第5話:潜入!死の要塞島
「父さんが……あの地獄の中に……!」
モニターを見つめる豊の拳に、蒼い電流が走る。
松江が割り出した場所は、湾岸に浮かぶ人工島「Σベース」。最新の防衛システムとサイボーグ兵士に守られた、ネオΣの本拠地だ。
「豊、まともに正面から行けば、たどり着く前にエネルギーが尽きるぞ。この作戦を使うんだ」
松江がザボーガーの換装パーツを差し出す。それは、レーダーを欺瞞する光学迷彩塗装が施された漆黒のカウルだった。
深夜の海上。
豊はザボーガーを駆り、海面ギリギリに架けられた一本のパイプラインを激走していた。
「頼むぞ、シーシャーク。道を作れ!」
水中を先行する**【シーシャーク】**が、要塞を囲む水中レーダー網にハッキングを仕掛け、一時的に盲点を作り出す。
「今だ!」
豊はアクセルを全開にした。光学迷彩が作動し、夜闇に溶け込んだザボーガーが、音もなく警備ゲートを突破。要塞内部へと滑り込む。
内部は、無機質な金属と不気味な管が張り巡らされた、まるで巨大な生物の体内のような空間だった。
豊はバイクを降り、一刻も早く父の元へ向かいたい衝動に駆られるが、身体が透け始める恐怖がそれを許さない。
「くそっ……バイクに乗ったままじゃ、この先の狭いダクトは通れない……!」
その時、豊の脳内にザボーガーのAIが直接語りかけてきた。
『――提案。ライダーの意識を、一時的にドローンへ転送。遠隔操作による内部探索を推奨します』
「俺の魂を、ヘリキャットに移すっていうのか!?」
それは賭けだった。失敗すれば、豊の意識はデータの海に消える。
「……やってくれ。父さんに会えるなら、なんだってやる!」
豊が意識を集中すると、視界が急転した。
気がつくと、彼は上空数メートルから自分の「抜け殻」を見下ろしていた。**【ヘリキャット】**に意識を同期させたのだ。
小さなドローンの姿で、レーザー網を掻い潜り、最深部の研究室へと潜入する豊。
そこで彼が見たのは、巨大なカプセルの中に浮かぶ、年老いた父の姿だった。
「父さん……!」
ヘリキャットのスピーカーから、震える声が漏れる。
だが、父の目は開かない。代わりに、背後の闇から冷ややかな拍手の音が響いた。
「素晴らしい。まさか自分の魂を分割してまでここまで来るとは。大門博士の息子らしい、無謀な執念だ」
悪之宮だ。その隣には、さらに改造を施され、腕が大型のキャノン砲に換装された秋月が控えていた。
「豊、お前の魂はここで回収する。そして大門博士の頭脳と共に、我がネオΣの永遠の動力源となるのだ!」
研究室の壁が開き、無数の捕獲アームがヘリキャットに襲いかかる。
遠く離れた場所で、本体のザボーガーを守っていた松江の絶叫が通信機から響く。
「豊、戻れ! 秋月がそっちに向かった! 罠だ!!」




