26式輸送車両
軍務庁では、25式戦車の開発と同時並行で25式戦車を輸送する列車の運用に向けて準備が進められていた。
しかし、どう考えても
「列車まで作る必要はないだろう。」
という結論に至る為、25式戦車を輸送する列車は民間企業から購入した車両によって編成する事が決定された。
そして入札公告が行われたものの、列車を作れる企業が存在意義が分からない怪しげな行政機関に車両を販売する事によって企業イメージが低下する事を恐れた為、参入は全く無かった。
25式戦車を輸送する列車の保有を諦めるか、軍務庁で開発するかを選択する事となった職員達はとりあえず財務大臣に聞いてみた所
「戦車作れそうなんだから出来るでしょ。」
と言われてしまった。
この時、職員達は開発途中だった25式戦車もT-72を購入できたから設計を始める事が出来たのであって何も無い状態から作る事は無理だと思った。
しかし、よく考えてみれば25式戦車を載せる低床式大物車や緩急車にエンジンやATSといった複雑な機構等は備わっていない。
それらを牽引する機関車に複雑な機構は備わっているものの25式戦車の車体を線路の幅等に合わせて形を変更すれば最低限の性能を備えた車両にはなるだろう。
そうした考えで開発が始まり2026年になると機関車が完成し財務大臣によって26式軽油機関車と命名され高崎の車両基地で報道陣に公開された。
全長15.4m、全幅2.875m、出力780hp、装甲5cmの電気式ディーゼル機関車と説明された記者達は実際の車両を見て驚いた。
赤いやつか黒いやつの様な機関車を存在していたのに実際に出てきたのは薄い灰色に塗装された国鉄DF91形ディーゼル機関車の様な外見の機関車であったからだ。
それだけなら若干外国風の外観というだけでそこまで驚かないのだが、車体の下の台車には小さな車輪が片側にそれぞれ6つずつ付いている上に操縦する時は座席の横に備えられたシフトレバーを前後に操作する形となっている。
ついでに26式軽油機関車とやらの後ろに連結されている車両も何やら様子がおかしい。
26式軽油機関車の後ろに2両連結されている薄い灰色の車両は、26式機動車といって25式戦車の乗員を輸送する為の車両と説明されたが車両の中央部分に機関銃が備え付けられておりアニメや映画に登場しそうな見た目である。
その後ろに数両連結されている低床式大物車や1両連結されてる緩急車の説明を受けながら報道陣は思った。
「この車両使えるのかなぁ…」
26式輸送車両と名付けられたこの編成は、某旅客鉄道の高崎車両センターに配備され、報道陣と同じ疑念を抱えた関係者の手によって運用される事となった。
自衛隊が昔運用してた蒸気機関車って金銭の支払いとかどうやってたんでしょうね?