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きっかけ
暗い・・・暗い・・・
どこだ?ここは・・・
何もない漆黒の世界。
私はさっきまで研究所にいたはず・・・。
じゃあこれは??
「・・・っ!」
突然の眩しい光。
どこからか入ってきた光が目を差す。
光が闇を照らす。
やがて闇は消え、広がるのは白の世界。
その真ん中に、1人の少年。
少年は私に気付き、手を伸ばす。
「アイナ!」
「!?」
なんで私の名前を知っている?
『誰?』
そう問う前に、言葉が出た。
少年ではなく、私の口から・・・
「・・・兄さん?」
何故そう思ったのか、自分でも分からない。
伸ばされた手を握ろうとする。
けれどつかめない。握れない。届かない。
「待って、待って・・・」
少年の姿が薄れていく。
「駄目だ、アイナ。君はまだ僕には会えない」
「!?」
「人じゃないから・・・ね」
その言葉で、全てが闇に飲まれた。
アイナはまた、漆黒の世界に立っていた。