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不可能世界と黄昏商  作者: ざらめ
第一章 醜い王子はもう泣かない
16/20

あらすじ

よお!

久しぶり。

実に10ヶ月ぶりの再開だってんだから、お話を忘れちゃいねえかなと思ってな。

んまあ、俺自身も忘れてたんだがな…

まあそう焦るなって。今までの冒険を、一緒に振り返ってみようじゃないか。

まあ長い話になるから飛ばし気味でもいいが、ちょっと付き合ってけよ。


第1話 ほつれた日常に


色のない都、綿都ミルミス。

機織り機に織り込まれてしまいそうな薄っぺらい日常を送ってた少年、シェイルは、ひそかな楽しみを見つけた。

それは裏路地に突然できた雑貨屋に、小銭をにぎりしめて向かうこと。

立地の割にはいっちょ前に夕日の注ぐ店内には、この都じゃお目にかかれないものばかり。

シェイルはその雑貨屋『うたたね』と、店主を偉く気に入ってた。

褪せた緑色の髪、歯車のピアス、年季の入った眼鏡。多感な時期真っ盛りな少年を射止めるのには十分な、物知りでミステリアスな店主だったわけだ。

そんなある日、それはそれはもう大事にしていたペンを『うたたね』に忘れちまったシェイルは、雑貨屋へ向かうも、昨日までの店構えはどこへやら、跡形もなく消えてしまってた。

同じく『うたたね』に通う同僚のジルに聞いてみれば、どうやら“黄昏商”という商人だったらしく、名前の通り黄昏時に前触れもなくどっかにいっちまう、期間限定の商人だったらしい。

ペンを取り返しに行くだけにはどうも見えなかったジルは、シェイルの愚行を止めるも、少年の意志は固かった。大きな体をすり抜け、小さな体は商人のもとへ向かう。

去り際の商人をすんでのところで捕まえ、ペンを返してもらおうとしたが、なぜか渋る店主。神様もそう長くは待ってくれないようで、監守が気づいて追っかけっこ。

断腸の思いで店の商品を使って追っ払うもなかなか振り切れず、手札も尽きる。そんなとき、少年はペンをにぎりしめ、こう言ったんだ。

「私は、満月を盗む勇気が欲しい」

間に合わせの勇気が功を奏し、撃退成功。かくして少年は、ユラと名乗るその店主と、大袈裟な冒険をすることになった。


第2話 あゝ、輝けぬものたちよ


どうやらこの店主、裏稼業みたいのがあるようで。

情報屋『白昼夢』。金貨と店主の機嫌が乗っかれば、大抵何でも教えてくれるんだと。そんなわけで、訪れた都、層都カトロアでも情報を売りさばいてた。そして場所は、町長の邸宅へ。

怪しげな町長とユラが取引したのは、月光だけに反応し光る鉱石『ルナダンス』の採掘権。ウッキウキで洞窟にもぐりこんだ二人だったが、突如入口が閉鎖。よく考えてみりゃ、監守をコカして逃げた指名手配犯なんだから、警戒心は持つべきだったよな。

どうにでもなるだろうという黄昏商的楽観論で、採掘権を惜しみなく行使していると、現れたのは地下の住人。絶体絶命!そんな時、

「僕と革命を起こさないか?」

何を言い出すかこの商人、洞窟の住人に革命を宣言したんだ。


第3話 もっと上のお話さ


鉱床病。

『ルナダンス』の鉱石塵を吸い込みすぎると発生する、体の至る所に水晶の生える病。

地下の住人は、上層に鉱石を供給するだけの奴隷のような生活を強いられてて、この病の隔離と言う意味でも、外界と隔絶されてたんだ。

それを瞬時に察し、案じたユラは革命を宣言。その場しのぎのはずが近日決行ということに。

ただ助かりたかっただけのユラも、その深刻さを放ってはおけず、段々とやる気になってった。

次の日。

戦いの火ぶたは切って落とされた。

とはいってもユラは火ぶたの熱すら感じないであろう高所で俯瞰。

自分を嵌めた町長への仕返しのつもりだったが、事態は急変。

「ユラさん、なぜ都なのに、オサは町長なんですか?」

気づいたときには遅かった。

曇り時々武装兵団。誰も予想だにしていなかった空からの応援に、一帯は大混乱。

ここは層都。層の都。地下と地上と、その上空。

都を覆う不気味な雲も、都の一部。

浮雲城が、そこにあったとさ。


第4話 勝利の酒が降り注ぐ


大界大大辞典。

この世界の住人なら親の顔の次に見ることになるであろう、なんでも載ってる大辞典。

そこにさえ、浮雲城は伝説上のものとしか書かれてなかった。

しかしこんな窮地にも、黄昏商は冒険を忘れない。

謎の機構で駆動する翼付きのビークルに乗り、お天道様へ一直線。

雲を掴むような、という慣用句が、ここじゃ破綻するようで、城の細部にわたるまで、真っ白なふわふわの素材でできてやがった。ビークルなんかの技術力に反して、この城が都にとどまっている仕組みはえらく原始的で、雲の両側に大きな送風機を回すだけ。

それならばと、二手に分かれ、ユラが王の前で実演販売、その隙にシェイルが送風機を破壊した。

え?これじゃあ都の天気が晴れになるだけだって?人の話は最後まで聞くもんだ。

『酒断酒』っつう、特農アルコールもどきがあるんだが、ユラはそれを上空からばらまいた。

都の住人は一人残らず全員酔っぱらった。粉塵マスクをつけた地下の住人以外はな。

結果、革命は成功。ユラも脱出成功。

さあ、勝利の難破船はどこへ飛ぶ。


第5話 ネックレスのように


緑都サーナ。

言わずと知れた、誰も行き方の知らない魔法の都。

女装したシェイルと女装(と言う表現が正しいのかは誰も知らない)したユラは、男人禁制の都のレストランで誰かと待ち合わせ。

そこに来たのはなんとも迫力のあるマダム、シャンデリアだった。

どうやらシャンデリアの店を間借りして、臨時で『うたたね』を開業するらしい。

当たり前のように繁盛するユラ。きっと商売の神をとっつかまえ、店先にぶら下げているに違いない。

今日も店じまいと言うときに、玄関に怪しい人影。

黒いフードの女性は『うたたね』に用はないようだ。

「『夢爆弾』のレシピを1億リーレで売ってほしい」

『白昼夢』も、客足が遠のくことはない。


第6話 ずれた笑顔の少年は


ベノと名乗ったその女は、嫌な薬品の香りをプンプンさせていた。

こんな匂いがするのはカルト教団か、昨日カルト教団をやめたやつぐらいだ。

危険を察知したユラは多少威嚇し、そいつらを追い払った。

次の日、魔法草に目をギラつかせた二人は森へ誘われる。

今日のおやつの材料になるものから、目を合わせたら■■■になる薬草まで、なんでも集めた。

そんな平和なお昼時。

突如爆発に巻き込まれる。

それは昨日ユラが売るまいとした、『夢爆弾』の煙。悪夢の起爆剤は、自分だと気づくのには、もう少し時間が必要なようだ。


第7話 秘密を賭して守るべきもの


シェイルを守るといった矢先こんなことが起きたユラはご乱心。一人で思いつめちまうんだがそれをシャンデリアが一喝。ようやく目が覚めたようで、二人は少年の足掛かりを追う。

シェイルが目を覚ますとそこは暗いじめっとした空間。何やら遅効性の毒を盛られようとして脅されるが、イカれた少年は丸薬をボスの指ごとかみ砕き、笑って見せた。

うすら笑いを浮かべていられるのも今のうちだぞと言っといたが、少年の奇行は打算ではなかったようで、二人の怒れる商人がアジトへ攻めてきた。

シャンデリアは名前に見合わない灰を操る曇った魔法で敵を捕らえ、そのうちにユラは深部へ進む。

重厚な扉の先には弱々しく笑うカルトのボス、ベノと、更に弱った少年。

奥の手を出し惜しむユラを焚きつけたのは、シェイルの「助けて」という言葉だった。

刹那、行く手を塞ぐ教団員は、そろって動かなくなっちまった。

そう、ユラが解放したのは、もう使わないと決めていた、魔法。


星の数ほど存在するユラの秘密のひとつ。“彼は魔法使いだった”。


第8話 とけない魔法


魔法はいつか解けるもの。しかしユラの魔法は、いつまでも()()()()

“コットンウィンター”。降り注ぐ雪は積もりこそすれ、全く溶けない。

レモネードに浮かんでるような小さな氷でさえ、かまどに一晩中入れてもその形を保っているほどだ。

その規格外の効果にベノはたじろぐ。

どうもベノがユラを襲ったのは半年前に自分の村を氷漬けにされたから、らしい。

しかしそれは村ぐるみの盗賊に襲われたことに対しての自衛。今じゃその氷も溶け、普段通りに生活してるらしいとユラは話したわけだ。

復讐の理由を完全に見失ったベノは怒りに燃えるユラに氷漬けにされた。文字通り、頭を冷やせってな。

ただ、どうやら解毒剤が不在みてえで、困ったユラは最終手段をとる。

それはシェイルを丸ごと凍らせて、毒の進行をもろとも静止させ、その間に手を打つというもの。

かくして少年は、浴槽の中で、全裸で目を覚ますことになった。


第9話 真意は森の番だけが知る


シャンデリアの手助けも功を成し、シェイルは完全復活をとげる。

一度ユラに、危険の伴う旅の中止を提案されるが、好奇心の奴隷が聞く耳を持つわけがねえ。

まだまだ旅は続きそうだ。

シェイルはそうして立ち上がり、カーテンを開けたそこに広がっていたのは、どこまでも続く花畑。

花の都。華都フロウィーラだった。

タイミングやよろし。ズンデルトの花まつりが開催されるってんで、出店を用意して商売しようってことになった。

まあ、ただ商売するだけで終わるわけがないわな。


第10話 慈しみの白い街


南の壁には近づくな。

不穏な注意喚起とともにセレモニーは終わり、お祭りの開始!

緑都で採った魔法草を使ったポーションは流動すると発光するものが多いんで、店先でダンスをして売ろうということに。

シェイルのたどたどしいダンスと、ユラのプロと見まがうダンスはお祭りにピッタリマッチし、売り上げを伸ばしていった。

さても店の閉め時、明日も頑張ろうと意気込む逢魔が時に、ひとりの少女が現れる。

小さなお客様の要望はこうだった。

「お兄ちゃん、私に色をみせてよ」


第11話 kick me!


店の在庫じゃどうしようもない要望だったもんで困ってるとそこに老翁が現れる。

ノークという保護者に話を聞くと、その少女イリスと言い、色盲で、生まれてこの方色を見たことがないらしい。情に弱い店主は必ず叶えるという約束を交わし、心当たりのある場所に足を運んだ。

そこは祭りの注意喚起で散々行くなと言われた、南の白い壁の先。壁を越えた向こうはお祭りの街と対照的に枯れた花々がそこら中に積まれた、さびれた場所だった。

腐都と呼ばれる、華都とは対照的な静かな都を歩くと、蔓に覆われた教会のような場所を発見。癖の強い門番を突破し建物の中を進むと、「kick me!」と書かれた扉が。

ユラはお望み通りとばかりにブーツで扉を蹴り飛ばす。蹴破った向こう側には、病的なまでに痩せた女性がいた。

彼女はエルコ。腐都を束ねるリーダーで、元黄昏商。

見た目の印象とは対照的にフレンドリーで話し易い彼女に、ユラは頼みごとをする。

「駄目だぜ」

少女の願いを叶えるツールを持っておきながら、エルコはその申し出を真っ向から拒否した。

なぜだと感情的になるユラ。その先を見つめるシェイル。

どうやら探偵さんは後ろにいるらしい。

「エルコさんは、イリスちゃんの母親ですよね?」

エルコのうすら笑いは、ご名答の言葉の代わりだったらしい。


第12話 ぽたん


こっからエルコの昔話が始まるんだが、本人の要望で簡単にまとめてくれと頼まれたんでな。

大事なとこだけ話そう。

イリスは華都の市長とエルコの間に生まれた子供。生まれるまでは二人とも仲が良かったんだが、この都の在り方について対立したんだ。

咲き誇る花だけが美しいか、枯れた後でさえも愛おしいか。

そいで生まれる頃には、都は2つに分かれ、生まれたイリスは政治的分裂に巻き込まないよう、市長の知人の老翁に世話を頼んだって顛末さ。

エルコが持ってる色盲を一時的に治す薬の材料をユラに渡さないのは、嘘にまみれた花を、正しく咲き誇る花にするまで見せたくないんだとよ。母親のプライドってやつだ。

ともかく、現状どうしようもない問題に首を突っ込んだだけで、仕方なく二人は帰ってった。爺さんに悪い知らせを持っていくのはさぞつらかっただろうな。

だがその日の夜、シェイルがあることを思いつく。

暴力に訴えれば都は壊れてしまう。抗議だけではらちが明かない。この状況でエルコの言う、正しく咲き誇る花の色をイリスに見せる方法。

がばっと起き上がり、眠い目をこするユラを連れて、またあの壁を越える。そして今度はシェイルが、あの扉を蹴っ飛ばす。

目を円くしたエルコに、氷水をぶっかけるようなことを、少年は言ったんだ。

「テロリストになりましょう!!」


第13話 それは枯れたラベンダー


お祭りまっさかり。そこにあらわれた、七色の服をまとったテロリスト。

手には重火器。リーダーは長身で痩身の、見覚えのある女性。

突然のテロが、そこで始まったんだ。

使われる銃弾は枯れた花のエキスを抽出したペイント弾。そして色あせた花々の爆弾。それが都中の、真っ白な道と家に塗りたくられる。

前例などあってたまるか、なカラフルなテロリズムが、都中を駆け巡る。

それに見とれていた少女、イリス。そのそばに現れたのは、二人の店員。

「お探しのものはこれですか?」

不思議な不思議な目薬が、2つの目を潤す。

少女は泣き出した。今までに見たことのないほど、楽しそうに舞う花々。うるさいほど視界を埋め尽くす七色に、心の底から感動した。きっとこれこそ、エルコの見せたかった色だったんだろうな。

少女の涙は、市長の心を変えるのに十分だったらしい。みっともなくカラフルに染まった衣装で、都の民に、この都の在り方を問うた。

テロは成功したらしい。かくして、少々目に悪いだけの、大界一優しい暴動は幕を閉じたんだ。


第14話 ロマンじゃなくて


約束を果たした二人は華都に別れを告げ、次の都に向かう。

そこは商業の都、商都ソルダ。黄昏商が唯一出番のない、大きな商業都市。

ユラもここでは自分の生業を忘れ、オークションに没頭した。

そこで落札したのは『龍の溜め息』という魔法が詰まった瓶。なんか今後の展開に関わってきそうな重要そうな物品だから下線を引いておくように。

だが、用事はオークションだけじゃなかったらしい。

狭い路地を進むと、そこは武器商人の根城があった。主はトイズ。義手の筋骨隆々とした男。説明はいらないと思うが一応。彼は武器商人だ。

仲がいいんだか悪いんだかわからない二人はロマンなどという、「人それぞれ」の代表例みたいな概念で子供のように争ってた。ここで一番大人なのはシェイルかもしれねえな。


第15話 秘密


トイズがロマンの象徴として引き合いに出したのは、閉本記と呼ばれるビリオンセラーの冒険記。それも13巻。13巻は大界で禁書認定されている巻で、今や大界に10冊となく、ファンからすれば喉から手が出るほど欲しいものらしい(ほかにも22巻の初版と30巻が禁書認定されてるらしいぜ)。

しかしそれは損傷が激しく、ところどころ読めない場所があった。かじりつくようにユラが声に出して読んでいると、

シェイルが先の文章を暗唱したんだ。

いくら熱狂的な読者でも、いくら暗唱が得意な少年と言っても、大界に10冊もない本の内容だぜ?あまりに異質な出来事だ。

ユラが以前から抱いていた疑問、“シェイルくんは何者なのか”。

もう詮索せずにはいられないところまで来ちまったみたいだな。

とりあえずその場では何も聞かず、ユラの用事は終わった。

---

場所は変わって書都リブルア。どこかしこから紙とインクのにおいがしてきそうな、言わずと知れた本の都だ。

図書館と書店だらけのこの都で、特に異彩を放ってるのが『ペラリウム』。簡単に言えばめっっっっっちゃでかい図書館だな。歴史もある。

二人はそこに寄って、完全な状態の13巻がないか館長の片眼鏡男、スパインに聞くと、禁書庫にいくまでもなくあるそうな。

喜び勇んで本を手に取りペラペラめくると、シェイルが突然、

「違う!!!!!!!!」

と叫んだ。大声での会話禁止だっつーの。

ユラはその異変で全てを察したらしく、スパインを置いてけぼりにして話を始めた。

勇気をあるだけかき集めて。


「君は、シェイル=レンズ。

ライエースレンズの息子だ」




…さて、こんな感じだったんだけど、まあ波乱万丈だな。先が思いやられる。

一つ言っておくが、この冒険、


まだ折り返し地点にすら達していない。


これから積極的に更新していくようであるので、楽しみにしといてくれ。

ん?俺が誰かって?

ふふ。

まあもう少ししたらわかると思うよ。

それでは、俺はこれで。

良い旅を。

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