第八話 お酒は程々にね
YEAH!
どうもリネア様です!
今日も元気に支離滅裂な思考回路をフル回転させてネジ切れた脳みそに沢山のアルコールを注入して寿命を順調に縮めております。
句読点付けろっつー話なんですが、こればっかりはわたくしの手には負えません。
ロイドが異世界から来てからというもの、お酒ばかり飲んでいます。
一杯目はワイン。
二杯目はテキーラ。
三杯目はウォッカ。
キマったー!
「うぇっへへへへへッ!」
「あんた…悪酔いするんだな」
ロイドがつれないことを言います。
こいつはさっきから、ちびちびとビールを飲んでいます。
炭酸抜けますわ馬鹿者。
大の大人が情けない。嘆かわしい。イライラしますわ。
グビっといけグビっと。
「おめェなぁ!ビールはそうやって飲むもんじゃねぇレすよ!」
「うん。わかったから、いきなり殴ろうとするのはやめて!お願い!今すぐに!」
あら、気づけば。ロイドの胸ぐらを掴んでいましたわね。
これは失敬。
「はあ…わたくしとしたことが。この清楚たる、わたくしとしたことが…」
「清楚?何それ、チョーウケる」
「お黙り。この巣食い虫」
ロイドはスルカ邸の居候です。
スルカ邸。
そう、スルカはいいところのお嬢様なのですよ。
実は伯爵家なんです。
「んのくせして殺人衝動が抑えられねーんだから、本っ当に救いようがねぇ可愛い可愛い女の子ですわね!」
「今、たたき落としたあと打ち上げようとしました?」
「いえ、元々打ち上げてました。あの空虚な瞳…いつ見ても美しい…」
「あんたの脳みそ、絶対にどうかしてる!」
「どうかしてるのは貴様の方ですわ。なんなんですの?公爵令嬢であるわたくしに対して脳みそがどうのこうの言いやがって、ロリエルフ愛好会会長兼務役員がよォ!」
「後半が長ぇよ!つーか誰だ!そんな異名つけたやつ!」
あーだるい。
眠い。
段々と視界が悪くなっていきます。
「お…おい。大丈夫か?」
ロイドが心配そうな顔をしてくれました。
どことなく良い男感が滲み出ておりますけども、何とも言えない、薄暗い下心が見え見えです。
下半身の表面温度が急上昇しておりますね。
一刻も早く去ね。
「大丈夫ですわ…このくらい…なんとも…」
「おいおい、大丈夫じゃねぇよ。ほら、肩かすぞ」
もう…ダメ。
何も考えられない。
死ぬ。
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という夢を見たのさ!
と、言えたのならどれだけいいか。
目が覚めるとスルカ邸にいました。
ふかふかのベッドに寝ていました。
全身を隈無く調べましたが、ロイドには何もされていません。
びっくりするほど何もされていません。
良かった。
ふざけんなだけど良かった。
「お、目が覚めたか!」
ロイドが嬉しそうにニカッと笑いました。
「申し訳ありません。わたくしとしたことが、つい、飲みすぎてしまいました」
「気にすんなって!リネア様が転生魔術とやらを使ってくれなきゃ、俺は今頃、閻魔大王様に地獄行きを言い渡されてただろうからよ」
ロイドの笑顔が眩しくて眼球の裏側が痒いです。
「貴方は天国行きですよ。わたくしが行かせます」
「あっはは!いいっていいって!もう行ったから」
「…は?」
「いや。なんでもない」
なんですの?
なんで今一瞬真顔になったんですの?
「一つだけ貴様に聞きたいことがあるのですけれど、宜しいですか?」
「はい。なんなりと」
「どこ触った?」
「いえ、どこも触っておりません」
「遠距離攻撃ですか?」
「……」
「死になさい」
お酒が入ると人はラリってしまいますので、程々になさってください。
よく居ますわよね、大丈夫?話聞くよ?的な奴。
そういう奴は大体危険です。
手を掴んだら最後、深淵に連れ込まれます。
というわけでですね、ロイドには一週間の酒場勤務を言い渡しました。
ゲイ・バーでイキ狂ってこい。