軍務庁設置法、可決
このお話は、私が息抜きと思い付きで作ったものです。
出来るだけ投稿していくつもりですが、内容に困ったら怪獣やUFOといった登場する架空の兵器や軍務庁の存在以上に非現実的な存在も登場するかもしれませんがご了承ください。
財務省軍務庁、それは日本の財務省が有する軍事組織である。
その組織は、令和四年に財務省が戦車や機動戦闘車よりも安い対戦車ミサイルを活用する事はコストパフォーマンスを高める可能性があるという旨の文章を公的な資料に盛り込んだ結果、一部の国民から注目、批判された末に国会で行われた答弁をきっかけに設立された。
「この資料は有事の際に財務省職員が自ら前線に赴き敵の戦車に対戦車ミサイルを打ち込むという決意を立法府に示したものと解釈して良いものでしょうか?」
この質問に対する答弁は質問のきっかけとなった資料以上に注目も批判もされた。
「御指摘の資料は、御指摘された決意等を示す目的で作成されたものでは無い。しかしながら、財務省職員は、財務省の任務を行うにあたり必要な際は武器を取って戦う決意を持って仕事しているし必要であるならば独自の軍事組織を設置する用意もある。」
この発言は主に保守派から好意的に捉えられ、あっという間に大臣官房に軍務庁設置室が設置された。
室長には、明らかにおかしな組織の室長はなりたがる人間がいなかった為、今年入省したばかりの田中係員に押し付けられた。
出勤したら上司に
「お前軍務庁作る事になったから。とりあえず法案作ってきて。」
等と言われて真新しい軍務庁設置室と書かれた看板が掲げられた部屋に辞令と共に放り込まれた田中元係員、現室長は小声で呟いた。
「え、マジで作るの?」
室長と書かれた三角看板の置かれたデスクに備え付けのパソコンで調べてみるとロシア連邦税務警察庁やアメリカ合衆国造幣局警察等、日本の財務省に相当する行政機関に設けられた警察組織が存在している、又は存在していた様だしちょっと強い警察組織が設けられていてもおかしくないのかもしれない。
そう思い込み、法案の作成に取り掛かる。
第1章 総則
第1条 目的
この法律は、軍務庁の設置及び権限等について定める事を目的とする。
第2条 任務
軍務庁は、財務大臣の命令に基づき財務省設置法によって定められた任務を実施し、又は財務省に属する機関がその任務を実施する事の出来る環境を作る事を任務とする。
第3条 定義
この法律において「武器」とは、火器、火薬類、刀剣その他人体に対し危害を与える事を目的として製造された器具の事をいう。
この法律において「軍務庁職員」とは、財務大臣、財務副大臣、財務大臣政務官、財務大臣補佐官を含むものとする。
第2章 組織
第4条 階級
軍務庁職員の階級は、上位の者から財務大臣、軍務庁長官、一等財務監、二等財務監、三等財務監、一等財務正、二等財務正、三等財務正、一等財務補、二等財務補、三等財務補、学校学生とする。
第5条 服制
軍務庁職員の服制は、財務省令で定める。
第6条 機関
軍務庁に、装備局、防衛局、教育局を置く。
第3章 権限
第7条 野外活動
財務大臣は、軍務庁の活動が必要であると認める場合、内閣の同意を経て軍務庁の全部又は一部に出動を命ずる事が出来る。
第8条 災害派遣
都道府県知事は、地震、噴火その他の災害、事件等に際して人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、軍務庁の派遣を要請する事が出来る。
但し、財務大臣又は地震、噴火その他の災害に遭った地域に駐在する部隊の指揮官は、軍務庁の部隊を前項の要請を待ついとまがないと認められる時は部隊を派遣する事が出来る。
第9条 武器の所持
軍務庁は、その職務の執行に必要だと思われる範囲内において武器を製造し、また財務軍職員に対し配備する事が出来る。
第10条 武器の使用
軍務庁職員は、財務大臣の命令がある時、及び自衛の範囲内において当該部隊の指揮官の命令に基づき武器を使用する事が出来る。
第11条 交通制限
軍務庁職員は、野外活動時に都道府県公安委員会との協議を経て軍務庁等の使用する車両以外の車両による道路の通行を制限する事が出来る。
第12条 緊急通行
野外活動を命じられた部隊の指揮官は、特に必要がある時は車両の赤色灯を点灯させた上で私有地、空地、水面等を通行する事が出来る。
第13条 空間の使用
軍務庁は、野外活動及び災害派遣中に必要がある時、財務大臣の要請に基づき土地を使用する事が出来る。
また、訓練及び研究を目的として水面を使用する時は、農林水産大臣及び関係都道府県知事との協議を経て一定の水域及び空間における漁船の操業を制限する事でが出来る。
前項の制限によって当該水域で従来漁業を営んでいた者の損失は保証しなければならない。
第14条 法令の除外
火薬取締法、航空法、労働組合法、船舶法、電波法、道路運送法、道路運送車両法、銃砲刀剣類所持等取締法、消防法その他財務省令で指定する法律のうち財務省令で指定された条項は、野外活動及び災害派遣において出動した軍務庁職員及び軍務庁の車両等に対し適用しない。
第4章 その他
第15条 その他
その他必要な事項は財務省令で定める。
「よし、出来た!」
余りにも雑な法案である。
これは先に入省した先輩らに押し付けて修正してもらう魂胆だったのだが…何故かそのまま財務大臣にまで提出され、財務大臣が
「否決されるだろうなぁ…」
と思いつつ提出してしまい
「こんな法案通したらきっと大きな問題が発生するに違いない。…いや、そうなったら政権交代出来るかも…」
と考えた野党と
「これで財務省も軍隊についての理解を深めてくれれば防衛費を上げやすくなる。」
と考えた与党が結託し可決されてしまう事となる。