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第九話 九だけに休息

 ご乱心なのはクロムだけで結構。

 第二王子コルナは、まあ可愛い。

 とても可愛いです。

 もし世界最強女神決定戦が開催されたのなら、まず間違いなく満場一致で優勝することでしょう。

 彼を押し上げるためならば、投票所に何回でも通ってやりますわ。

 それに比べてクロムは虫けら以下のゴミ。

 コルナを天界の女神とするならば、クロムは細菌。

 近寄るなですわ。


 「リ…リネア様。花かんむり作ったんです。あげます。貰ってください…」


 べらぼうに可愛いコルナがわたくしの頭に花かんむりを乗せてくれました。

 ああ…長閑。

 いい…いいよぅ。


 右目を塞ぐ深紅の髪が可憐で艶やかで、小柄で可愛過ぎる。

 ハイパーエクストラゴッドサイレントスマイル美少年なんて見ているだけで感動必至。

 瞳は聖なる泉のように澄んでいて綺麗。

 お持ち帰りしたいくらいです。


 「コルナ王子。ここに座りなさい」


 わたくしは自身の膝をぽんぽんと叩きます。

 ここに貴方のおケツを乗せるんですわよ。


 「ふぇ…!?いいんですか…!」


 「ほら、早く」


 「じゃあ…おじゃまします」


 ふぁああああ!

 可愛い!可愛い過ぎる!

 お尻柔らかい!

 お餅みたい!


 「よしよし…」


 「ん…ふぇあ…」


 頭を撫でる度にあざとい甘声が耳に入ってきます。

 食べたい。


 なんて思っていると、

 

 「あー!コルナばっかりずるいぞ!僕も混ぜろー!」


 と、細菌(クロム)が目に見える形でハッキリと視界に写りました。


 「クロム王子。なんでテメェがここにいるんですの?」


 「だってここ僕の庭園だし」


 「それは知ってるんですのよ。わたくしが聞きたいのは華道教室の話です」


 「先生の髪に彼岸花を生けたら怒られちゃって」


 「抜け出してきたと」


 「そう!そういうことです!」


 そう言ってコルナを押し飛ばしてわたくしの神聖なる膝に座り込むクロム。

 …あ?


 「うう…酷いや兄さん…」


 「コルナー!バイバーイ!」


 「う…うわぁぁぁん…!」


 コルナが泣き出してしまいました。

 わたくしは慰めようと必死にコルナを抱きしめましたが、一向に泣き止んでくれません。

 えーんえーんと響き渡る泣き声がわたくしの心を蝕みます。

 それもこれもクロムのせいです。

 何してくれてんだワレェ。


 「どうしてコルナを庇うんです?」


 「あら?サイコパス?」


 「消しゴムはんこ要ります?」


 「会話できます?」


 クロムは、しらを切るつもりですね。

 もうわかりました。


 「クロム。バイバーイ」


 わたくしは転移術を使い、クロムとリュリュの現在地を入れ替えました。

 当然今ここにはリュリュがいるわけなのですが、何故かぽかんとしています。

 心ここに合ったのにって感じですわね。


 「トランプタワーさ」


 「はい」


 「結構高く積めてたんだよ」


 「ほう」


 「リネアが私を転移させるまではさ」


 「ええ」


 「最後クロムが崩してるのを見たんだけど」


 「おお」


 「どうしてくれるん?」


 どうもしないですわ。


 「クロムを呼び戻しましょうか?」


 「絶対にやめて」


 というわけで、リュリュも日向ぼっこをしに来ました。

 庭園の芝生の上で仰向けになる三人。

 快晴の青空を滑空する白鳥。

 突然無言参加してくるスルカ。


 「平和ダ。いいナ。バナナ」


 「……」


 「リネア様モ、バナナ食べル?」


 「ああ、持参していたのですね」


 スルカがバナナを剥いて食べさせてくれました。

 しかしあれですね。

 これ、熟してないでしょ。

 皮も緑だし、なんなんですの。

 みんな寄ってたかってわたくしを虐めるんですの?

 主導権を握るな百姓共め。


 「やっぱりコルナ君可愛い…」


 あと、コルナを返せリュリュ。

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