表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/45

第二十五話 低俗な下ネタをこよなく愛する乙女達(後編)

※今回は前回に比べて円いですが前回が危険物なのであまり変わりません。ご注意ください。

 やばいやばいやばい。

 リュリュとレイルがお花見をしてますわ。

 風呂敷を広げてお弁当を食べ始めましたわ。

 あーんしてますわ。


 「ヒューヒュー」


 前戯はここまで、本番はこれからです。

 イチャつくのは結構ですが、場所は考えましょう。

 クロムとコルナが日向ぼっこをしている庭園のド真ん中で手を繋いでいますから。

 見つかったらやっべーぞ。


 「あ、ラフレシア」


 レイルが視線を固定。

 寝てねぇで手入れしろ、駄犬。


 「き…綺麗ですね!」


 「いや、取り除いた方が宜しいかと」


 「わかりました!」


 リュリュはカッチカチの岩石です。

 馬鹿正直に倉庫から枝切り鋏を持ってきました。

 これ、枝じゃねぇんですのよ?


 「リュリュ様が切るんですか…?」


 「え?違いましたか!?」


 「おお、元気凄」


 レイルが一歩引いて会話をしていますね。

 どうも上手くいかないご様子。

 助太刀んこ。


 「リュリュ、それはすぐに枯れますから放置して問題ありません」


 「え、そうなの?」


 「はい。ラフレシアは蕾の期間が一年程と長く、開花してからは短いんですの」


 「へー」


 こう見えてリュリュは勤勉家。

 気になることは、あとで勝手に調べる女です。

 たとえ、その身に纏うレインコートの中がすっぽんぽんでも、真面目な顔で考察します。

 

 「流石リネア様ですね」


 お、レイルからお褒めの言葉を頂戴しました。


 「恐縮ですわ」


 兎にも角にもわたくしの出番はここで終わりです。

 後は彼女の仕事です。

 仕事と言うか、営みです。

 わたくしは子陰に隠れて二人を見守ることにしました。

 すると、クロムがコロコロ転がってきました。

 綺麗な前転ですこと。


 「立ちっぱなしは辛いでしょう。僕、椅子になりますよ」

 

 「有能」


 クロムが四つん這いになり、椅子になってくれました。

 座り心地は並。

 五月蝿い吐息がマイナスポイント。


 「レイルさんは今、好きな人います?」

 

 リュリュから飛び出した超ド直球な質問。

 SSSランク冒険者ですわ。


 「いません。気になっている人ならいますけど」


 終わった。

 こりゃ負け戦だ。

 泥舟出港。


 「どんな方ですか…?」


 リュリュがめげずに尋ねます。

 おっほぉ。

 真面目、真面目。


 「……僕の恋路なんてどうでもいいじゃないですか。聞いたところで面白くないですし」


 「面白い面白くないではありません。気になるんです」


 それはわたくしも気になります。

 彼は一体、誰に恋をしているのでしょう。


 「はぁ……内緒にしてくださいね?」


 そう言ってレイルは続けます。


 「一言で言えば優しいお方です。滅多に怒らないし、怒っても可愛い」


 「ほうほう」


 「それでいて皆から慕われている」


 「羨ましいなぁ…」


 「あとは…そうですね、頭が良いです。普段は優雅にお茶したり、散歩したり、自分では無い誰かと一緒に遊んだり、知性の欠けらも無い言動を繰り返しているのですが、その実、欲望と知性に満ち溢れたお方です」


 「…………」


 「あの方のお傍にいる時だけわざと優秀なフリをしてしまうくらいに」


 …ちょっタンマ。

 え、それわたくしでは?

 絶対そうですわよね?

 おい、確認しろリュリュ。


 「もしかして…」


 いいぞ、偉いぞリュリュ。

 切り口としては満点です。

 成功の暁には下の口も満タンにして貰いなさい。


 「そう………コルナ王子です」


 「は?」


 は?

 奇しくもリュリュと同じ感想でした。

 好きな人、野郎じゃねーか。

 しかもわたくしの婚約者候補筆頭王族ではありませんか。

 え、許さないんですけど…?


 「クロム。手を貸しなさい」


 「嫌です!」


 ダメだ、こいつも話を聞いているんだった。

 どうしましょう。

 あ、リュリュのことですから。


 「コ…コルナ王子って男…ですよね?」

 

 リュリュがいっぱいっぱいの顔をしています。

 もう涙目だよー。

 と、日記に記しましょう。


 「はい。でも僕は、あの方を愛しています」


 レイルは究極に真面目な顔で言い放ちました。

 どうやら本気のようです。

 しかし悲しきかな、コルナ王子の想い人はわたくしです。

 実らぬ恋です。

 そもそも矛と矛なわけですから、決して相容れません。

 チャンバラごっこなら出来るでしょうけど、矛盾対決は難しいですね。はい。

 わたくしは何を考えているのでしょう。


 「わたくしがコルナ王子を護らねば」


 「は?僕がいるでしょうが。あんな奴ほっとけ」


 「嫌ですよ、だって好きなんですもの」


 「コルナは短小ですよ?役に立たない勃たないマルチフランクなんですよ?」


 「構いません。そんなもの現代療法でなんとかなるでしょうが」


 「なんとかなるとして、僕がさせるとでも?その前にリネア様に挿してやるからな」


 「さっきから喧しいんですのよ。どっか行け」


 わたくしはクロムの椅子からおりて、クロムのお召し物を剥奪しました。


 「貴方ね…」


 逞しき竿が露に。

 こいつ、わたくしを背中に乗せて勃○してましたわ。


 「僕のチ○コはどうでもいいです。それよりあれを見て」

 

 全裸クロムが庭園の中央を指さします。

 それと同時にドサッと何かが倒れる音がしました。

 実際倒れておりました。

 なんと、リュリュがレイルを押し倒していたのです。


 「なんのつもりですか?」


 レイルが無表情で問いかけます。

 しかし、若干の冷や汗をかいているご様子。

 なるほど、両刀ですか。

 コルナ王子は中性的な顔立ちをしておりますから、どっちにもモテるんですよ。

 例に漏れず、彼も魅了された。

 本当は女性がいいんです。

 グイグイ来られると弱ってしまうんです。


 「私じゃ…ダメですか?」


 リュリュが静かに訴えかけるように言いました。

 艷めく桃色の髪は風で靡いて、頬を伝う汗はいつもの色気を段違いに昇華させております。

 傍から見ればいい女なんですけどね。

 ずっと一緒に居るとしんどいよ、マジで。


 ですが今回の相手は男。

 今回のっておかしいな……。

 まあ、いいです。

 男は我慢してなんぼですから、脳が股間にありますから、馬鹿なんです。

 だから大丈夫。

 きっと上手くいく。


 「お返事…少しだけ待って貰えませんか?」


 あらまぁ、お決まりのフレーズですこと。

 つまんないですわね。


 「嫌です。ここでシましょう」

 

 そう言ってリュリュが上着を──────


 「リネア様。これマズイんじゃ…」


 「マズイですわ。帰りますわよ」


 返事を聞く前に襲うとか馬鹿げてますわ。

 しかも逆レ。

 良くない良くない。

 公序良俗に反する外道乙女ですわ。


 「大丈夫です……私がリードしますから」

 

 「ちょッ!リュリュさ─────あっ…」


 女って怖い、と思う女がここに居ることを忘れないで欲しい。

 そして、ずっと熱い眼差しを浴びせてくる発情犬が横にいるこの現実を改変したい。

 あと、それを握った手で触んないで下さいまし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ