第二十九話 お腹とヘアスタイル
※ちょっとだけR17(8まではいかない)って感じです。苦手な方はお気をつけ下さい。
クロムのお部屋はホコリ一つ無い快適空間。
炊いてあるアロマは金木犀の香り。
ベッドは最高品質の肌触りで、ふっかふか。
眠くなってしまいます。
「リネア様が僕の布団で寝てる奇跡」
クロムがわたくしの背中に張り付きました。
お腹と下半身に違和感、いつもの話。
「ここ、好きなんですか?」
「ふぉん?隠語ですか?」
「あー……なんでもありません」
色々試してみましたが、クロムはわたくしの肉体に欲情しているだけです。
今のところは。
「ん…っ」
いよいよ、手つきがいやらしくなってきました。
変なところに指が入って、くすぐったい。
「今日は抵抗しないんですね」
「えぇ…ちょっとした気の迷いですわ」
正確には違います。
国王様と、クロムの共通点を探しているのです。
新政権に不要とあらば、この子も処罰せねばなりませんから。
でも、なんとなく切り捨てるには惜しい。
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本番をチキる(死語)クロムは少しだけ可愛かったです。
後ろをテクテク歩く姿も健気で、女ウケは良さそう。
が、しかし。
一般成人女性は、スラッとした男性が好みです。
要は細くて、髪の毛が整った亀頭頭が好みなのです。
あ…マッシュでしたね。これは失敬。
キノコヘアとはまた違う、マッシュヘアにあてられるそうです。
世も末ですね。
「あなたの髪の毛は、天然パーマモリモリディストラクションなようですが、切らないのですか?」
「切った方いいですか?リネア様にお任せします」
「じゃあ…」
わたくしはクロムの頭に手を当てて、呪文を唱えました。
「陰キャから陽キャへ」
すると、クロムの髪の毛がスルスルと短くなり、大人気マッシュルームへと変わりました。
「おお!僕の髪の毛がッ!」
「うーん…微妙。やはり、似合う人と似合わない人がいますね」
カッコいいかどうか問われたら、まあ、カッコいい方。
ですが、クロムには似合いません。
普段通りが一番。
「戻しますね」
わたくしは、クロムの髪を元に戻しました。
「僕と違って、リネア様は毎日お手入れをかかしませんよね。いつも艶々で、いつもいい匂いがします」
「あーそれは、仕事をするにしても時間が有り余るからですわ」
「わたくしはとびきり優秀だから、書類なんか見なくてもハンコ押せる。とでも言うつもりなのか?」
「その通りです。わかってるじゃねぇーか、このマセガキ王子」
そう言うと、クロムがまたお腹を触ってきました。
今度はわたくしもムキになって引っ込めました。
「痩せた…!?」
この短時間で、そんな馬鹿な話があるか。
「お前の腹も触らせろ、このッ」
「ギャッ」
クロムのお腹は、引き締まっているわけでもなく、出ているわけでもありませんでした。
ただ、少しだけモチっとしていました。
コルナ王子よりかは、触り心地がよろしいようで。




