表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

41/45

第四十一話 後は待つだけ、その前に

 翌朝、身支度を整え山の中へ。

 国王様の狙いはわたくし一人なので、単独行動で構いません。

 ですが、クロムが許しません。


 「僕がいないと、リネア様ってダメじゃん?的な感じでここに居るので、お構いなく」


 「あっそう。とりあえず落とし穴に落ちて下さる?」


 妄言犬は放っておきましょう。

 時間も限られていますから、手短に、国王様暗殺作戦についておさらいしておきます。

 全部言いましたわね。


 1.わたくしが国王様を誘引する(クロムの馬鹿が誘導を誘引に誤変換しました)

 2.隙を見て、スルカが国王様を捕縛する。

 3.伏兵かつ切り札を召喚。これはハインクルスです。

 4.全知全能たる所以の未来視を使い、ハインクルスの剣を国王様の首に届けます。

 5.コルナ王子どうしよう問題勃発。まあ、わたくしがその場で逆〇するでしょう。


 と、ちょっとお待ち下さい。

 クロムが恐ろしい形相で、わたくしのお腹を握り始めました。

 冷やし中華みたい。

 これでは、いけませんね。


 「コルナは放置。いいですね?」


 「はぁ…仕方ありませんわね」


 これ以上はわたくしが○○○されかねませんので、話を戻します。

 大切なことなので、一度しか言いません。

 と、義務教育が足りてないであろう証を、みすみす露呈する教師の話は一旦置いておきます。


 6.ロイドが用意してくれたカボチャの馬車に乗り、ポメラニアンに向かいます(意味不)

 7.ハインクルスの親戚の家にお邪魔。

 8.我が家の敷地は絶対に跨がせん!跨ぎたくば股を開け!と脅されたなら、一回ぐらいなら抱かれてやってもいい。


 と、ここでクロムに平手打ちを喰らいました。


 「いいわけないだろ」


 「後半は冗談ですわ」


 最後になりますが、残り二つ。

 お付き合い下さい。


 9.万が一、国王様を仕留めきれなかった場合、わたくしの第二の転移トラップを発動して“ジ・エンド”とします。


 10.後日、国王様の墓を用意します。


 以上。

 ご清聴ありがとうございました。


 「はあ……最後の最後まで、リネア様は本当に甘い」


 クロムが深くため息をつきます。


 「はて、何がでしょう?」


 「命を狙われてるっていうのに、どうして後始末を穏便にしたがるのか。どうせなら、晒してやればいいのに」


 クロムは、己の父を完膚無きまでに叩きのめしたいご様子。

 あら不思議。

 わたくしと一緒ではありませんか。


 「国王様には色々お世話になりましたし、救われたこともありますから」


 「そんなの、王宮に来てからの話じゃん」


 「そうですね。格好の居候先だったと言えるでしょう」


 「パパが狂わなければ、僕達はもう少し一緒に居られたのかな」


 「……あの方は、初めから狂ってなどいませんよ」


 人の感性は、成熟してから決まります。

 それ以前は記憶も曖昧で、思い出すことすら叶わない通過点。

 それらを積み重ねた先にあるのが、今の自分です。

 だから、国王様は昔からそういう人間で、そういったものが積み重なって出来た怪物なのです。

 引き返すことも出来たでしょうに、敢えてその道を選んだ彼は、今尚わたくしに固執している。

 あの日の優しさは、紛れもなく善意だったのですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ