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第二十一話 史上最悪の縁談(前編)

 めんどぉーい、めんどぉーい、めんどぉーい、どい。

 リネア様音頭です。

 覚えておいて下さいね。

 ちなみに今即興で編み出しました。

 めんどいから。


 というか、いきなり縁談とか意味分かりませんし、わたくしに無断で日程を組むなという話です。

 もしかしてお父様…?

 さっさと隠居しろ、このクソ老害。


 「僕が付いていますから、安心してお断りして下さい」


 不安要素その一。クロム。

 こいつが縁談に同席することとなり、わたくしの精神的苦痛は8兆倍に跳ね上がりました。

 心做しかお腹も痛いです。

 

 「はぁ…」

 

 と、ため息をついている間に着いてしまいました。

 成り上がり男爵のご子息がいらっしゃる豪邸に。


 「お待ちしておりました。リネア様」

 

 門を抜けてすぐ、礼を尽くした挨拶をかます女執事がいました。

 彼女は、レーデル将軍家に長年仕えている完璧超人執事のレイダです。

 

 「本日はお招き下さりありがとうございます。リネア様の縁談は結構ですので、このまま帰りますね。じゃ」


 と言って、クロムがわたくしの手を引っ張ります。

 凄い力です。

 ズルズルと引き摺られます。


 「お待ち下さいクロム王子。そもそも、貴方様を呼んだ覚えは無いのですが、何故いらっしゃるのですか?」


 レイダは右手に小瓶を持ち、左手にハンカチを持っています。

 小瓶から黒煙が出ていますね。

 毒でしょうか?

 可愛いですね。


 「来るな!リネア様は僕のものだ!」


 「それは死にたい」


 絶対に嫌です。

 わたくしにはコルナ王子という将来を約束した殿方がおりますので。


 「クロム王子。貴方は別室にご案内します」


 「嫌だァー!」


 「喚かないでください。国王に言いつけますよ」


 「困る困る困る困る困る困る!」


 「じゃあ来てくれますね?」


 「嫌だァァアアア!」


 散々暴れ回り、汗水垂らしながらわたくしを背負い始めるクロム。

 華奢な身体でよくもまあ…。


 「もういいから、さっさと中に入りますわよ」


 「嫌だ!」


 「なんでそう頑なに…」


 今日お会いするあの方よりも面倒臭い男ですね。

 まあ、あの方は別方向に面倒臭いのですが。


 「あれ…?もしかしてリネア様……ですか?」

 

 あー、来ちゃった。

 扉開いちゃいました。

 わたくしの元婚約者が、途轍もない後光を放ちながら笑顔で来ちゃいました。

 此度の縁談相手が。

 

 「あ、違います。人違いです」


 「ふふっ…相変わらず冗談がお上手ですね」


 「本当に違います。帰りたいンゴ」


 「ンゴ…?」


 彼は転移魔術を使えます。

 よって、いとも簡単に屋敷の中へ案内されました。

 綺麗の一言に尽きる彼の自宅。

 仰々しい外観とは裏腹に、慎ましやかな内装の宅邸です。

 かくして、縁談が始まりました。

 帰りたいンゴ。

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