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桜木町

作者: 朴念仁
掲載日:2026/04/05

風雅を飲み風雅を喰らう。

花見など酒呑みの口実に過ぎぬと思ってきたし今もその点変わらないやもしれぬ。

なんとなしに思い立ち、菓子と酒(石川門と言う酒を作る酒蔵のワンカップを頂いた、酒蔵のお名前を確認しておらず申し訳ない)を選び電車で赴く。

当然だが人が多い。本来は花見客に紛れ一杯やろうと思ったが独り身では肩身が狭く、また人通りも多ければ一人陣取るのも憚られる。

寂しくも良き所をと辺りを見渡せば対岸の段がある。

元の用途はわからないが人が座る場所となっているので都合がいい。

そこにも人がいるが桜の生える道中よりマシである。

のんびり向かえばアングルとしても葉桜が目の前で緩くカーブしている向こうの盛りの桜見える場所が丁度段の端であり人もいない。

好都合だとそこに陣取った。

風雅を呑む、食うと言った。

でありば盛りの桜より葉桜を見つめ思索にふけるのが常だろう。

傍目から見れば菓子を肴にワンカップを搔っ食らう四十近くのオヤジに他ならず不審の極みであろうが気にしない。

菓子に合わせ酒を干したが稚拙であったやもしれぬ。

一つ学びを得た。

ほろと酔うに気分は良い。

久々に筆を取った次第である。

後ろでチャチなジェットコースターがあり風雅とは程遠い悲鳴が聞こえる中そも風雅とはと言うところから思索を始める。

恐らく今この状況は程遠い。

傍目からは怪しいジジイが疲れ切って黄昏てる様にしか見えんだろう。

事実でもある。

風雅とは個人の粋の発露だと思っていたが、他人からどう見えるかと言うのも随分重要である様だ。

有象無象の人がウヨウヨ視界に入る現状はその様な様から程遠く、次の機会には山野に赴いて酒を呑むくらいの段取りはあるのだろうと得心する。

酒も切れて久しい為そろそろ上がろう。

妙にオシャレを気取った本屋を冷やかし、経営破綻したと聞くコーヒー屋を訪ね、美術館の前を過ぎて家に帰る。

のんびりとした時であった。


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