表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

灰色ノ星

作者:

「わたしの分も、生きて……ごめんね……」





ピーーー…………。









鳴り響く、機械音。






目に映るのは、白くて綺麗な肌をした、彼女。


ゆっくりと閉じた目から、

一筋の涙の線を、ゆっくりと落として、




逝ってしまった。





僕には、もう、到底迎えには行ってやる事の出来ない、世界へと。






ひとりで、逝ってしまった。












目の前がグシャグシャと、

気持ち悪く激しく……歪んでいく。


崩れていく……

壊れていく………潰れてゆく…………。







色を失う。

音を失う。

心を失う。

生だけが…残る。



















風の吹く、この小高い丘で、

僕はただ、灰色の空を見上げることしか、出来ないで居た。


君を失ってしまった僕の世界は、まるで、色を失くした。





生きている。

死んでいる。






どちらでも良かった。









僕は心を失った。

どうやっても取り戻せない心を。











でも。



歩き出さなければ…。

いつまでも、ここには居られないのだ。

僕が消えれば、

君の存在は、

本当に姿を消してしまうから。


君の言葉を、最後に受けたのは、僕。

僕は君の全てを請負うと約束したから。








だから、ゆくよ。僕は。

君のいない世界を、今ゆっくりと、歩いてゆく。












天気は、曇。

気温は、暖か。

君が好きな世界。



「あなたと生きていければ、私は、もう何もいらないの…」






手を取り合った記憶。

君の匂いを感じた記憶。

鼓動を、

熱を、

確かに感じていた、この記憶。




今も僕を、蝕む。

君を生きる為には、荷が重過ぎるんだ……。













だから。

ごめんね。



















置いてゆくのは、

思い出と、君の白い骨が入った、綺麗な瓶。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 並みの作品に見えて、臆病なほど繊細ですね… 実は、私は”灰色の星”で検索したら、にたような題名でびっくりしました
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ