髪の少年は急に真後ろから聞こえた声に振り返ると、眼鏡をかけた少女がその驚いた姿を見てニヤニヤと笑っていた。

「待たせたね」

「五分遅れだ」

「そんくらい多めに見てよー」

「……はぁ、いいからさっさと行くぞ」

「はいはーい」

「はー、相変わらず仲良いね、お二人さんは」

二人を交互に見て、茶髪の少年は呟いた。

「集合時間五分過ぎてるけどな」

「そんくらい待ってやれよ、女ってのは準備に時間が必要なんだぜ」

「お前が女の何を知ってるんだって感じだが……春物あさりの何に準備がいる?」

「え、えーっと、バーゲン品のバトルに対抗出来るだけの体力作りとか?」

「当日に付け始めるわけないだろ」

「そーそー、てかセールに行くわけじゃないから別に体力はいらないの。さ、時間迫ってるからさくさく行こー」

遅れたのはそっちなのに……

少年達の心のツッコミは、知らぬ内に被っていた。

「じゃあな」

「あぁ」

二人と別れ、茶髪の少年は日傘の少女のところへ戻ってきた。

「お待たせ、行こうか」

「今のは?」

「学校のダチと、その幼なじみ」

「へー、私達みたいだね」

「だな、さ、行こうぜ。この辺り久しぶりだろ」

「うん」







二人は商店街を歩き周り、日傘の少女が気になった店へ入る。

眺めるだけの時もあれば買い物をする時もあり、二人にとって普通に楽しい時間が過ぎていった。

「やっぱり良いセンスしてるよな、お前」

「えへへ、ありがとう」

茶髪の少年は、先ほど買った帽子を被り、選んでくれた少女を褒めた。

「さて、これで大部分は回ったけど、他に行きたいところはある?」

「うーんと……」

その時、

「あのー、そこのお二人、少しお時間よろしいでしょうか?」

二人の後ろから、声をかける人物の姿があった。







その人物の話を聞いた後。

「本当にあったんだな……噂ばかりと思ってたぜ」

「それに、今年を頼まれちゃったね」

「ふーん……面白そうじゃん」

「え? もしかして、やるの?」

「せっかくだし、一緒にやらね? どうせ三日後には帰るんだろ?」

「そうだけど……うーん……」

「まぁ明日まで時間あるし、ゆっくり考えてくれよ。お前がやるなら、一緒にやるからさ」

「う、うん。ありがとう」


op その2

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ