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第十九話 リネアの独り言

 クロムはよくやりました。

 反省してくれました。

 これからはわたくしの半径5m以内に近寄らないと約束してくれました。

 コルナ王子可愛い。

 結果的にクロムの人心掌握術が功を奏して票を獲得したわけですが、一体これがなんの票なのかはまるでわかりません。

 使えねぇな。クソが。


 と、汚言はここまでにして。

 スルカ宅にお呼ばれしたので行ってみることにしました。

 お得意の転移魔術で。

 

 …はい!着きました!

 早いですね。

 何が起こったかわかります?

 わかりませんよね?

 だって文字だらけですもん。

 せめて挿絵くらい用意しろって話です。


 さて。そんな感じで、部屋に入ってすぐ足元にスルカがいました。

 なにやらトランプをして遊んでいるようです。

 突然ですが、トランプをして遊んでいるという状況を理解しているにもかかわらず“なにやら”と疑問めいた心境を語ることは罪なのでしょうか?

 深夜、厨房に忍び込んで夕飯の残りをつまみ食いするのとどっちが悪いのでしょうか?

 どっちも悪いのでしょうか?

 スルカはトランプで何をしているのでしょうか?

 わたくしは何を考えているのでしょうか?


 「何をしているんですか?」


 「ぐぇっグッ!」


 スルカが、お嬢様らしからぬ奇声で無回答。

 は?

 喋れ。


 「何をしているんですか?」


 「トランプタワーを作って遊んでましタ」


 「一段も出来てないようですが?」


 「バランス感覚が皆無なのデ、このような有様なのでス」


 「お外で遊んだら如何です?」


 「最近インドアに凝ってましテ、家から出たくありませン」


 「お外で遊んだら如何です?」


 「…ン?いや、だかラ。最近インドアに…」


 「お外で遊んだら如何です?」


 「はンっ…!?」


 スルカったら、パニックパニック。

 もう可愛いったらありゃしない。

 あー胸ちっさ。

 わたくしの何分の一でしょう。


 「胸。触らないデ」


 「はいはい」


 「ところデ、今日は何しにここエ?」


 「おめぇが呼んだんじゃねーですかよ」


 「ああそうダ。忘れてタ」


 「しっかりしてくださいな。まったく、もう」

 

 スルカはよちよち歩きでクローゼットの前に行きました。

 そして開けました。

 からの、危険物博覧会。

 暗器、刀剣、爆薬に至るまでなんでもあります。

 改めて見ると凄いですわね。

 まるで武器庫ですよ。

 あ、ごめんなさい。博覧会でした。


 「こノ剣。鑑定して欲しイ」


 「読みづらいから普通に喋ってくださいな。で?どれを鑑定して欲しいと言うのです?」


 「こレ」


 スルカが一本の剣を差し出してきました。

 身の部分が波打つような形状をしています。

 研ぐのが大変そうな剣ですね。


 「それじゃあやっていきマスカット」


 「……」


 「なんか言いなさいよ」


 「……」


 「その真顔をやめなさい」


 「……」


 「まだ引き返せますわよ」


 「……」


 「怒るまで、3、2」


 「……」


 「叩きますわよ」


 「……」


 わたくしはスルカの頬を叩きました。

 早速鑑定していきます。


 えーっとまず、この刀は…。

 あ、ちげぇ。剣だった。

 どっちでもいいですわ。

 この剣は由緒正しき名工が作った剣であると推測されます。

 製作者本人の名前が彫ってありますからね。


 “剣神剣々権号剣系兄形状犬々丸”


 と。

 家系ぐっちゃぐちゃですわ。

 発音しようものなら、舌がちぎれそうになりますよ。

 こんなものッ。


 「うわぁア!投げないデッ!」


 それは素直にごめなさい。

 なんて陳謝しつつ、鑑定を済ませました。


 「鑑定結果が出ました。これは国宝龍号ですわ。和泉半島から渡来したものかと思われます」


 わたくしの鑑定眼も捨てたものではありません。

 一目見たときからわかっていました。

 ええ、わかってました。

 わかってました、ってば。


 「リネア様ありがとウ。さっそく使ってくル」


 「行ってらっしゃい」


 スルカは窓を割って飛び出していきました。

 ここ二階ですわよ?

 凄まじい肉体強度ですこと。

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