02 冷静に行こうぜ
ふう、貰った情報を整理するとやはり俺は転生しているみたいだ。
で俺は予想通りこの大樹、生誕樹
から産まれてきたらしい。
この木は名前通り色々な生命を生み出すが、個体によって生み出されるものは違うらしい。
俺が出てきたこの木は生命の核だけを生み出すが魂は生み出せない出来損ないらしい。
急に魂やらなんやら突き出せれても前世では無神論者だった俺には重過ぎる。
それで魂ってやつがあるらしくそれがないといくら生命の肉体だけあっても生きていくことは出来ないらしい。
そこに彷徨ってた俺の魂がたまたまこの果実の核に入り、
それが成長してこの肉体が出来たということだ。
出来損ないでも俺にとっては、命を救った(もう死んでます)恩人(人じゃないです)だからな。
この情報が手に入ったのはやはりあの果実を食べたことによって得られたみたいだ。
そこら辺はよくわからんが、あの果実が情報を授与される引き金となってるみたいだ。
良かった食べといて、死ぬかと思ったけど。
しかし入ってきた情報偏りすぎてる。
この世界の情勢とか種族とかの情報は全然なく、俺に関することばかりだ。
食べ物に毒あるかとか調べられたり出来たらよかったんだが・・・・・・
まあ無いものを言っても仕方ない。
いや、逆に何も無いところから俺に関することでも教えてくれたんだ。
ほんとありがたい。
その情報によるとなんか『エフェクト』ってやつが手に入った。
『エフェクト』はその個人が特化した能力や才能などのことを言うらしい。
言い換えるとRPGとかで出てくるスキルみたいなものだ。
俺の『エフェクト』の名前は異空間と付与。
前者は名前は厨二くさいし。俺にはキツイな。
どんな効果があって、どうすれば発動するのかわからないしお飾りみたいなものだな。
あと魔法ってやつも付いてきた。
前世で思ってたファイヤーボールとかの魔法とかもあるみたいなのだが、
今俺が使えるのは魔力を外に出した魔素っていうのを体や物に纏うことが出来るらしい。
今の俺の魔力はゼロに等しいらしいから自分の魔力で覆う事はできないらしい。
でも周りの魔素を纏うことはできるようだ。
魔法については詳しくわかった。
ーーー魔法:魂に術式が魔道具、主に魔導書によって組み込まれる。
突然術式が組み込まれるような例外もある。
それによって様々なことが出来る。
基本詠唱で魂が術式を使い魔法を体内外に出すことが出来るが、
魂と身体の親和性が高まると無詠唱で発動可能ーーー
だってさ。
よくわからんが今俺の魂にはあの果実に食べたことによって術式が組み込まれてるらしい。
何を言えば発動されるかも一緒に入ってきたからさっそく試してみますか。
「えーと、無の属する魔よ。我に纏い包みたまえ」
うわー、恥ずかし。誰もいないけど厨二病みたいだな。
いや、別に厨二病が悪いってわけでは無いけど、30越えの経営者だよ。
あっ! 元経営者か。
それで結果はどうだ?
視点を下ろし、体を見る。
うわっ! 全身黒タイツ姿みたいになってる!!
これじゃあ、コ○ンの犯人ではないか!!
しかし、これで服問題は解決だな。
これは自然の魔素を使ったらしい。
まあさっきつけたツタ入らないから外すか。
でもよく考えたら隠す必要ないのでは?
まず見られて恥ずかしいものないし。
それで魔素ってものは本来見るとか触るとかは出来ないらしいんだが、
この魔法はそれを可視化したり物質化したりすることが出来るようだ。
今は空中に漂ってるような魔素を使ったから布ぐらいの厚さしか出来なかったが、
自分の魔力が増えたらそれを使って武器とかも作れるようになりそうな気がする。
そして俺の種族もわかった。
俺の種族は人型でツノが生えていることからわかる様に鬼族だ。
空想上のものかと思ったが、ここは元の世界の常識が通じない。
まさかなと思ったが、この世界の鬼は何もゴリゴリのマッチョだけじゃないようだ。
さて鬼って言っても色んな種族になるらしい。
それは今の状態だとまだ決まらないだと、鬼族は基本魔法を使っても
身体能力向上のものばかりなのだが、例外もあるそうだ。
もちろん俺もその例外に入ってるな。
物質生み出してるし。
俺以外ので言えば例えば妖鬼は魔法を使うが、妖術も使うらしい。
邪鬼とか呪鬼とかもいるそうだ。
魔法と妖術の違いは魔法は自分の中にある魔力を使うが
妖術はどちらかと言えば外の魔素を使うってことらしい。
魔素纏も今のところこっちに近いのか。
呪鬼と邪鬼は外からの怨念などを取り込み力に変えたり相手を弱体化させるだと。
そいつ自体はそこまで悪では無い様だ。人、いや鬼によるが・・・・・・
ふう、こんなものか。今わかったのは。
これからどうするか。
一番下の個体だし最上位まで駆け上がるか、こんなガキの体のままじゃ嫌だからな。
目標:取り敢えず進化しまくる。
さて、ある程度自分の置かれた状況を把握出来たところで、
これからどうするか。
おそらく食事は取らないといけないよな。
さっきだって、食べたいって欲求であの実食ったんだから。
この体を到底、野菜やら山菜やらで持たせられる気がしない。
生きていくには道具が必要なのは見るまでもなく明らかだ。
大学生時代にやったマイ◯ラの作◯箱なんてあったら楽なんだがな。
あの頃は楽しかったな。
研究に明け暮れ実験の合間にゲームしたりしてたな。
俺は機会があったから、一年目から研究所に入り浸ってたから、どこかに遊びに行くって事はなかったが、文系学部の奴らは呼吸をするかのように、旅行やら行ってたような気がする。
俺も余裕ができたら旅行するか。
まずこの世界に観光できるような建築物あるかもわからんが。
その前に人がいるかの問題だな。
いくら人間と似た体をしてるとは言え、大前提として俺、鬼だし。
さて獲物を取るために弓ぐらいなら作るか。
柄作って糸張れば本来完成だからな。
矢は棒に尖った石つけて一直線に飛ぶように鳥の羽付ければいいだろ。
さっそく作っていくか。
でも木切れ倒せる道具もないし、一から石器作っていくなんてナンセンス。
魔力纏で耐久力も上がるらしい。
てな訳で木の棒に魔素纏を使った。
斧状に纏わせた。
詠唱は我の所を木の端くれに変えた。
しかし、魂に刻んでるのだから何も言わずに発動してくれればいいのだがな。
その斧を持つ。
つかの部分まで黒くなっていた。
掴んだ時の感触は今着ているやつとは違う。
服もどきの方は柔軟性があったが、これにはその感じは一切ない。
木を切ってみる。
今、俺は森にいる。
数えられないほどある。
もちろん木の種類も膨大な量がある。
どの木が弓に向いてるかわからない。
まぁ、試しに切ってみるか。
少し歩くと自分でも切れそうな木を発見した。
魔斧を振りかぶりながら切ってみる。
魔斧なんかベタな名前だと思ったがそれしか思いつかんからな。
そう思ってると木が倒れてきた。
うおっと!倒れる方向考えてなかったわ。
押し潰されんでよかった。
手に違和感がある。
見ると斧のコーティングが解けていた。
あらら、さすがに耐えられなかったか。
まあいいや。用済みだし。
よし次は細かく削る。
マイナスドライバー的な形に魔素纏をする。
これで削る。
これで弓のあのカーブにする。