第5話「桜花組C番隊」
……かれこれ1時間くらいこのデッキで待ってる気がする。
別にいいんだけどね?海綺麗だし。
でも普通に人多いんですけど。僕だけ服装違うからジロジロみられて恥ずかしいんですけど。
みんなちゃんとした制服みたいなの着てるし。何より隣のほうで座って話してるカップルとちょくちょく目が合うのがちょっとキツい。
いつまで待てばいいんだろう。そんなことを考えていた時。
ドガァーーーーーーーーーーーーーーーン
とてつもない爆発音が響き渡った。
え?何事!?
船の上方から炎があがっている。
「やぁ。待たせたね。」
何事もなかったかのように銀ノ瀬さんが来た。
「あの……それどころじゃなくないですか?すごいことになってますけど。」
「あぁ、気にするな。またあの阿呆が爆発してるだけだ。」
若干顔が引きつってて怖いんですけど。
そうこうしてるうちに謎の乗り物に乗った少女がやってきた。
「ふえぇぇぇん。またやっちゃいました~。ごめんなさいぃ~。」
「…………え~、こいつがその阿呆の豊田愛由だ。」
「ごめんなさいぃ~。」
背は低くて、見慣れないゴーグルのようなものを着けている。ちょっと前髪が長い。
一体何をしたらあんな爆発起こせるのだろうか。
銀ノ瀬さんは大きくため息を吐いた。
「何回いったら分かるんだ。アジトの中で爆発するような実験をするんじゃない。前までならまだしも船の上では絶対やるんじゃないよ。豪華客船がデカいスクラップになったらどうするんだ。」
「こめんなざぃ~。」
泣きじゃくってしまっている。
「そもそも一体何やったんだ?」
「黒衣ちゃんから貰った異光石いじってたら爆発しちゃいましたぁ~。」
もう一度銀ノ瀬さんが大きくため息を吐いた。
「はぁ~もう。毎度毎度始末書書くのも大変なんだよ。修理にいくらかかると思ってるのかな?」
「ごめんなさいぃ。ごめんなさぃ~。もうしませんからぁ~。」
「前のアジトを使い物にならなくした時ももうしないっていってたよね?」
なんか銀ノ瀬さんがお母さんみたいになってる……僕お母さんに会ったことないけど……。
「もういい。火消してくるから2人で待ってな。」
そういうと銀ノ瀬さんは行ってしまった。
「……大丈夫ですか?」
角で小さくなっている豊田さんに話しかける。
「君……誰ぇ?」
「レイって言います。」
「あぁ~。銀ノ瀬さんが言ってた子ね~。ごめんねぇ、みっともない姿見せちゃって。ワタクシの名前は豊田愛由。よろしく~。」
なんか口調がふわふわしている。
「その乗り物何なんですか?」
「ん~?あ~これ~? セグウェイだよ~。」
せぐ……?なんだって?
「ちょっと前につくった~。」
…………まぁいいか。
長めの沈黙が流れた後、銀ノ瀬さんが戻ってきた。
船内のことを色々と案内された。いろいろと説明されたが、この船がめちゃめちゃでっかいことは分かった。
沈んでいく夕日が綺麗だなぁ。
「……って、聞いてる?」
「あっ、すいません。」
一瞬心臓が止まるかと思った。
「明日は第一会議室に集合だからね。 ハイ、これ君の部屋の鍵。」
第一会議室ってどこだっけ……じっと受け取ったカギを見つめても浮かんでこない。
部屋に入った途端急に疲れがドッと来て、ベットに倒れこんでしまった。
せめて服ぐらい着替えようと思ったが、着替える服がないことに気づいてすぐに寝てしまった。
イイネしてってね。(*´ω`*)