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第三十九話 名残惜しさ

 ここに来るのも、本当に久しぶり。

 あ、リュリュの屋敷のことですよ。

 未亡人のくせに、贅沢な土地を所有しておりますね。

 

 リュリュはいつも、わたくしに紅茶を入れてくれます。

 花瓶にしか見えないティーカップに、ちょろちょろと。

 約750mlのダージリンティーを用意してくれました。


 頭おかしいのか。

 いや、おかしいのか。

 この世界は狂っている。

 何故ここまで品の無い紅茶をドリップできるのでしょうか。


 考えても見てください。

 750mlですよ?

 エナジードリンクですら精々が500。

 750はおかしいって。


 「これ、私大好きなんだ」


 「でしょうね」


 リュリュだけ普通のティーカップ。

 わたくしは馬鹿でかい花瓶。

 いっそ花を添えたい。


 なんて思っていると、この家の執事が顔を出しました。

 わたくしが抱える非常勤護衛兼リュリュの屋敷の執事、レイルです。


 「すみませんリネア様、それは花瓶です」


 「でしょうね」


 レイルに紅茶を取り替えて頂きました。

 身に染みる優しさ。


 「どうリネア、まだ私達の方マシでしょ?」


 「ええまあ…」


 こいつもこいつで、わたくしの腹を読む癖があります。

 それもかなり的確。

 決して悪いことではありませんが、お控え願いたい。


 「クロム王子からお話は伺っております。どうか、止めて欲しいと。珍しく真面目なご様子でしたよ」


 リュリュならずレイルにも。

 まあ、普通は執事を通しますよね。

 なら知ってて当然。


 「中止にするのは構いませんが、その場合は、もれなく全員モグモグですよ?」


 「あー、国王様ならやりそう。既に内親王様も食べたもんね」


 「ええ。コルナとクロム以外の王族は皆食べましたね」


 「グルメレポしてこようかな」


 「やめときなさい。貴方も食べられますわよ」


 「私って美味しいのかな?」


 「視点を変えれば美味しいでしょう」


 「えっちぃ意味で?」


 「そうそう。わかってるじゃねーですか、このド淫乱処女貴族代表」


 いや、本当に紅茶美味しい。

 無限に飲めます。

 でも750mlは無理。


 「当日、僕はどのように動けば宜しいので?」


 「一先ずはリュリュの護衛についてくださいな。最悪、二人で先に国を発っても構いません」


 「それで本当に大丈夫ですか…?」


 「ハインクルスがおりますし、それに…クロムもいますから」


 手駒は少ないですが、その場に応じて上手く使えば問題無し。

 それだけ優秀な二人です。


---


 ハインクルスの屋敷にて、いきなり起こった事件。

 わたくしのスカート短過ぎ事件。

 犯人はクロムです。


 「涼しいでしょ!?切ってやったよ!あっはっはっはっはっ!」


 もはや錯乱してるとしか思えない奇行王子。

 それは、ハインクルスに冷笑を浴びせられても続きます。


 「クロム王子は、出処が不明のドラックでもやっているのですか?」


 「お前と違ってやってねーよ!ばーか!」


 「人聞きの悪い。私はやっていませんよ」


 ハインクルスは軽く受け流します。

 そして、わたくしの耳元でこう言います。


 「この戦いが終わったら、私と結婚してください」


 「いや、それフラグですわ。やめてくださいまし」


 ハインクルスまで、ロイドと同じ道を歩もうとしております。


 「私は本気ですよ。あんな半裸野蛮王子にリネア様をおまかせ出来ません。もっと言えば、クロム王子は、あの王族の血を引いているのです。きっとどこかで、リネア様の寝首を掻くに決まっています」


 「……まあ、わからなくもないですわ」


 予兆はだいぶ前から、高頻度でありましたものね。

 傍から見れば密告魔です。

 でも、彼がいると妙に安心するんですよ。

 心が。


 「当日は、三人で行動しましょうか?」


 代案としては悩ましいところ。

 ですが、ハインクルスは納得してくれました。


 「リネア様がそう仰るのであれば、従いましょう」


 ハインクルスの抱擁は、いやらしさがない。

 本当は堪えているのでしょうけど、悟らせません。

 お腹周りが暖かくなります。


 「僕のリネア様に何しとん…?」


 最後、クロムにセクハラをされて終わりました。

 執拗に下半身を触られました。

 牢獄へGO、クロム。

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