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第三十二話 隣国の王様と

 メジスチナ王国は他国との貿易が盛んに行われており、上流階級同士の繋がりが非常に強いのです。

 並み居る王族からしてみれば爵位共の乳くり合いと唾棄するでしょうが、わたくし達からしてみると結構心強ぇんですの。

 だから頻繁に顔を突き合わせてチョコを食べ、激甘ミルクティーに角砂糖をてんこ盛りにして、放牧された牛を眺めながら、クロムの大事な大豆をピンチ。

 衣服越しに伝わる突起物が、ビクビクのビンビン。

 わかったかッ!


 「ようこそおいでくださいました、ポメラニアン王」


 もうダメでしょ、この名称。

 一刻も早く革命を起こして、改名して欲しい国ですわ。

 叶いませんけど。


 「リネア様たっての御要望とあらば、たとえ火の中水の中。土の中のツチノコ様です」

 

 ツチノコは存在しねぇですわ。


 「あら嬉しい。ちっとも意味わかんねぇですが、ポメラニアン王の寛大なお心は伝ッ…!わりましたわ!」


 間一髪笑いを堪えました。

 不敬過ぎる。


 「メジスチナ国王は、この密会をご存知で?」


 「みっ…いえ。悟られてすら、いないかと」


 「左様でしたか。なら、気兼ねなくお話できますね」


 「ええ。宿願への第一歩ですわ」


 ポメラニアン王は、近隣諸国きっての名君。

 年こそ40半ばになりますが、外見は何時までも若々しく、凛々しさに溢れております。

 モチモチの超イケおじ。


 ─────表記に誤りが御座いました。


 正しくは、モテモテの超イケおじです。

 お詫びして訂正いたします。


 「相手はあのメジスチナ王。生半可な戦力では歯が立たないでしょう」


 「心得ております。あれは人外の生物と見て間違いありません。ですので、ちょいとばかしお借りしたいのです。ポメラニアンが誇る番犬を」


 「なるほど……あれを使いたいと」


 「ダメでしょうか?」


 「すぐには首を縦に振れません。一度大臣と相談せねば」


 そりゃそうですわよね。

 なにせ、たった一匹のわんちゃんが軍事部門のトップですもの。

 ま、その犬、ただの犬じゃないんですけど。


 「時にリネア様。コルナ王子とは上手くやっていますか?」


 ポメラニアン王の失言。

 クロムの前で、コルナは禁句です。

 

 「リネア様は僕の婚約者(かいぬし)なので、コルナが介在する余地はありません。できることなら、辺集落の祭壇に生贄として捧げられて欲しいものです」


 クロムは薄気味悪いオーラを全面に押し出して、わたくしの脇腹をつねってきます。

 瞳に光を宿しなさい。


 「あのリネア様を落とすとは…クロム王子も隅に置けませんね」


 あの、とは?


 「彼の妄言を真に受けないでくださいね。わたくしは誰とも結婚するつもりはありませんし、適当に良さげな値引き品でもあれば買ってきます。王族はまず、眼中に無い。あ、王の面前で大変失礼」


 「構いませんよ。いつだって女性は求められるもの。落とすのは男の役目です。正念場ですな」


 ポメラニアン王は最後、クロムの目を見て言いました。

 激励を送ってるつもりでしょうか。

 酷なことを。

 やめて欲しいですね。

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