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第一話 二人の馬鹿

 一時の感情って素敵だと思いません?

 最近でいえば、第一王子を手篭めにしたときにその快感を得られました。

 意を決してわたくしに想いを伝えてくださった第一王子を雁字搦めに縛って人目のつく花園に放置して、ルジスチナ王国随一とされる高級ソファーの敷き布にした後、ストレス発散にもってこいの殴り枕にしました。

 

 新王のご子息なだけあって若く、背も低くて力も弱い。

 年齢も背丈も、まだわたくしの半分ほどでしょうかね。愛らしい声で鳴いてくれました。

 階級が高ければ高いほど心は満たされますし、若ければ若いほど質のいい愛を頂けます。


 でも寵愛を育む知性があるなら、傅く忠誠を見せなさい。

 え?それは違う?なら貴方は何のために生きているのです?

 と、このようにして責めるのです。

 意味がわかりませんよね。

 

 でもわたくしは間違っているとは思いません。

 どれだけ外面を取り繕おうが素は出るわけで、思い切り押し倒してしまったときの快感は何物にも勝ります。

 叩く、つねる、投げる。そして(おか)す。

 痣だらけで笑いなさい。

 これがわたくしのモットーですわ。


 「あの…リネア様…?」


 もじもじと恥じらい、下半身を隠そうと必死なわたくしの犬。第一王子のクロムです。

 無様にもすっぽんぽんで、泣き目になりながら許しを乞う間抜けな子犬ですわ。

 

 「どうかされたのですか、王子」


 「そろそろ服を…」

 

 「今わたくしが着ていますでしょう。そんなことも分かりませんの?」


 「うう…」


 真白な肌を自慢げに見せるようで気分があまり宜しくありません。

 はっきり言ってイライラしますわ。

 まあ脱がせたの、わたくしなんですけど。


 「にしてもキツイですわね…この服」


 「特にお腹周りなんかそうですよね!」


 「ああん!?」


 「ごめんなさい!」


 すぐさまクロムは頭を地につけました。

 謝ってますけど、絶対に反省しておりません。

 

 「それで?懐柔は済みましたの?」


 「あー、誰を懐柔するんでしたっけ?」


 「あら?頭が空っぽなの?」


 「ふぇあ?」


 だらしのない声で煽りますわね、この駄犬は。


 「いいからさっさと行ってこいですわ」


 「今気づいたんですけど、リネア様以上に[ですわ]が似合わない女性は居ませんね。いっそ使わねーほう良いんじゃねっすか?どう思います?」


 「あら…こんな所に突起の付いた金属製の筒が」


 「リネア嬢の仰せのままに!僕行ってきます!」


 クロムは怯えて出て行きました。

 全裸で。


 「さて、悲鳴が聞こえるまで待ちましょう」


 今日の遊戯は錯乱王子による夜這い劇です。

 え?誰に夜這いをするのかって?

 お教えしましょう。

 はい、えーっと…誰でしたかしら。

 まあいいでしょう。


 誰だかは忘れましたけど、たしかクロムと正式な婚約を結んでいる方でして、わたくしの存在が邪魔で邪魔で仕方がないと影で悪い噂を広めている何処ぞのガバガバ令嬢だったような気が――


 「あらいけない。本当に思い出せませんわ」


 本当に心から申し訳ないので「ごめんなさーい!」と、頭を踏み付けながらお詫びしたいところですね。

 そんなカスみたいな思考を張り巡らせている最中、クロムの喘ぎ声が隣から聞こえました。


 「あっ…あん、あああッ…!」


 作戦失敗のお知らせ。

 クロムは今、メイドに掘られています。


 「あの駄犬王子改良型マークII(ツー)はもう駄目ですわね。廃棄処分です」


 「お…お待ち下さい!僕はまだやれます!やらせて下さい!」


 壁をバンバン叩くな犬畜生。

 などと思いつつ、壁伝いに意思疎通を図ります。


 「では今一度、このわたくしに忠誠を誓いなさいな。僕はリネア様のモノです、と」


 暫くの間があり。

 そして。


 「僕は、リネア様の傀儡王子(おもちゃ)です」


 「よろしい。百点満点中、五点を進呈致しましょう」


 ふふふっ…。

 見ておりますか陛下。

 貴方のご子息は、立派に成長していますよ。

 そして、じわじわと内部から破壊して差し上げますわ。

 ゆくゆくは国ごと、わたくしが買い取ってあげますことよ。

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